正常と異常のはざま
今日はちょっとシリアスというか、
毛色の違う記事で重たいかも知れません(^_^;)
10代の頃、正常とか異常っていったいどこに区別があるというのだろうか?と不思議になり(思春期にありがちなテーマ?)、精神世界に思索を巡らせているうちに、昔から最も難解とされる精神分裂病(現在の統合失調症にほぼ等しい)に興味を抱いたことがありました。当時は100人の医師がいれば100通りの精神分裂病があるといわれ、生物学的/薬物学的な精神疾患の捉え方の隆盛とは別に、哲学的/文学的な捉え方(精神病理学)がまだしっかりと残っている印象でした。
特に文化人類学的な側面として、
地域、時代によってシャーマン的(スピリチャル的)役割を果たすことがある。
どの時代にも常に約1%存在している。
などが不思議でした。
今回、久しぶりに診断基準とかがどうなっているのだろうと調べてみたら、統合失調症だけでなく鑑別診断(他の病気/状態との区別)にもやたらと新しい病名が増えていて困惑しました。こんなに細かく分類されるようになってるんですね〜。
その中で目に付いたのが、
統合失調型パーソナリティ障害でした。
STPD(schizotypal personality disorder)
カタカナで少しぼかしてありますが、
一つ前の病名は人格障害という訳語だったようで。
同じ意味ですがパーソナリティって言うことでちょっとだけ緩和されますよね(^_^;)
一般集団で4%くらいはいるとのことで、
そこまで珍しいものではなさそうです。
名前をつけたからといって何かが変わるわけではないでしょうが、
対応のおかしなそっけない人がいたとしても、そういうものなんだ、と妙に納得した気にはなれるかも知れません(事前に知っていると受け入れられるといいますか・・・)。
型にはめ過ぎるのもアレなので、そうすることのメリットとデメリットが混在しているともいえるでしょう。
個人的には正常と異常の線引は未だもって不可能と考えますが、
ただ、社会構造的な要請(自傷他害のおそれ)で恣意的に引くしかないものと考えています。
そして、生物学的(物質的)な定義でない限り、時代や社会によって今後も流動的に変わるものと思います。
あてはまる(診断される)としても、だからどうすべきか、ということも時代や社会、環境により移ろいますし、もちろん本人の意志・希望にもよるでしょう。
こういう話しをしていると、スピリチャルの発信者、盲信者/狂信者なども、正常か異常か紙一重かもしれない(あるいは表裏一体?)と思ってしまいます。
ちょっと流石に内容がおかしいんじゃないか?という感覚や、それを一体どうやって判断するのか?ということは、「精神疾患」と扱われているものの判断と同じくらい難解で線引が難しいですよね。
そんなこと別に分からなくていいし、線を引かなくてよいともいえますが、「自傷他害のおそれ」の原則は同様にスピリチャルにも適応されるかもしれません。「自傷他害」といってもスピリチャルの場合は直接「命」にまで問題が発生することは稀でしょうから、自身の生活に支障がでるほどの金額を注ぎ込んでしまい日常生活がままならなくなる、などのトラブルを基準と考えたらいいかもしれませんね。
「騙す方」にも「騙される方」にもその意識が全くなかったとしたらとてもややこしいことになります。
ちょっとおかしいな?と自分で感じ出した時は、冷静に自身を客観的に見つめられるきっかけとして「認知行動療法」のようなスタンスにひとまず切り替えるのがいいんじゃないでしょうか。スピリチャルとの距離感を適切に保つには有効だと思います(=左脳的分析?)。
一方、スピリチャルなことを探っていく時は、どうしても認知行動療法的な分析はその対局にあると思いますので(=右脳的感覚?)、日頃からそのバランスを取っていくことも大切ですね。
理性と霊性、左脳と右脳、どちらだけということはやはり成り立たないものなのかなと思います。
参考〜MSDマニュアルより〜
最後にネットで見られる「MSDマニュアル」からSTPDの情報(概要と診断基準)の部分を抜粋しておきたいと思います。時代とともにまた変わっていくこととは思います。
統合失調型パーソナリティ障害(STPD)
執筆者:Andrew Skodol, MD, University of Arizona College of Medicine
レビュー/改訂 2019年12月
統合失調型パーソナリティ障害では,認知体験は,他のパーソナリティ障害で生じるよりも派手な現実からの逸脱(例,関係念慮,妄想様観念,身体的錯覚,魔術的思考)ならびに思考および発話のより強い解体を反映している。
報告されている統合失調型パーソナリティ障害の有病率は様々であるが,米国の一般集団での推定有病率は約3.9%である。この障害は男性の方がやや頻度が高い可能性がある。
併存症がよくみられる。統合失調型パーソナリティ障害患者の半数以上はうつ病のエピソードを1回以上有しており,患者の30~50%で,統合失調型パーソナリティ障害の診断時に うつ病が認められる。このような患者はしばしば 物質使用障害も有している。
STPDの症状と徴候
統合失調型パーソナリティ障害患者は第1度親族を除いて親しい友人または相談相手がおらず,人と関わることに強い不快感がある。必要があれば人と交流するが,自分が他者とは異なり,どこにも属していないように感じているため,交流しないことを好む。しかしながら,患者は人間関係がないために自分は不幸であると言うことがある。患者は社会的状況,特に不慣れな状況で非常に不安になる。ある状況で過ごす時間が増えても患者の不安が和らぐことはない。
患者はしばしば普通の出来事を自分にとって特別な意味をもつものと誤って解釈する(関係念慮)。患者は迷信的になったり,自分に特別な超能力があり,出来事が起こる前にそれを感知したり,他者の心を読んだりすることができると考えることがある。また自分には他者を魔術的にコントロールできる力があり,他者に一般的な行為(例,犬に餌を与える)をさせているのは自分である,または魔術的儀式を行うことで害を防ぐことができる(例,手を3回洗うことで病気を防ぐことができる)と考えることがある。
発話が奇妙になることがある。発話が過度に抽象的になったり,具体的になったりし,または奇妙なフレーズを含んでいたり,フレーズもしくは言葉を奇妙な形で使用したりする。統合失調型パーソナリティ障害患者は,しばしば奇妙な服を着たり,だらしない状態で着たりし(例,合わないまたは汚い服を着る),奇妙な癖を有していたりする。患者は通常の社会的慣習を無視することがあり(例,視線を合わせない),通常の社会的合図を理解しないため,他者との交流が不適切であったり,よそよそしかったりする。
統合失調型パーソナリティ障害患者はしばしば疑い深く,他者が自分をやっつけようとしていると考えることがある。
STPDの診断
診断基準(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition[DSM-5])
統合失調型パーソナリティ障害の診断を下すには,患者に以下が認められる必要がある:
このパターンは,以下の9つの症状のうち5つ以上が認められることによって示される:
また,症状は成人期早期までに始まっている必要がある。
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