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【セミナーレポート】知財みらい会「若手知財人材のキャリア形成」パネルディスカッション

こんにちは、岡崎弁理士事務所スタッフです。
過日(2024/4/28)、代表弁理士の岡崎が知財みらい会に登壇しました。
知財みらい会は知財・法務系の勉強会で、各企業や特許事務所・法律事務所の知財関係者が講演を行い、質疑応答やディスカッションなどを通じて知財の知識を深めていく会です。

当日は二部構成。岡崎は二部の「若手知財人材のキャリア形成」をテーマとしたパネルディスカッションに登壇し、ファシリテーターを務めました。複数のトークテーマに6名の若手人材が回答する形で会は進行しました。ここからは、トークテーマとパネラーのコメントを合わせてお伝えしていきます。


知財業界を選んだ理由

・研究職からキャリアをスタートさせたが、同じ会社の知財部門と仕事をしたときに仕事ぶりに憧れた、かっこいいと思った

元々知財職ではないキャリアから、知財職を志望するケースは少なくないようです。
岡崎は学生時代から音楽活動をしており、著作権や知的財産権に詳しくなりたいというところから弁理士を志した自らの経験を語りました。

一方で、知財業界に最初から進みたいと考え、就職活動を行った方の声を拾い上げると
・企業のインターンで知財業務に触れ、面白いと感じた
・新規事業や海外展開を積極的に行っている企業は、知財戦略にも積極的だと感じて決めた
・総合職の募集で知財部門に必ず行けるとは限らないものの、最終的に知財部門への社内異動もできると考えた
など、自ら知財業界の実務に学生時代から興味を持って踏み込み、一定程度実務に関する解像度をあげた上で就職活動を進められた方が多いのが印象的でした。

若手人材で、すでに企業の中で新卒採用に関与しているパネラーからは、どのようなアピール方法で学生に知財職の魅力が伝えられそうか、具体的な分析・検証がなされました。

知財職に関する情報がなかなか世に出てこないことが、知財職の採用に関する課題であるとの提言。
具体的な業務内容や、社員の顔がわかるようなコミュニケーションが、知財職を志望する学生にとっては魅力となるのではないかとのコメントがありました。

岡崎から、学生に知的財産権については知られているのに、知的財産権に関する職業が知られていないのはなぜか?との質問。これに対し、パネラーは
・深く知られていない、知財職に従事する方々の広報不足なのではないだろうか
・知財業務は、具体的に何をやるのかイメージできないのではないだろうか。研修制度や教育を行うことで、認知度は高まり、知財職として働きたいと考える人が増えるのでは
との仮説を提示します。既に知財職に従事されている方からしても、納得感のある考えではないでしょうか。

知財業界に入った後のキャリア、どう考えるか

ここからは若手人材の皆さんに、この先のキャリアについて伺っていきました。
・企業の知財人材は若手・中堅が少ないため、いろいろな仕事を任せてもらえるので、まずはここで頑張って、独立や副業はそれから考えていきたい
・メーカーのR&Dは文系出身者には限界を感じることもあって、特許領域から商標領域へ。自分で壁を作ってはいけないと思う、自分なりにできることを探して努力したい
などの意見がありました。ここから、知財業界における対立構造の話に移ります。

知財業界では文系出身者 vs 理系出身者、どちらが活躍できるのか

キャリアを選ぶ上で、この対立構造は意識しないといけないのでしょうか。会場で参加者に文系出身、理系出身のヒアリングをしてみると、予想通り理系出身者の方が大多数でした。

パネラーからスライド提供をいただきました

・採用の時にも理系が強いと感じる。専門領域に関する知識があった方が採用されやすいし、実務でも活躍できる知識があるように思う
・文系は幅広い実務をこなせるのが強みかもしれない
・理系の皆さんに負けずに頑張りたい
・文系で知財を勉強してきた側は、技術アレルギーを持っている人が多いと考える採用担当者もいる。ただ、採用目線で企業が判断するときは、候補者がそのようなアレルギーを持っていないかしっかりヒアリングする。結局のところ、意欲があることはとても大事で、理系と文系の採用目線の違いになるように思う
くわえて、文系出身者は法律や文献を扱うことに長けてますが、技術に関する理解が課題となる可能性があるのに対し、理系出身者は技術の理解が容易な一方、法律や文献の扱いが課題となる可能性があるという意見が出されました。

スキルアップのために何をしているか

文系・理系、それぞれのメリット・デメリットが理解できたところで、パネラーの皆さんはスキルアップのためにどんなことをしているのか伺いました。
・とにかく仕事の量をこなす
・副業で本業でできない領域を積極的に取り組む
・知財だけでなく、経営思想も必要。MBAの勉強なども有用
・社外のメンターを活用して、不足している知識を補う
・中小企業診断士の勉強を開始。知財だけでなく、会社全体が俯瞰して見られるようになった
と、様々なコメント。自発的・貪欲に学ぶパネラーに、頭が下がるような気持ちでした。

まとめ

パネルディスカッションの最後には、岡崎から「まったく知らない人が入ってくるには、知財業界は間口が狭い印象がある。何をやっているか、どんな仕事があるかがもっと広がっていけば、キャリアの一つの選択肢になるのではないか」との、知的財産分野の認知度向上と、多様な人材の確保に向けた取り組みの必要性が指摘されました。

知財みらい会の参加者はそのような問題意識を持った方ばかりですが、さらに知財への間口が広がるような活動に携わっていければと思った所存です。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました!

今回はサイボウズ様のオフィスをお借りして開催しました。エントランスの桜が綺麗!

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