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Collective Dialogues

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創造的で豊かな対話を実践するための工夫やヒント
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#傾聴

Inspiration Seeds vol. 006:対話の場の仕組みと仕掛け

オンラインでの打合せも増え、対話について意識することが増えたような気がします。では、よい対話の場で行われていることは何なのでしょうか? なにかよい秘訣はあるのでしょうか。よくわかりません。そこで、普段から対話やコミュニケーションの場について考えている高柳さんと『よい対話を生み出すには』について聴いてみたい思います。

対話したいなら「訊く」

大学では流行とか遊びとか上っ面の話ばかり、もっと腹を割った話ができる場や仲間がほしい、という若者の声をよく聞く。私も若い頃、同じ悩みや抱えていたから、とても共感する。他方、大人でも、話すに足る仲間や場が見つからん、と嘆く声も聞く。もっと本音で話せる仲間や場がほしい、と。 とても簡単な方法が。 自分が話すのではなく、相手の話を訊くこと。否定せずに関心をもって傾聴し、問いを発して会話の展開を促す。すると、普段話さないような話題も飛び出す。そして話をひとしきり訊くと、今度はこちら

荘子と聞き上手

聞き上手の理想形が荘子の中にあった。 荘子荘子は、紀元前300年ごろに活躍した、中国は宋という国の思想家。その前に生きた老子の言葉と合わせて「老荘思想」といわれ、道教の開祖の一人ともいわれる。ただ、どうやら荘子自身はそもそも自分を老子の後継者と思っていたわけでもなく、道教じたいも、後世の人々が老子を祖として祀って始めたようなので、あくまで荘子として、彼の残した文章を読むのが正しい向き合い方と思われる。 有名なところでいうと、「胡蝶の夢」の逸話など、寓話を用いて教えを説くの

Inspiration Seeds vol. 002:傾聴

新型コロナの時代には人との関係の作り方も変化していく。他の人と会い、じっくりと話す機会も減ってしまった。話を丁寧に聞く傾聴は、そんな時代に求められる新しいリテラシーなのかもしれない。

もしも村上春樹の小説の主人公が傾聴をめちゃくちゃ頑張ったら①【オウム返し編】

「先週は大変だったわ。請求書のせいで。」 彼女は5杯目のウォッカトニックに口をつけてから、僕を睨みつけながら、そう言った。 「請求書?」 僕は彼女が言った言葉をそのまま繰り返した。オウム返しという技法だ。オウム返しは単純に話し手が言った単語を繰り返す。ただそれだけだ。 「そしたら、請求書には必ず見積書番号が必要だって相手は言うの。上司もそれなら出しなさいって。そういうのっておかしいよね?」 「見積書番号」 オウム返しは、ただ相手が言う単語を繰り返すだけだが、どこを繰り返