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猫が病気になった。私の寿命が縮まった。

怒涛の1週間だった。

事の発端は、先週の金曜日の午後。
いつものように日向ぼっこをしている猫を見ると、少し呼吸が速い気がした。

呼吸数を数えてみると、1分間に40回弱だった。

猫の場合、毎分20〜40回程度、また寝ているときは15〜25回程度と少なくなるのが通常です。特に寝ている時の呼吸回数を見ることは重要で、安静時の呼吸が速い場合は何らかの病気が隠れていることもあります。

(引用元:https://jamc.co.jp/cat_colum/757/

もともと呼吸が速めの子ではあるけど、安静時で40回はちょっと多いんじゃないか。
そう思い、その日のうちに病院へ連れて行くことにした。


【金曜日 K病院へ連れて行く】

その猫「くー」は、15歳の雌猫。
7年前に慢性腎不全という診断をされてから、ずっと治療を続けている。

K病院は、くーのかかりつけだ。
定期的な検査と、自宅での点滴セットを購入するため、2〜3ヶ月に一度行っている。

ちょうど検査の時期でもあったので連れて行き、呼吸が速い状況を医師に話した。

血液検査の結果、腎臓の数値が少し悪くなっていたが「呼吸が速くなる要因ではない。呼吸に影響が出るのはもっと末期になってから」と言われた。

そして「猫風邪で鼻の奥が狭くなっているのかもしれないから、ワクチンを打っておきましょう」と続けた。

「ワクチンは予防であって、治療にならないのでは?」と聞いたが「悪化は防げるから」と言われ、それなら…と打ってもらうことにした。

一応自分なりに呼吸について調べて行ったので「点滴の量が多すぎて、肺に水が溜まってるってことはありませんか?」と聞いたら「なくはない。気になるなら少し減らして」と言われ、帰宅した。

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帰宅してすぐは元気そうで、いつも通り食事もしたのだけど、夜になると更に呼吸が速くなり、とてもつらそうに見えた。

「このままで大丈夫なのか」
「ワクチンが良くなかったのだろうか」
そんな考えでざわざわしたまま夜を過ごした。


【土曜日 セカンドオピニオンを求めてM病院へ】

朝起きると、昨日の夜よりもさらに呼吸が速い。
人間で言うと、肩で呼吸をしているような感じ。

迷いつつ、セカンドオピニオンを求めにM病院へ連れて行くことにした。

K病院は医師が一人の個人病院に対し、M病院は複数の医師がいて最新の機械がありそうな大きな病院だ。

そこに「循環器科・泌尿器科」が専門の医師がいると書いてあったので、その先生を指名して診てもらうことにした。

受付が終わるとすぐに、看護師2名が私のところへ来て病状を聞き「まずレントゲンを撮らせていただきます。くーちゃんお預かりしますね」と言って、くーを連れて行った。

1時間近く待っただろうか。診察室に呼ばれた。
若い優しそうな男性の先生だった。

レントゲン、超音波、血液検査の結果は「心臓に何かしら問題がある」、
そして「肺に白いもやがかかっているので肺炎かもしれない」とのことだった。

心臓については、少し心臓が大きくなっているということ。
「心筋症」が疑わしいが、腎臓が悪いと診断しづらいらしく「可能性がある」としか言えないこと。
そして、もしかしたら腫瘍があるかもしれないこと。
詳しく調べるにはCTしかないが、そのためには全身麻酔が必要で、年齢的にも体力的にもそれは厳しいということ。

血液検査の値から、体のどこかで炎症が起きているのは間違いない(それが肺炎の可能性もある)ので「まずは抗生剤でその炎症を叩きましょう」ということになった。

「分かりました」と帰ろうとしたら、医師から「酸素が体に行き渡らないと辛いので、酸素室に入院させて治療をさせた方がいいと思うのですが…」と言われた。

くーはとても臆病な猫で、玄関に人の気配がするだけでも、棚の後ろに隠れるような子。
そんな子を置いて帰るなんて絶対無理だ。

そう思い「連れて帰ります」と言い切ると、先生は「分かりました。何かあったらすぐに連絡してください」と言い、抗生剤の注射を一本打ってくれた。

そして、1週間分の抗生剤と、血管拡張剤の飲み薬が出された。

帰宅後、呼吸は速いけど、ちゅーるを喜んで食べるほど元気。

抗生剤が効いてくれてるのかしら。なんて悠長に考えていたら、夜にかけてめきめきと具合が悪くなった。

肩で息をするような状態が続き、1分間の呼吸数は50回ほど。

「やはり入院させるべきだったのか…」と考えた時、「そうだ、酸素室があればいいんだ」と思い立ち、酸素室についてネットで調べたり、友達に聞いたりした。

結果、愛知県内に業者があることが分かったが、残念なことに営業時間は終了していた。
翌朝の営業開始時刻である9時を、じりじりと待ちながら夜を過ごした。


【日曜日 酸素室を手配】

朝9時と同時に酸素室の会社に電話。
「今日の13時半に届けます」と言ってもらえた。
ありがたくてありがたくて泣きそうになった。

レンタル料金は初日5日間で29,000円。
(初期費用22,000円+日曜配達7,000円)
この3日間、諭吉がすごい勢いで羽ばたいて行くが、もうそんなことは言ってられない。

その日のくーはもう、じっとうずくまったまま、全身で呼吸をしているような状態だった。

私も家族も見ているのがつらく、「あと3時間で酸素室来るからね」「あと2時間だよ、がんばれ」「あと1時間!」と、声をかけながら酸素室の到着を待った。

そして午後1時半、ようやく酸素室到着。
バカでかいサイズの箱が、我が家の狭いリビングに置かれた。

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酸素室の中に愛用のベッドを入れて、その上にそっとくーを置いた。
しばらくすると、呼吸が少し落ち着きはじめた。

さらに時間が経つと、少しずつ顔を動かし、キョロキョロするようになった。

最終的には酸素室から飛び出すほどになった。
これには家族全員驚いた。

脱出して少し経つと呼吸が速くなるので酸素室に戻すのだけど、目を離すとまた飛び出すといういたちごっこ。

仕方がないので、付属の酸素マスクを顔の前に置いて、なるべく酸素が吸える状態を保つようにした。(それでもつらそうになったら、強制送還)

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でも全身で呼吸をするという様子がなくなったので、それがすごく嬉しかった。

その日は少しだけ夕食も口にしたこともあり、久し振りに心配せずに眠ることができた。


【月曜日・火曜日 元気だけど食欲はゼロ】

見た目は少しずつ元気になってきた。
特に、朝からお昼までが元気で、酸素室から飛び出す→入れる→飛び出す→諦めて酸素マスクを置くという日々。

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ずっとやっていなかった毛づくろいをしたり、丸くなって寝るようになったり、回復している気はする。

だがしかし、食欲が戻らない。

月曜日は、缶詰をスプーン半分、ドライフードを10粒ほど。
翌日火曜日は、鰹節2枚、ドライフード3粒、エネルギーちゅーるをほんの少し。どれも口元に持って行き、無理矢理なんとか食べさせたような状態。

あんなに大好きだったちゅーるも受け付けない。
大好きだった鶏肉を茹でてみたけど、これも受け付けない。

そして夜になると疲れが出るのか、酸素室でぐったりと眠る。

少しでも食べてくれたら、元気になるような気がするのだけど…。


【水曜日 峠を越えた】

水曜日の朝、酸素室から飛び出してきたくー。
外に置いてある水を飲み、そのまま猫トイレへ。

もう2日食べてないから、お腹がぺたんこで足元もふらふら。
それでもちゃんとトイレで用を足すんだから、猫って本当にすごいなと思う。

そのまま見守っていると、私の元へやってきて顔を見上げる。
もしかしてと、くーの器に缶詰ごはんを入れたら、信じられない勢いで食べはじめた。

食べ終わり「追加は?」とでも言いたそうな顔で見上げてきた。

ああ、峠を越えたんだな。
その顔を見た時、そう思った。


【それから】

その日から、少しずつ食欲は回復し、だいぶ食べられるようになった。

体調は日によってまちまちで、元気な日もあれば、あまり良くないのか、じっとしている日もある。

もちろん心臓の疾患が治ったわけじゃないし、腎臓も悪いまま。

だから、いつどうなるか分からないけれど、少なくとも一時期のようなつらそうな姿ではないので、少しはよくなってくれたのかな。と思っている。

日の当たる窓際で、気持ちよさそうにまどろむ姿や、食後に毛づくろいをする姿を見て、「当たり前だと思っている日常は、決して当たり前じゃないんだ」と、何万回も聞いたことのあるような安いセリフが頭に浮かんだ。

ほんとにね。
こんなに愛おしいものだったかと。
この瞬間瞬間を大事にしよう。
もっともっとたくさん愛情を注ごう。そう思った。

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そして明日、経過を見てもらうためにM病院へ行く。
数値的にも良くなってくれていることを今は祈りたい。


【さいごに 酸素室について】

今回、酸素室を借りられたのが本当に強かった。

入院させずに済んだことも大きいし、投薬だけでは、ここまで復活できなかったのではと思う。

ちなみに私が酸素室を借りたのは、愛知県にある協栄興業株式会社さんという会社だ。

ほかにもいくつかレンタル会社はあったのだけど、郵送のところが多く「早く!今すぐ欲しい!」と焦っていたので、即日配達、もしくは引き取らせてもらえる会社を探していた。

この協栄興業さんは愛知県近郊なら、当日に配達してくれるようなので(もちろん無理な場合もあると思うので要確認)、もしもかわいいペットに緊急事態が起きたら是非連絡してみて欲しい。

我が家は本当に救われた。
電話に出てくれたおじさんが本当に優しくてね。
それだけで救われたよ。


ちなみに酸素室の中はこんな感じ。

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ふかふかベッドと、お手製猫トイレ(段ボール箱にビニール袋を被せて、猫砂を入れたもの)と飲み水。
ベッドの中には、お湯を入れたペットボトルが湯たんぽがわりに入っている。

「ワンルームマンションみたいよね」なんて我が家では言われている。


余談だが、金曜からの3日間、くーとともに、私もろくに食べない・眠れない暮らしをしていたら、体重が2キロ近く痩せて、見たこともない数字を叩き出した。

猫病気ダイエット。
決しておすすめはしないけどね。
寿命が縮まるよ。

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