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動的に考える:西村行功『システム・シンキング入門 』

何かを考えるとき、考える手順を持っていると便利だったりする。特に組織やマーケティングについて考える場合、静的なシステムではなく動的なシステムとして考えることが必要だし、考える手順も必要だ。

そんな風に動的に考えるとき、仕事の都合で著者の西村行功さんと会ったからというわけではないが、『システム・シンキング入門 』で説明されているフィードバックを持つ因果ループ図は、社内での説明でも使いやすい便利なツールだと思う。

たとえばこんな経験はないだろうか。

問題が発生すると、応急処置策が取られます。応急処置が功を奏した結果、問題は沈静化するように見えます。しかし、その応急処置にともなって、意図しなかった結果が生まれることがあります。(p105)

そのような状況を本書ではこんな風に記述している(p105, 図4-2「応急処置の失敗」の因果ループ図)

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問題の発生(+)が応急処置を生み(+)、その結果、問題が抑制される(-)が、少したって発生した意図しなかった結果(+)により、新たな問題が発生(+)する。

因果関係を(+)と(-)で示すところがわかりやすいし、また、ループの性質を自己強化的(Reinforce)なものRと、平衡状態(Balance)に向かうBとの組み合わせとするところもわかりやすい。

この図の事例は簡単な話だし、実際の身近な問題で書いてみると、もちろんそれなりに工夫が必要。まっ、当たり前の話。

いずれにせよ、図示することで知識が共有化し普遍化する。それは、失敗学の基本として畑村教授の言っていることにも通じる考え方だ。


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