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小顔化計画

カボチャ頭とは「頭の中身がスカスカ」の隠喩ではない。すなわち、「頭がピーマン」とは異なるタイプの比喩であり、カボチャを思わせるよう形の頭を指す直喩である。また、実際に頭がカボチャ型ということはなく、その構成上のバランスが八頭身とは異なるものであるというに過ぎない。

CR(Coordinated Reality)の立場に立てば、CSCW(Computer Supported Cooperative Work)(コンピューター支援による協調作業)において、人と人との間に機器が介在する効果について考察し、それが人の認知と行為にどのような影響を及ぼすかについて注意深く同定していく必要がある。

今回のテーマは小顔である。

具体的な事例で確認してみよう。下記の写真は、インタビューという協調作業の実施後に、一般的に小顔に映ると信じられているポーズの効果を実験的に試みたものである。

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実験においては2つのことを確認した。

1点目は右上の人物の行動である。彼は小顔に映るという所作をあえてせず、さりげなく椅子を後ろにずらすことで、相対的な小顔化を図っている。また、さりげなく光を顔の正面左側からあてることで、顎の二重のラインも巧妙に隠蔽していることが確認できる。カメラに対する前後方向の位置取りと光源との相対関係によって小顔化を図っている。一般に、CSCWにおいて用いられるWebカメラは広角気味である。彼は、広角カメラによる効果を巧妙に利用して小顔化を実現しているのである。図ることを試みている。

2つ目の注目点は、左上の人物と下側の人物の手の照度である。二人とも顔よりも明るく手が写っていることが確認できる。これは、明るさの差により小顔化を図ったものではない。実際には2人とも顔より前に手を置き、広角カメラが持つ被写界深度の浅さを利用して小顔化を試みているのである。

以下では、具体的に広角カメラの特性を表す写真を下記に提示する。

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上記写真において、この人物は単に手を前面に出しているだけにも関わらず、広角カメラの特性によって相対的に手のひらよりも小顔になっていることが確認される。

上記写真はあまりにもあからさまであり、CSCW下において適切とはいない。

そこで、下記の3枚の写真においては、当該人物はわずかに体を後傾させながら、同時に、V字状にして顎のラインを隠蔽する手を、少しずつ顔から離していくことを試みている。きわめて微妙な演出上の差異だが、一枚ずつでは気づけないレベルでの小顔化を表現できていることが確認される。

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以上みてきたように、カメラの光学的な特性を利用したCR(Coordinated Reality)における小顔化は、あざとくやらないことがポイントである。

一方で、もしこのような行為を、瞬間的に、さりげなく実施できれば、現実世界における若干のカボチャ頭は、協調作業の履歴の中で補正され、認識上の小顔化が図れることになるのである。






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