見出し画像

トイレの電気を消すのもめんどくさい私が、なぜ社長になれたのか?

「がんばるのって、めんどくさい」「なるべく楽に結果を出したい」

学校や塾や会社でこんなことを言うと、多くの場合、怒られてしまいます。反対に「がんばっている人」「がむしゃらに努力している人」は、多くの人から賞賛されます。

私は小さいころからずっと「努力」が苦手でした。

中学生のとき、校訓だった「努力の上に花が咲く」という言葉がイヤすぎて、卒業アルバムに「努力なしで結果だけ」と書いていたぐらいです。根っからのめんどくさがりは、ずっと変わっていません。

それでも、ゼロから予備校を創業して、社会人向けの英語学習サービスを立ち上げ、いまではその会社はベネッセグループにジョインさせていただくまでなりました。

なぜめんどくさがりの私が、なんとか会社を経営し、生きていけているのか? 

今回はそんな話をしていきます。

トイレの電気を消すのをあきらめた

私がどれほどめんどくさがりなのかというと、トイレの電気を消すことすらめんどくさいレベルです。もうかれこれ10年ぐらい、自力でトイレの電気を消していないかもしれません。

正確には、トイレの電気を消すことをあきらめたのです。

いくら「またつけっぱなしにして!」と怒られても、どうしても消せない。私にとって「トイレの電気を消す」という行為は、ものすごくストレスがかかることなのです。

トイレの電気を消そうとするたびに「今回こそ消さなければ……」「ああ、また消せなかった……」なんて思ってしまう。それならいっそ「消さない」と決めて、潔く電気代を払ったほうがマシだと思いませんか?

もちろん「こんな単純なこともできないなんて……」と自己嫌悪にもなりましたし、忘れるたびにやるせない気持ちになっていました。

でも「トイレの電気は消さなくていいものだ」と思ってからは楽になりました。

もう、できないことを受け入れてしまったのです。すみません。最近は、自動で消えてくれる電球に変えました。自分は変われなくても、仕組みを変えることでなんとかなったので、大変助かっています。

実はこれでも成長したほうなんです。昔は「トイレの電球が切れたら替える」ことすらできませんでした。大学生の頃、電球が切れたのにそのまま放置して、暗闇の中でトイレを使っていたのを覚えています。

最近は、電球交換ぐらいはギリギリできるようになりました。

通勤がめんどくさくて会社にいけなかった

もうひとつだけお恥ずかしい話をします。

大学卒業後は老舗のカメラ会社に入社し、カメラを売る営業の仕事をしていました。仕事自体はそんなに嫌ではなかったのですが、とにかく「通勤」がめんどくさかったんです。

入社したての頃は、職場は家から徒歩圏内でした。でもしばらくするとオフィスが移転して、ちょっと遠くなってしまったんです。

私は途端に通勤がめんどくさくなり、「会社、辞めたいな」とまで思うようになりました。

「これはまずい」と思い、それからはなんとタクシーで会社に通うようにしたのです。

片道1000円かからないぐらいだったので、給料と照らし合わせてみて、赤字にはならないと判断しました。タクシーに乗ってちょっとお金がかかることよりも、会社に行かなくなることのほうがまずいと思ったのです。

だから必要経費だと割り切って、毎日タクシーで会社に行っていました。

新入社員がタクシーで通勤するなんて、常識外れだとは思います。でも、がんばろうとしても、まったくやる気が起きなかったのです。

そうやって自分の「めんどくさい」気持ちと格闘する日々を送るうちに、私はあることに気づきました。

それは「できないことは、どうがんばってもできないな」ということ。

そして「世の中には、自分でやらなくてもなんとかなることが結構あるんだな」ということです。

「なるべくやらない」という戦略

それに気づいてから、私はふっきれました。

「自分でできなくても、誰かがやってくれるんならよくない?」と思ったのです。

パッと見ものすごくダメな人みたいですが、実はこれが、私が会社を経営できている理由でもあります。

なるべく自分でやらないようにする。

つまり、できないことは、どんどんプロに任せていったわけです。

予備校を立ち上げたころ、私はお客さんへの営業があまり得意ではありませんでした。そこで、現場での商談は営業が得意な共同創業者に任せて、私は自分の得意なマーケティングに集中していました。

その後、社会人向けの英語学習サービスを立ち上げたときも、大学で言語学を学んでいた人を大量に採用したり、行動科学のプロにコンサルをお願いして、習慣化のしくみを教えてもらったりしました。

結果として、私自身にできることはとても限られているのにもかかわらず、組織としてはとても強いチームになっていたんです。

電球をゼロからつくろうとしていないか?

「任せる」いうのは、なんでもかんでもコンサルにお願いするとか、お手伝いさんを雇うとか、そういうことだけではありません。

間接的に人にやってもらっていることって、実はすごくたくさんあります。たとえばトイレの電気もそうです。「電気をつける」の手前までは、すべて他の人がやってくれています。

電球を開発する人、生産する人、流通する人、発電する人……。

見えないところでたくさんの人に頼って、私たちは電気をつけているわけです。

さすがに電球の替え方ぐらいは自分も身につけたほうがいいとは思いますが、電球をゼロからつくる方法は、べつに身につけなくてもいいですよね。

これは勉強でもなんでも同じです。

普通は「どうやって勉強するか」から考えがちですが、もしあなたが勉強が好きじゃないのなら、もっと大事なのは「なるべく勉強しない」ことです。そもそもの勉強の総量を減らすこと。努力の総量を減らすことが「効率化」なのです。

議事録の文字起こしにGoogle音声入力を使う。カット野菜で自炊する。自動で出費を計算してくれる家計簿アプリを使う。受験でも、もし将来なりたいものが決まっているなら、本当は5教科も勉強する必要はないかもしれません。

なんでもかんでも自分でやらなくていいように、世の中はできているものです。

自分は「得意なこと」をやる

もちろん、自分でやるべきこともあります。

そこを判断するポイントは2つあります。1つは、自分が得意なことかどうか。もう1つは、マーケットがあるかどうかです。

めちゃくちゃ得意なことでも、マーケットがなければ価値に交換することができません。

たとえば「ゲームが得意で、友達の中ではいちばんうまい」というのは、自分にとっては価値あることですが、なにか他の価値と交換してくれる人はいないでしょう。「ネットフリックスなら永遠に見続けられる」とかもそうです。

つまりマーケットがないと、「売れない」のです。(当たり前ですが)

ところが、同じゲームでも「世界大会で1位の優勝チーム」だったら、その価値を欲しがる人はいます。なかには「お金」と交換してもいい、と思う人もいる。つまり、マーケットがあるわけです。

得意なことと、マーケット。この2つがマッチすることでビジネスをやると、成功しやすいのです。自分の投下する労力に対して、より大きな価値を生み出すことができるからです。

私にとってはそれが「教えること」でした。

塾の先生をはじめたとき「これは他の人より上手にできる気がするな」と思いました。そして、塾で教えるのは楽しいことでもありました。マーケットがあって、自分にとっても価値がある仕事だから、まったく苦ではありませんでした。

それから自分で予備校をはじめると、1年でビル1棟にまで急成長しました。

もちろんまったく努力せずにそうなったわけではありませんが、想像以上の結果が出たことで「これが自分のやるべきことかもしれない」と思いました。

もちろん最初は、自分に向いているかどうかなんてわかりません。やってみたらそれなりにうまくいった、という感じです。だから、まずはなんでも「ちょっとやってみる」のが大切だと思います。

読書は最高の「人任せ」

私は壁にぶつかると、よく本を読みます。

読書はコスパ最高の勉強手段です。「プロに任せる」の要素が含まれているからです。新しい方法や考え方を、自分でゼロから発明しなくてすむ。その部分を人に任せて、効果的な方法を知ることができる。

こんなにお得な便利グッズを使わない手はないと思います。

「まずはちょっとやってみる」といっても、あまりに見当はずれだと努力が無駄になってしまいます。そこで、本で事前知識を得て、ある程度のあたりをつけておくと成功しやすいのです。

私も、起業して3年目で右も左もわからなかった頃には、月に50冊ぐらい本を読みまくっていました。そのために速読教室にも通いました。(速読は、効果があったかどうか正直わからないのですが、少なくとも月50冊も読んでたらそれなりには速くなります。)

スプラトゥーンしながら読書したっていい

「いや、そもそも本を読むのがめんどくさいんだよ」という人もいるかもしれません。そこでおすすめなのが「スキマ時間」の活用です。

このあいだ、自分でもちょっとびっくりすることがありました。

私は任天堂switchの「スプラトゥーン」が好きです。最高で世界34位になったこともあります。(その時間帯に参加した人だけの順位なので、たぶん1000人〜2000人ぐらいの中での34位です。別に大したことではないのですが、うれしかったです)

スプラトゥーンでは、ゲームをはじめる前に「待ち時間」があります。対戦相手とオンラインでマッチングするのに、だいたい3分ぐらいかかるんです。

先日、休みの日に1日中ゲームをしていたのですが、待ち時間にkindleでちょっとずつ本を読んでいたら、1日が終わるころには1冊読み終えていました。

ゲームのスキマ時間だけで、本が1冊読めてしまったのです。

そういうことができたりするので、スキマ時間活用はおすすめです。

スキマ時間をうまく活用するポイントは、あらかじめやることを決めて、手元に用意しておくこと。kindleで本を読むなら、スマホさえ用意していればいいので楽です。普段から、カバンにkindleや本を忍ばせておくといいですよ。

長年の悩みが事業になった

極度の「めんどくさがり」は私にとってコンプレックスでもありましたが、切実に悩んでいたからこそ、多くの人に届くサービスを生み出すことができました。

無駄な努力は1ミリもしたくないし、生徒にもさせたくないな」と思って、予備校では「第二言語習得研究」という学問にもとづく科学的なカリキュラムをつくりました。それを社会人向けに再構築した「ENGLISH COMPANY」は、これまで14000人以上の人に受講していただけました。

「そうは言っても、めんどくさい勉強を継続するのってキツいよね」と思ったので、社会人向けの英語コーチングサービスもつくりました。

あとは、勉強のハックがまとまった「攻略本」みたいなものがほしくて「STUDY HACKER」というメディアもつくりました。いまは350万PVにまで成長しています。

「努力なしで結果だけ」。卒業アルバムに書いたこの言葉は、いまの事業のコアになっているんです。

悩みは事業のタネであり、それが切実であればあるほど、サービスの精度はあがるのだと思います。

もしもいま、あのころの自分に会えるなら「めんどくさがりもなかなか悪くないよ」と教えてあげたい。自分と同じように「がんばれない」と悩む人がいたら、ひとりでも多く力になりたい。

そんな思いで、今日も会社をやっています。

経営者は「任せるプロ」

私がめんどくさがりでも経営者ができているのは、そういう理由なのです。

めんどくさがりだから、自分でやらない方法を考えざるを得なかった。自分でやらない方法を考えると、仕組みを作ったり、人にお願いしたりすることが必要だったわけです。

考えてみると、ものすごくいろんな資格を持っている経営者って、あんまりいないですよね。

経営者は、基本的に「人にお願いする」のが仕事です。個々の専門分野は他の人に任せて、全体の戦略を立てないといけない。「すべて自分でやる」という仕事ではないので、資格をたくさん持っていてもあまり意味がないのです。

もちろん、最初は自分の専門性を武器にして、それをサポートしてもらう形で起業する人が多いと思います。ただ、そのままの体制だと、どこかの段階でかならず伸び悩みます。経営者のリソースの限界が、会社の規模の限界になってしまうからです。

たとえば、孫正義さんが「いまから簿記と宅建とFPとTOEICの勉強をする」と言いだしたら、みんなたぶん全力で止めますよね。「ほかにもっと、孫さんがやるべきことがありますから」と。

ソフトバンクほどの規模でなくとも、経営者の役割ってそういうものだと思うのです。自分でやらずに、人に任せる。自分のリソースは使うべきことに使って、生み出す価値を最大化する。

めんどくさがりな人ほど実は、経営者に向いているのかもしれません。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!