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中国のマナー

 最近はあまり聞かなくなりましたが、以前は中国人のマナーが悪いという話をよく耳にしました。そしてそういう声が高まると今度はその反動で、いやいや昭和の日本も相当なもので、小金持ちになった日本人がヨーロッパなどに押し寄せて、彼らのマナーの悪さが散々叩かれたんだ、なんて話も聞かれました。

 真偽の詳細はともかく、生活に余裕があるかどうかとマナーに相関がある、というのはそれなりに納得がいく気がします。それでは発展著しい中国の、最近のマナー事情はどうでしょうか?みなさんが中国に来た時に驚かないように、ざっと今までの経験から、中国のマナー事情(2022年現在)について紹介したいと思います。

日中で比べる場合、教育水準が低い(世代の)人の数の違い、社会の状況やそもそもの文化、社会的なコンセンサスの違いなどがある上に、場所によって大きなばらつきがあります。ただあるがままに、そういうこともあるのか、と言う程度に受け止めていただければと思います。

電車

 まずは日本人が比較的「いい」と感じるであろうマナーから。よく中国人は並ぶ文化がなく、平気で横入りをする、と言われます。これはある程度、正しいように思います。一方で少なくとも上海の地下鉄なんかでは、以前よりもしっかりと並ぶようになってきたと感じます。日本の場合、電車に並んでると横入りなのかそうでないのかわからない感じでヌルッとわれ先に入って席を探す人がままいますが、こちらも似たような状態だと思います。多くの人が並ぶ一方、時々、秩序を壊すか壊さないかギリギリのラインでなんとか先に入ろうとする人が出現します。

 それと面白いのは、通勤ラッシュ時は上海も混雑するのですが、ギュウギュウになるまで無理して電車に乗る人が少ないです。むしろ結構スペースがあるのに次の電車を待つこともしばしばで、自分なんかはそれを横目に乗ってしまったりします。中国人が日本の山手線などで、(文字通り)生命の危険を感じるレベルで押し込まれるのを体験したら、かなり驚くと思います。

 電車やバスの中では最近はかなり静かになり、大声で話す人や、大音量で携帯の音を鳴らす人はあまり見かけなくなりました。ここ数年で、エスカレーターで歩く人は激減し、ほとんどの人は左右に分かれて、歩かずに列を作っています。この点に関しては、どうやらどんなに注意喚起しても歩いてしまう日本人よりも”マナーがいい”ようです。

バス

 一方でバスに乗るときは、そもそもバスの出入り口の位置がはっきりと定まってないため、ほぼランダムに集まり、バスが来たらどっとなだれ込む現象が起きます。上海ではやはりおとなしめですが、約5年前、武漢でバスに乗る時にこれに飲み込まれ、恐ろしいパワーで四方から押された記憶があります。当時は妻が妊娠していたため、流れに巻き込まれてしまった時は流石に頭に血が登り、バスの入り口を両手で掴んで人をせき止めてしまいました。

 5年ほど前に比べると、最近はかなり良くなってきました。以前はタクシーで空港に行ったりすると、まるでゲームの中のように左右に車線変更をしまくりながら追い抜く、前の車にべったりと張り付くなど、危険な運転が多かったですが、そういった運転は比較的に減ってきた気がします。ただ、上海でも運が悪かったり、田舎でタクシーに乗ったりすると、やはり運転は荒々しいです。

 今までで一番ひどかったのは、とある出張先から、同僚のつてで車に同乗させてもらったときです。たまたまiPadでマトリックスリローテッドを見ており、高速道路で走っている車の上で繰り広げられる戦闘シーンを見ていたのですが、ふと顔をあげたらなんと車が大きく蛇行していました。なんと運転手、両手で携帯にタイピングしながら、手の付け根をホイールに当て、高速道路数車線を一つの車線として走っていたのです。全く周りに車はありませんでしたが、それから数分間は、全神経を集中して前を見張っていました。

 交通マナーがよくなってきたのには理由があります。おそらく大きな原因は”オービス”です。オービスといっても、上海の場合は一般道路の至るところに設置されています。単なる速度超過だけでなく、明らかな信号無視、明らかに違反な車線変更なども自動で検知し、自動的に点数が引かれるようになっています。
 実際、妻が明らかな違反をしてしまった時、携帯で調べたらちゃんと点数が引かれていました。経験上(!)、かなり明らかな違反でないと点数は引かれないようです。ちなみに、もし不服があれば申請することもできるそうです。

駐車

 非常に面白いことに、駐車場がいっぱいの時、堂々と駐車した車の目の前に車を止められることがあります。ショッピングモールなどでは起きないのですが、屋外のやや雑多とした駐車場や小区(団地のようなもの)などで駐車スペースが足りないときに起きます。しかもそういうときのために、フロントガラスのあたりに電話番号が書いてあったりします。車を出せなくて困ってる側の人は電話をして、車をどけてもらうことになります。

 頻繁に起きることではないですが、すでに半年の間で3、4回は経験しています。そしてこれまでに5、6人の反応を見てきましたが、起こった人はいなく、ちょっとどけてくれる?と、まったくラフな対応でした。彼らの中では大した問題ではないのかもしれません。

タバコ

 あまりよくないです。レストランなどで近くでタバコを吸っている場合は、特に息子がいるときは、席を移動するようにしています。あるいは道端でも割と普通にタバコを吸っている人がいます。タバコを吸うのは年配の人が多く、20、30歳代の喫煙者は少ないような気がします。時々、車からポイ捨てする人も見かけます。20年ほど前の日本に近いかもしれません。もちろん、ショッピングモールなどの中で吸うような人はいません。

食事

 しばしば、テーブルを堂々と汚しながら食べる場面を見ることになると思います。家庭内でも、魚の骨、エビの殻、豚肉についている骨などをテーブルに放ります。最初はかなり抵抗がありましたが、今では同じように振る舞っています。これはある程度一般化できる現象だと思います。日本の場合、最初から全ての動作を通じて環境をきれいに保とうとします。一方で中国では、ゴミ等が出る場合は思い切り散らかしながら、その場の効率を重視して行動します。そして最後にまとめてゴミを集めるのです。

 例えば私の小区でPCR検査が会った時。ゴミ箱はありつつも、確実にそこに入れることにはこだわらず、綿棒の包装などを周りに散らかしながら、まるで工場のラインのように猛スピードで検査をしていました。もしくは少し田舎に行くとサトウキビを外で売っていたりするのですが、皮や余分な部分を思い切り散らかし、後でざっくりと片付けていました。日本でもある程度そういう場面はあると思いますが、それが中国ではより強い気がします。

 他に多くの日本人が気になるのが、食べるときの音です。私は割とすぐに慣れましたが、たまに気になるときもあります。くちゃくちゃ、ペチャペチャ音をたてる人は結構います。この点については、欧米から見たラーメンをすする音に近いかもしれません。ちなみにラーメンなどを、あえて大きな音を立てながら食べる人がいますが、私はそれが苦手です。。

番外編ー春節の爆竹

 マナーの範疇なのかやや難しいですが、多くの日本人が悩まされることの一つです。中国では行事や祝日、イベントが旧暦、すなわち中国の歴で進行します。新年も同様で、2月頃に迎え、春節といいます。大変に大きく重要なイベントで、爆竹を鳴らすのが昔からの習わしのようです。5年ほど前に妻の実家の武漢に行ったときは、朝になるまでずっと爆竹を鳴らしていました。

 一方で最近は騒音や煙などが問題視され、多くの場所で規制がかかっています。それでも爆竹や花火で新年を祝う人は多く、2022年の春節では、私が住んでいる地区でも花火などがあげられていました。ただ、かなり”マナー”がいい方で、だいたい12時過ぎには音が鳴り止みました。

どうでしょうか?
皆さんのイメージと同じ部分も、意外な部分も会ったかと思います。
他にも気になることがあれば、ぜひコメント欄に書いてください。答えられる範囲で返事します。


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