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『脳外科医 竹田くん』のようなお医者を回避するためのヒント

歯ァ食いしばって、最新話まで読んだ。実際に脳外科にかかっている母といっしょに、第1話から閲覧した。母は過去に開頭手術を受けている。私が高校生のときだ。そのときもし、『竹田くん』が執刀していたら。考えただけで長椅子担いで暴れまわりそうになる。

↑先日こちらの記事を書いた時点では、まだ10話も読んでいなかった。

こちらの漫画を読んで恐ろしさに震えた人は、まず人間ドックを受け、病気を(どんなお医者でも治せるようなうちに)早期発見し、ぜひ病院やお医者、病気や薬について自分で調べてほしい。ネットに書いていることなど信用せず、書類に目を通し、信頼できる窓口に電話したり、専門書をあたってほしい。

こう書いたが、それは心得レベルのことである。『竹田くん』を回避するための話ではない。今回は回避するためのヒントについて考えたい。なお私は医学についてなんの知識もない、ただ入院経験がめっちゃあるだけの人間なので、あくまで参考程度にしてほしい。


読めば読むほど、『竹田くん』ひっでえな!


↓が『脳外科医 竹田くん』の最新話だ。

イ”イ”イ”イ”イ”イ”!!!ク”ソ”が”よ”お”!!!

私は10話をこえたあたりで何度も「もうアカン。これ以上読みたない。読みたない!」と言ったが、母はガンガン読み進めた。母は小脳を取り出してその奥でメインの処置を施し、小脳を戻すという高難度の手術を受けている。長い入院期間で、コミュ強の母はほかの入院患者とも交流して、脳神経外科でどんな手術があるか少しは知っている。『竹田くん』が作中でやらかすたびに母は特大のため息をついた。蒼白顔の私の隣であっという間に最新話まで読んだ母は「この漫画、友だちにも教えてあげよう」とつぶやいた。

作中でないがしろにされる患者の数々にバチギレたところで、入院中に感じた医療関係者への感謝を思い出し、この苦しみを中和させたい。

入院中一日に一回様子を見にきてくれた主治医であり執刀医の先生。一日に二回きてくれたこともあった。お疲れのところ有難うございました。ヤバめの血尿が出て泣いてたところへ駆けつけてくれ、そこまで物凄くヤバくはないことを説明し慰めてくれた夜勤の先生も有難うございました。看護師さんも師長さんもヘルパーさんも有難うございました。一生忘れない。



相手のお医者の「立場」を考えたとき、「患者をどう見ているか」は察せられる場合がある


はやい話、今から私がお医者になればいいんだよ。私は医学がさっぱりだが、今からでも医学を勉強して『竹田くん』と医学バトルしたい。お前の医学と私の医学で医学バトルや!私の医学を脳天に叩き込んでやる!実際には高校で数Ⅲや化学Ⅱで赤点だった私には厳しいものがある。悔しい、悔しいよ。専門家になることができないなら、せめて専門家を見分けるためにどうすればいいか考えたい。

専門家の言うことがおかしいかどうかはわからないが、その専門家の「立場」から「患者主体で考えていないのではないか」は察せられる場合がある。

母は評判のいい脳外科にかかっているので『竹田くん』のようなお医者には心当たりがなさそうだった。だが、母の母(私の祖母。以下祖母と言う)が子宮全摘出したときのお医者の言動が、『竹田くん』に似ていたという。

最初子宮の一部を摘出する話だったのに、そのお医者は「70超と高齢だから、残さず全摘出しましょう」と提案し「絶対大丈夫です!絶対よくなりますから!」と言っていた。20代後半~30代前半くらいのお医者だった。貧乏ゆすりをしていた。はきはき答えられない祖母にいらだちを隠せないようだった。「すぐ決めてください!」と祖母に決心を迫った。

第11話で重度の聴力障害にされてしまった人が最初「エエ先生やがな~こんな先生ならゴッツ安心や」と言ってたのを覚えているだろうか。

母は「なんか嫌な感じがする」と思ったらしいが、祖母と叔父(母の弟)は「信頼できる」と言っていた。祖母が自分でこのお医者に任せると決めたのだから、もう母の忠告など聞く耳もたない。叔父なんか「エエ先生やがな~」を言っていたらしい。術後に祖母は体調を崩し、お医者は「ご高齢ですので体調が悪くなったんでしょう」一点張り。『竹田くん』やがな!このお医者は手術直後、祖母から取り出した子宮を満面の笑みで掲げて「やってやったぜ」顔をしていたらしい。「練習に使ったな」と母は思った。このお医者の経験値と実績に「1ポイント」貢献した。祖母は「1ポイント」提供して、その引換えに健康寿命をおしまいにした。

お医者は若くて功を急いでいるようだった。待合室はガラガラだった。いま母が思い出すだけでフラグがそこら中にある。



「絶対大丈夫」なんか、チャランポランがよく言ってる言葉じゃん!


絶対大丈夫
絶対よくなる
自信満々でこんな言葉を言われたら、最高だ。地獄の果てまでついていく。
安心したい、治りたい一心でお医者を信じて、地獄行きだ。

これ、自分がお医者だったら言えるか?励ましではない、手術の説明で。「絶対」の「大丈夫」はどんな根拠に基づいて言えるのだろうか。「こうしたら100%そうなる」と書いてある医学書が存在するだろうか。

今すぐ決めろ!

これについては特殊詐欺の常套句だ。これに焦ったお年寄りがATMやコンビニに駆け込んで振り込んだりアマギフを買う被害にあっている。

ちゃらんぽらん
はっきりした、自分自身の意見が無くて言動がその場の思いつきに終始する様子。信用できない印象を与える様子。

新明解 国語辞典

「この馬券は絶対大丈夫!お前も今すぐ決めろ!500万円ぶち込め!」
これ聞いて500万円ぶち込む人はもう諦めたほうがいいと思う。これがチャランポランであるとわかる人は多いはずなのに、相手がお医者だとなぜ信用するのか。みんな自分の病気に不安すぎて、むやみに安心したがるのがいけないのではないか。

「~(要点をおさえた手術の説明)私はこの手術、何度もやっています。術後に〇〇を訴える患者さんもいましたが、100人やって1人くらいです。リスクはあります。慌てて手術する必要はありませんが、ただあなたの場合、△△になるおそれがあるので、△△が怖いなら、手術をやってもいいと思います。3か月後にまた来るまでに、よく考えてください。手術をするかどうかは最終的に、自分で決めてくださいね」これなら「話が長すぎる」かもしれないが「エエ先生やがな~」にふさわしいと思う。

母の付き添いでそのへんの人より多くのお医者に会ってきたが、「リスクについてちゃんと説明」し、「判断材料を提供」し、「よく考えるよう促す」先生はみんないい先生だった。

短く「私はこの手術何度もやっているし、絶対大丈夫です」「手術受けますよね?入院は何月何日がいいですか」と言い放つお医者にも、いい先生はいるのかもしれない。私は知らないが。

安心したいからって、安心させてくれるお医者が良いお医者ではないと思う。手術で治してくれるお医者が良いお医者のはずだ。



自衛のためにも患者のためにも、「説明をちゃんとしてくれる」お医者は後悔がない

「この患者さんは話が長くなるだろうな」と察して私たち母子を診察の順番の最後に回し、一時間超もの時間を割いてくださったお医者もいた。それも複数いた。人によっては「昼一に来てるのにいま18時よ(激怒)どうなってるの!!もう絶対来ないから!!!」となる人もいるだろう。

どのお医者もめちゃくちゃ良いお医者だった。患者は私たちのほかにもいるから、ほかの患者の順番を先に回した=ほかの患者も大切にしているところも好感がもてる。書類を作成してもらったときも、母=患者の意思を尊重してくれた。

ちなみに私は手術からの合併症になった経験がある。硬膜外麻酔の髄液漏れだ。お医者の事前説明で確かに説明があった。ちゃんと説明をしてくれるお医者から十二分に説明を受け、後悔のしようもなかった。ただ「運が悪かったな~」と思った。これが「絶対大丈夫です!」だったら「どうなっとんねん」と暴れ倒していたと思う。十二分の説明はお医者の自衛にもなる。



『竹田くん』の場合は、一時的にコミュ強になるしかない

私はコミュ強が苦手だ。うちの母がコミュ強なので本当につらい。なんでも「言ってみよう!やってみよう!」で行動する。その結果多くの人と仲良くなるのだ。うらやましい。私みたいに「迷惑じゃないかな…」と躊躇し時間を無駄にすることもない。

コミュ強。できれば関わりたくない。ときにおせっかいだし巻き込むし、疲れるからだ。コミュ強にならなきゃいけないなんてぞっとする。だが…。

これ!この口コミをゲットするためならその限りではない。「私はコミュ強」と50回唱えてから町内会に顔を出す。病院通いが長い人に聞いてみる。病院に勤めている人やその家族に聞いてみる。付け焼刃では教えてもらえないので、普段から愛想よくしておく必要もある。なおS美は別に愛想はよくない。つらい。しかし、何としてもこの口コミをゲットするのだ。これが患者目線で『竹田くん』を回避する方法の一つである。

『竹田くん』は三部作で、いま二部が連載中だ。一部は医療事故の連発。二部では保身のために暴走していく。この連載の目的は何だろう。連載終了と同時に署名やクラウドファンディングをする予定なのだろうか。実際の医療事故の元患者さんたちの体と心の傷が少しでも癒えるなら、なんでもいいが。

『竹田くん』を放し飼いにしていた組織の風土の問題についてはこの記事では書かない。なにもかもに問題があった。ただし、患者が回避する手立てはあると信じている。

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