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父からの誕生日プレゼントは山頂で淹れたコーヒーだった。
私ごとなのだが、先日46歳の誕生日を迎えた。
その1週間ほど前に、父から「今年の誕生日プレゼントは何が欲しいか」と聞かれた。
なぜか40歳を過ぎた頃から、両親が「誕生日プレゼント」をくれるようになってしまった。
ありがたいのだけど、年齢も年齢だし、毎年リクエストを聞かれる度に「いいよいいよ」と言うのだけど、何かしらくれようとするので、これは「ありがとう」ともらう方が親孝行なのかもしれないと思い、程良い価格のものをお願いするようにしている。
昨年は自転車。その前は空気清浄機。その前はこたつ布団。
「ありがとう!」と喜ぶと「よかったねえ、おめでとう」と嬉しそうなので、親も親で娘に何かをしてあげたいのかもしれないなと思って、ちょっとホッとする。
そして今年。
例年通り「何が欲しい?」と聞かれたのだが、本当に欲しいものが思い当たらなかった。
一番欲しいのはiPhone13proだけど、それはさすがにお高すぎる。
次に欲しいスリッパは、友達にリクエストしてしまった。
それで考えた結果「コーヒー」をお願いすることにした。
それも「山頂で飲むコーヒー」。
父は登山が好きで、付き合いで私も一緒に行くことがある。
(登山を始めたきっかけについて詳しくはこちら → 40歳ではじめた登山の話。)
実は前からずっと「バーナー欲しいなあ」と父は言っていて、今年最初に登ったときには「わし、今年絶対バーナー買うねん。そしたら山頂でコーヒー飲もうな」と言っていた。
(バーナーってこういうの↓)
がしかし、なかなか買う気配がなく、山で誰かがバーナーで何かを作っているのを見る度に「次までにはバーナー買うとくでな」と言うばかりで全然実行に移さない。
だから「誕生日プレゼントは、山頂で飲むコーヒーがいいな。だからバーナー買ってね。でも私、バーナーはいらないから、保管はよろしく」と言った。
「なんじゃそら。しゃあないなあ」そう言いながら、ちょっと嬉しそうな父と、次の登山の日程を決めた。誕生日の3日後にした。
それから数日後の誕生日当日。
朝が遅い私が起きていくと、食卓に父からの手紙とバーナーセットが置かれていた。
「鳳来寺山で見たエエやつです」とは、前に鳳来寺山という山に登ったとき、すぐ近くでお湯を沸かしている男性が使っていたバーナーがオシャレだったので「それはどこのですか?」と教えてもらったから。
火の周りに囲いがあって、風があっても消えにくいという「エエやつ」らしい。
確かに少し高い。
父、奮発してくれたんだなあ。
その後、二人で三重県にある御在所岳に登り、山頂でお湯を沸かしてコーヒーを淹れた。
普通のドリップコーヒーだったけど、とてもおいしかった。
「いや〜、やっぱり山頂で飲む淹れたてのコーヒーは格別ですなあ!」
そう言う私に「そうかそうか、よかったなあ」と嬉しそうな父。
帰ってきてからも「コーヒー、美味かったなあ」「今度はカップラーメン持って行こかな」と話す父。
今シーズン、もう一度ぐらいどこか登ることになりそうだ。やれやれ。
父よ、誕生日プレゼントありがとう。
コーヒー、おいしかったよ。
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