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実用的な入門書: 天野勝 『これだけ! KPT』

Keep, Problem, Try(KPT)という3つの視点による振返法に関する実用書。

もしあなたの周辺でPDCA、PDCAと念仏のように唱えられていても、あまり気にしない方がよい。PDCAでは何も起きない。ものごとは行ってみてはじめてわかることがある。PDCAではなくDCPAが大切なのだ。

しかし、DCPAと唱えるだけでは足りない。DのあとのCPAをどのように回すのか、それをシステムとして検討すべきだ。そして、DからのCPAは素早く、回転数を高く行いたい。実施容易性が重要なのだ。

CPAに迷ったとき、本書はあなたを助けてくれる。特に第3章「実践! KPT(基本編)」は実用的だ。実際の現場で、Keep, Problem, Try(KPT)をどのように具体的に運用するのか、どんな点に注意すべきか、どのような効果が期待できるのかが極めて実践的に示されている。

読みやすく、そして実用的な本書は、KPTに初めて触れ役立てたいと思っている人間に最適といえる。

そんなKPTだが、意外と現場で使われていないのはなぜだろう。いや、もちろん使っている人たちもいるし、使っている現場もある。けれども、なにかの折にKPTの話をすると「へ~」という風に感心されることも少なくない。お経に恨みはないが、お経のように唱えられるPDCAに比べて、KPTは現場で地に足のついた活動を建設的につくる大切なコツなのにもかかわらずだ。

KPTが何かについては上述の本に任せるとして、私がKPTの何が気にっているかといえば、それは前向きな指向性だ。

考えてみれば、PDCAはどこかネガティブだ。PDCAの背景にあるのは、「計画を立てるが上手くいかなない。だからチェックして対応するのだ」という思想であり、シニカルだ。

それに比べると、KPTは、「やってみてよかったよね。だからそれはKeep。で、上手くいかなかったこともあるけれど(Problem)、それも踏まえて次のチャレンジ(TRY)を考えてみよう」と前向きなのだ。

うまくいくことなんてそんなにない。だからこそ、KPTで何度でも試してみよう。そんな明るさがあるのだ。


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