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[pH3]刺激はあるけど、疲れない町

3年ぶりの祭の嵐に歓喜した大繁忙期、秋田県中で毎日のように花火が上がる、あんなにも待ち望んだ夏が猛スピードで去ってゆきました。例年のことながら、も少し余韻あってもいいんだけどな。いつも通り季節の変わり目でしっかり体調を崩しながら筆を取っております、秋田でハードサイダー(お酒です)(※1)をつくっているOK,ADAMの阿部です。

2年ぶりのポートランドへ!

この夏は本当に色んなものに振り回されながらもめちゃくちゃ大きな一歩を踏み出しました。 そう、我々にとって最も大切な場所、アメリカはポートランドへのカムバックを華麗にキメて参りました。入国審査で私だけ別室に連行され、あわや乗り継ぎを失敗しかけましたがね(そのおかげでアメリカ一発目のビールが失神しそうなぐらい美味かった)。恋い焦がれた彼の地は、ちょっと拍子抜けするぐらい、いい意味で、ほぼほぼ通常運転。でもそれこそがこの場所の醍醐味。この町の暮らしの中にいつの間にか丸め込まれてる感覚が、心地よくてしょうがないのです。そしてなんてったって湿気がない、蚊がいない、サイコー!!!

Bauman’s Cider とのコラボが実現

今回のミッションはいくつかあったのですが、まず2年前に研修先としてお世話になったBauman’s Cider(※2)とのコラボサイダーの仕込みですね。ポートランドから車で約1時間、大きい農場の一角にある醸造所。醸造用タンクが増え、外飲みスペースが整備され、新しい仲間も加入し、この苦しい期間をアップデートしながら乗り越えてきた様子。帰ってきたなあという安堵感と、変わらないチームの笑顔との再会に浸る間もなく、仕込み用に準備した我らのりんごジュースの輸送トラブルには泣かされましたが、、たくさんの方々のご協力のもと、なんかなりました。この商品は今年中に、日米同時に発売予定!です。なんとワクワクする響き。もう少しお待ちください!

ド緊張のガチンコ試飲会

そして忘れられないミッションが、ポートランドのサイダーエキスパート達との試飲会。我々のハードサイダーを数種類持ち込んで、醸造家やサイダー関連のお仕事をしている仲間を呼び寄せ、忖度なしのガチンコで評価してもらいました。前回の研修時にもめちゃくちゃお世話になった人々との再会だけでも涙が出るぐらい嬉しいのに、この夏の忙しい時期に、皆さん快くお集まりいただいて、感無量。そして緊張の瞬間。味はもちろんのこと、ラベルデザイン、そして一つ一つのサイダーのバックストーリーまで、細かく意見交換をしてくれました。軒並み良い評価をいただいて、単純にとてもとても嬉しかったです。醸造長倉田くんは見たことない顔して滝汗でした。

この2年間、我々が暗中模索しながらやってきたことが、間違ってなかったと言ってもらえたような気持ちで、正直自社醸造所計画が遅れに遅れている中アメリカに来て本当に良いのかなと思ってたとこも少なからずあったんですけど、今このタイミングでこうやって自信を持てる機会をいただけたことがもう、全てでした。我々がこれからポートランドから遠く離れた秋田県横手市で、ハードサイダーという新しい文化をつくっていく、という大いなる挑戦に本場のお墨付きをいただいた感じ。みんなラベルを剥がして持って帰ってくれたのも、すごくすごく嬉しかった。と同時にもっと良いものをつくるヒントも沢山頂いてきました。よっしゃ。あまり浮かれずに、醸造所オープンに向けて一つ一つ吟味改善していきますね。

程よい日常感に包まれる心地よさ

こうして私たちのポートランド再訪は充実感に満ち満ちて幕を閉じたわけですが、今回改めて感じたのが、「ポートランド」という町の醸し出す「程よい日常感」がまさに我々が日々目指している理想形に近いなということ。毎度現地でべらぼうにお世話になっている、ポートランドを愛する日本人御用達のスーパーガイド、レッドさん(Special thanks!!)(※3)が仰った一言「ポートランドは刺激はあるけど、疲れない町。」初めてレッドさんにポートランドをツアーしてもらった時に聞いてはっとなって、今回改めて大納得したこの言葉。個人的に私は学生の頃から海外をふらふらして、約30カ国ほど色んな場所に滞在してきましたが、これからもまた行きたいなと強く思うのってこういう場所に落ち着くな、と。歳とって体力無くなったのもあるけど、今後海外旅行のスタイルが少しずつ変化していくであろう中で、これって大事なポイントなような気がしています。今、CAMOSIBA(※4) という宿を持つ者として俯瞰すると、はからずも私が生まれ育ったこの故郷は、なんだめっちゃポテンシャルあるんじゃないかと。

すでにここに暮らす人々が有すホスピタリティと土地の力、そして絶えず外から訪れる人がいることで得られる新しい視点。この二つを交錯させて沸かす拠点、となるのがようやく着工を迎えるに至った(長かった、、涙)我らがニュープレイスというわけです。前号と前々号でも語ってますが今一度この町へのリスペクトを込めて念押しさせていただきました。

Join us!

というのも、この度横手市の地域おこし協力隊を募集する運びとなり、弊社(※5)を委託事業者として採択していただきました。横手市の大きな強みである、発酵文化と農業をベースに新たな価値と人が流れる仕組みを鼻息荒めの我らと共につくろうぜ!という前代未聞(自分で言っちゃう)の募集。ハードサイダーという謎ワードを連呼する我々の話を聞き続けてくれた横手市さん、これは横手市としてもこの新しい文化の拡大に本気出してくれるというわけなんですよ、ね?すごくないか。責任も重大ですが、私たちらしく、新しい仲間とできることを増やしながら進んでいきたいと思っています。はあ、楽しみだなあ。我こそはというそこのあなた、join us!

こんな感じで、色んな追い風を受け、ようやくようやく、進んできました。お待たせしてます。この感じだとオープン、年明けになりそうでございます。雪~!でもその分期待も高めちゃってください。こないだ工事のご挨拶にご近所を回って、皆さんすごく応援してる、と言ってくださって、さらにここでやることにして良かったな、と幸せなスタートを切れています!次号からは工事の様子も伝えていけたらと。何かしら起きるとは思いますが、大きな怪我や事故なく進みますように。

(※1)ハードサイダー
アメリカスタイルのりんごの発泡酒であるハードサイダー。りんごをベースに、ホップ等の副原料を組み合わせるとにかく自由なお酒。

(※2)Bauman’s Cider
アメリカ・オレゴンのサイダリー。現代のハードサイダーの醸造技術と、5世代にわたる家族経営の農場で開発された伝統的な方法とを掛け合わせ、様々なハードサイダーを生み出している。阿部と松橋が2020年に研修で滞在した。
www.baumanscider.com

(※3)レッドさん
ポートランドを中心としたビールカルチャーを紹介する「オ州酒ブログ(www.oshuushu.com)」や現地飲食ツアーのファウンダーを務めるレッド・ギレン( Red Gillen)さん。頼りになる現地の名案内人。

(※4)Hostel & Bar CAMOSIBA
阿部が2017年に地元横手市で開業したゲストハウス兼バー。
www.camosiba.com

(※5)弊社
2021年に法人化し、株式会社杢を創業。Hostel & Bar CAMOSIBAの運営と、ハードサイダーブランドOK,ADAMを手がける。

*弊社が募集する地域おこし協力隊について詳しくはこちらから!
https://okadamcider.com/2022/09/01/news_kyoryokutai/

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