詩 『行列のできる夜へ』

ふとしたつまらなさに
「あたしゃもうだめっすね」
満月にまつわる怪談話が
田舎訛りで黙読してる。

僕は包丁屋さんの前のベンチで
正午に月が綺麗だと思った。
君はその近くで何かを頼んでいた。
それはそれは大事そうに感謝して啜っていた。
よく見たらただのゴキブリだった。
それから僕の目は光が分からない。

弱った生物の端っこの隅っこで
犬は化け猫に変化し僕をたべる。
それが現代にも通じるのに
みんな分かるはずなのに。

ふと下を見てみると手が肉球になって
腕がメカニカルになって
胸の当たりから2000万本の薔薇が生えてきた。
僕らはそれを見て星に捧げようと考えた。
それが現代日本に通じる宗教だ。

ワイプの宗教が光ってるよ。
アボリジニーの教育が呼んでるよ。
iOS版の芸術が不貞腐れてるよ。

駅状の皆さんがハレルヤと唱えて、
幸せそうな顔をして、
なにか思い出した時には悲しそうな顔もして、
優雅な夕暮れに感化され、
行列になって、目からこぼれ落ちて、
はっと気づいて、無駄に焦るのでした。

この記事が参加している募集

私の作品紹介

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?