5月1日㈬〜2日㈭ 眼鏡のレンズだけを見てそれを通した景色を見ないような愚行

5月1日㈬
・ホテルの部屋に人間がいた痕跡を消す仕事。
 今日は美人推しメン同僚Hさん、ベテランコミュ力高熟女Мさん、私より極度の対人恐怖症Iさん、私、の4人だけしかいなかった。
 エレベーターの中でМさんが話を振ってくれて、4人でふわっとだけだけどお喋りめいたものができて、Hさんと話したくてもいつも日和って話しかけられなかった私は、密かに歓喜する。

 3フロア担当し、3フロアとも私一人しかいなくて、さすがに淋しかった。

 淋しかったので、帰りに電車で爆笑問題カーボーイを聴いたら、太田さんがウエストランド河本さんにお父さんみたいな優しい説教をなさっていて、お父さんのことを思い出して泣いた。



・マックへ行ったら、厨房でバイトの高校生っぽい坊主男と金髪女がキャッキャ楽しそうにお喋りしながら作業していて、こんな青春送ってみたかったなと胸キュンする。
 その2人の姿をレジのベテラン熟女店員さんが明らかにヤキモキしながら見守っていた。
 たしかに、マックでルノアールくらい待たされるの珍しいから、私はベテラン熟女店員さんの味方。


・人妻の家に行ってその家に住んでいる子どもに知恵を授ける仕事。
 1件目、あまりに眠すぎて生徒さんが勉強してる後ろでウロウロ歩き回ったり身体中のあらゆるツボを押しまくったり「覚醒 方法」で検索しまくったりして、この世の『授業』史上初、教師が授業に集中していなかった。申し訳ない。

 2件目、珍しくお父様が応対してくださり、気を遣って犬を自分の部屋へ連れて行ってしまった。
 私はこの家をアニマルセラピーのついでにたまたま傍に座ってる人間の子供に授業もする、という感覚で来ているので、無念。




5月2日㈭
・1日中家にいる。
 母と弟のどっちかが買った日本酒を勝手に拝借して飲む。
  
 考えてみれば、私は学校でも職場でも、近くにいる人に「今日暑いですね」的な雑談をしてだんだん仲良くなっていく、ってことが苦手で、こっちから人に話しかける勇気が出なくて、

それで、雑談とかする代わりに、お笑い的なことしてみたり演劇やってみたり小説書いてみたり、それで注目してもらって周りから話しかけてもらうっていう、あくまで雑談に代わるコミュニケーション手段として、いろいろやってきたのでは、と気づく。


 だから、お笑い的なこととか演劇とか小説とか、そういうものにこだわりすぎた結果、周りの人と仲悪くなってしまうようなことがあったらそれはとてつもない本末転倒、超本末転倒。

 本当は雑談ができるようになればそれで良いんだけど、32年近く生きてきて、さすがに、私の最大限の雑談のスキルを磨いたとして、それでも人並みに達しないから、目悪い人が眼鏡をかけるように、私はお笑い的な活動をしている。

 つまり、私が一番求めていることは「人と仲良くなること」であって、それを『芸術』とか『作品』とかなんやかや格好良い言葉に惑わされて、「人と仲良くなること」の上にお笑いとか演劇とか小説を位置づけてはいけない。そんな崇高なものではない。
 私は、人と仲良くしたい。

もしお金が余っていましたら、ください。