瞳孔刺激
デズモンド・モリス「マンウォッチング」は好きな本だった。その中に瞳孔に関する記述がある。
デズモンド・モリスが瞳孔について書いたとき、まさか、カラーコンタクトなんてものが使われるようになるとは思っていなかったのだと思う。しかし、カラーコンタクトの出現により、瞳孔信号に関して「顔の信号の中の容易にうそをつくことができない信号」とは言えなくなった。
もちろん、そういうものの可能性を示唆する記述もある。同じ本の下巻の「超正常刺激」の項では、つけまつ毛を「目の大きさとまばたきを誇張できる超正常物」としている。
であれば、カラーコンタクトは、つけまつげと同様、超正常刺激のギミックといえる。
視点を変えれば、人は超正常刺激を自分に纏いたいと思うのかもしれない。きゃりーぱみゅぱみゅの「つけまつける」の中で歌われているのは、そんな心の機微だ。
Zoomなどのリモート会議で仮想背景やSnap Cameraを使いたくなる気持ちも、デズモンド・モリスのいうとところの超正常刺激を、人が無意識のうちに纏い、心の角度を変えたいという願望なのかもしれない。
誰だって、変身ベルトを身につけたいのだ。
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