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英語の習得に近道はない。でも、遠回りしなくてもいい。

英語を教えている人が「英語に近道はないから、がんばろう」と言うことがあります。

そういうツイートに300くらい「いいね!」がついているのを見ると、「ああ、ヤバいな」と思います。

たしかに、近道はないんです。

でもみんなが思っている「近道はない」は、私からすると「遠回り」なんです。近道もないけれど、かといって遠回りする必要もない

普通に行けばいいのです。

「近道がない」=「ものすごくがんばらなくちゃいけない」「やみくもに地図も見ないで進まなきゃいけない」というわけではない。

地図を見て「近道がない」ことがわかるのと、地図も見ないで「やみくもに進む」のとでは、ぜんぜん違います。

努力は平気で裏切ってくる

「努力」っていうものは、平気で裏切ってきます。

昔、ダルビッシュ選手が「努力は裏切らないというけど、正しい方法の努力じゃないと、かんたんに裏切るよ」と言っていました。

まさにそう。

「努力できる」というのは才能でしょう。努力できる人はすごい。しかしそれが「正しい努力」でないと裏切られてしまいます。

では、どうすれば正しい努力をすることができるのか? どうすれば遠回りせずに進むことができるのか?

その鍵になるのが「戦略」です。

私は努力できる人を尊敬しています。ただそこに「戦略」が欠けていると無駄な時間を過ごしてしまうことになる。せっかくの努力を無駄にしたらもったいないと思うのです。

なにかを達成したいなら、努力と戦略、どちらも大切です。努力と戦略は「車の両輪」なのです。

症状だけでは「治療法」はわからない

私の主宰する「イングリッシュカンパニー」に相談に来る人たちには共通点があります。

それは、ズバリ「自分の課題がわかっていない」ということです。

「いや、わかってます。ぼくはリスニングが苦手です」と言う人もいるかもしれません。

でも「リスニングが苦手」では解像度が低いのです。それは、病院に行って「お腹が痛い」と言っているのと同じです。ただの症状です。

なぜお腹が痛いのかは、人によって違います。

食べすぎや飲みすぎかもしれないし、胃がんかもしれない。それによって、治療法はぜんぜん違ってきます。症状だけでは、治療法はわからない。

まずは「どんな病気なのか」を見つけることがすごく大事なのです。

たとえば「リスニングが苦手」という「症状」であれば、いろんな「病気」が考えられます。

①そもそも単語や文法を知らない

②英語の音が全部つながって聴こえてしまう

③単語はわかるが、情報を処理して全体の意味を理解するのが追いつかない

④理解するまでが限界で、聴き終わるころには前半の内容を忘れてしまう

リスニングだけでも、おおまかに言ってこの4つの「課題」があります。じゃあ今、あなたはどこで詰まっているのか?

まずは、それを見つける必要があるわけです。

「リスニングが苦手」→「なぜ苦手なのだろう? 根本原因はなんだろう?」→「単語はわかる。語彙力は高いはず。でも聞き取れないのは……音がつながって聞こえてしまうからかもしれない」

ここまで自分で理解して、やっとスタートラインに立てます。そして、解像度を高めて「本当の根本原因」に気づくことは、自分ひとりでは難しいのも事実です。

病名がわかる前に「開腹手術」をするな

根本原因を突き止めて、適切な治療法を施さないといけません。

しかし多くの人は「リスニングが苦手」→「じゃあ、毎日シャワーのように英語を聞こう」などと見当違いの治療法をしています。それではいくらやっても英語は身につきません。

それは「お腹が痛い」→「じゃあ、開腹手術をしよう」と言っているようなものだからです。

世の中にはさまざまな英語学習の「メソッド」があります。

もちろん有効なメソッドも多くありますが、ちゃんと自分の根本原因に効くものを選べないと意味がありません。そもそも根本原因がわからない段階で、特定のメソッドに飛びつくのは危険です。

メソッドが悪いと言っているわけではありません。まずは根本原因を突き止めましょう、ということです。

メソッドは「お薬」です。そもそもなんの病気なのかがわからない段階で薬を安易に選んではいけないのです。

多くの人は、ここでつまずきます。だから何十時間も勉強しているのに、なかなか上達しない、ということが起きてしまうのです。

まじめすぎる日本人には「戦略」が足りない

よく「とにかくすぐに始めましょう!」「まずは1日2時間はがんばりましょう!」などと言われます。

でも、ここまで読んでくださったあなたは「えいや」で始めてもうまくいかないとわかっているはずです。

「いつやるの? 今でしょ!」ではなく、

「いつやるの? まずは戦略を立ててから」というのが大切です。

ちょっと話はそれますが、起業するときもそうですよね。

起業して適当にモノを売り始めてうまくいく人はなかなかいません。まずは「事業計画」を立てるのが普通です。

なぜその市場に参入するのか? 競合の状況はどうか? じゃあ、その中でどういう戦略でやっていくのか?

限られたリソースを使って、最大限のリターンがあるように計算する。ビジネスの世界では、まず戦略を立てるのが定石です。

しかし英語学習となるとなぜか「戦略」を立てない人が多くいます。「とにかくたくさん英語を聞こう」「とにかく単語をたくさん覚えよう」となってしまう。人生の大切な時間を使うのに、なぜ戦略を立てないのでしょうか?

英語学習にこそ、戦略は必要なのです。

多くの日本人は「与えられたものをこなす」のは得意です。学校でもカリキュラムは決まっていて、それを「いかにこなすか」が求められます。多くの人はそれに疑問すら持ちません。

でも本当は、そのカリキュラムが自分に合っているかを考える必要があるのです。「本当にこのプログラムが今の自分に必要なのか?」「なぜ、それをやる必要があるのか?」というところから考え直す必要があるわけです。

戦略と努力は、二者択一ではない

戦略というのは「いかに有効に時間を使って成果を得るか」「いかに少ないコストで成果を得るか」ということです。

世の中には「楽する=ズルい」「努力=素晴らしい」という風潮がありますが、私はそこはいささか疑問です。

戦略を立てることは、決して「ただ楽してズルをするため」ではないのです。「正しい努力」をするためです。

私は「努力」を否定しているわけではありません。戦略を立てたとしても、やっぱりそれを実行するときは、がんばる必要があります。

ただ、どうせなら1時間あたりの学習の生産性を上げた状態で勉強したほうが絶対にいい。多くの人は「楽をするか? 努力するのか?」という二者択一で考えてしまいます。でも、そこは二者択一で選ぶものではないのです。

戦略を立てる人はがんばらない、というわけではありません。戦略も立てないといけないし、手を動かすこともがんばらなくちゃいけない。

経営コンサルタントを会社に入れることを思い浮かべればいいでしょう。戦略をどれだけ理解したところで、現場が動かなければ会社はうまく回りません。戦略コンサルタントを入れたからといって、わかりやすく現場が楽になるかというと、そういうわけではない。

でも、がんばれば成果は出るはずです。「努力に対する成果」という点ですごく効率がよくなるのです。

全体像が見えていないと戦略は立てられない

「もうわかったよ。戦略を立てればいいのね」

そう思った方、ちょっと待ってください。

戦略はその分野の全体像が見えていないと立てづらいものです。

たとえば、はじめてテニスをするとき、いきなりトレーニングを始めたりしないですよね。たいていは、コーチなりすでにできる人が隣にいるはずです。

そもそもラケットの振り方もわからないのに「とりあえずラケットを100回振ろう」とやっても、悪いクセがつくだけです。でも英語に関しては、なぜか1人でひたすら無鉄砲にラケットを振っていることが多くあります。

経営コンサルタントは「こういう局面だったら、こうするのが普通」「こうするのが成功確率が高い方法だ」という知見を、すでにたくさん持っています。自分でどんなにがんばっても、その領域には絶対に到達できません。

そこは、専門家に教えてもらった方が圧倒的に効率的です。

英語ができる人でも戦略について知らない人は多い

実は英語がペラペラな人でも「戦略」についてきちんと理解している人は多くありません。

戦略なしの「ごり押し」でも、ものすごく量をやれば英語はできてしまうことがあるからです。

すると、その人たちの成功体験は「いっぱい勉強することが正解」という感じになる。でも、それはスパルタが伝統になっている部活動のようです。

ほとんどの人は、英語だけをがんばる時間はなかなかとれないでしょう。社会人なら仕事もやりつつ英語もやらなくちゃいけない。英語に時間も割きつつ、ビジネススキルも磨きつつ、社内のパフォーマンスをきちんと高めて、ビジネス上の成果を出すことが必要になってきます。

であるならば、そこから逆算して「戦略」を立てる必要がある。

英語学習の知見をためこんだプロのコンサルティングを受けることで、英語学習を効率化していく必要があると思うのです。

「がんばる」前にまず「戦略」を

長くなりましたので、そろそろ終わります。

冒頭でも少し触れましたが、私はイングリッシュカンパニーという英語学習のコンサルティングサービスをやっています。

そのなかに1週間であなたの「課題」を見つけ「戦略」を立てさせていただくサービスがあります。

このサービスでは、まず最初に「課題発見」を行います。リスニングやリーディング、発音など、あらゆる分野を実際の英語教材を使いながら細かく「検査」を行ない、課題を「診断」します。

この「課題」をどれだけ細かく見つけられるかが、学習を始めるうえですごく大切なのです。課題をしっかり見つけないと、それを解決するための「戦略」は立てられません。無駄な何百時間を過ごしてしまうことにもなりかねません。

イングリッシュカンパニーには「ただ英語ができる」というだけでなく、第二言語習得論を理解し、言語学や教育学に精通しているコンサルタントが揃っています。「英語ができるだけ」の人はそもそも採用していません。

自分で自分の課題を的確に発見し、そこへの対処法を見つけ出すのは至難の技です。「今年こそ英語を身につけたい」と思ったらまずは一度、プロのコンサルタントのちからを使って「戦略」を立ててみてはどうでしょうか。


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