新しい弁護の形?後先考えない被告人に手を差し伸べた証人の正体は?(業務上横領) 傍聴小景#74
一応、僕だって裁判を傍聴していて「う〜む」と悩むというか、どうなのかなと思うことがあるんです。
それは被告人の更生について。
いくらなんでも、「絶対再犯するんだから出来るだけ長い刑期を!」なんて野蛮なことを考えませんが、「被告人は今回の件で反省しているから大丈夫や!」、「この証人が見ててくれるなら大丈夫や!」と本心から思えることだって正直稀です。
それ自体は、証人は当然悪くなくて、更生のプロでもないのに限度があるよなと思っちゃうんです。過ちを犯してしまう本人が悪いのは絶対ですし。
とは言え、証人の方が来られて、「監督しますので、今回は何卒...」というのは多くの裁判で行われますし、どうせなら再犯防止に有効に作用してほしいと思うのです。
というわけで、今回は被告人の更生と情状証人についてのお話。
はじめに 〜会社のお金を不正利用して…を想像しますが〜
勝手な印象ですが、「業務上横領」って罪名聞くと少し大きな事件な感じしませんか?
「業務」ってつくので明らかに仕事の話ですし、「横領」っていうとなんかほら、経理の人がなんか帳簿をいじって大金を動かしたり、その他諸々。(小学生並みの感想)
裁判の話をする際に「一般の人はこういうことを思い浮かべるかもしれませんが、実際は...」ということがよくあります。ただ、業務上横領に関しては、上記のような話にはちょこちょこ出会えるので、意外と見るべき罪名としては見逃せません。
まぁ今回は、そういうのとは違った、いやはやなんともな感じの内容なのですが。
事件の概要(起訴状の要約) 〜どう考えてもバレる犯行〜
簡単に言えば、社用車をパクって会社からもバックレた事件です。
車の持ち去りなんで、金額は60万円と安いとは言えませんが、「業務上横領」って言葉からイメージするのとはだいぶかけ離れた犯行なのではないでしょうか。
会社の人も状況を把握するのに少しタイムラグがあったんじゃないでしょうか?
どう長く見積もっても、2〜3日で完全にバレる犯行です。社用車だからナンバーも控えているだろうし。どういう状況だったのか気になるところです。
検察官が提出した証拠類 〜辞めるの社長に言うのもめんどいし〜
自暴自棄とか無気力というのとは、また少し違う気がするんですが、こういう人いるいるというのが伝わってくれれば。見た目は特段、無気力だとかそんな感じでもないんですけどね。
再犯防止のために、仕事をするというのは一つの手段ですが、その勤め先で前科含めて問題を起こしているようでは、どう弁護の軸を組み立てるのだろうと心配になってしまいます。
家族構成はよくわかりませんが、出身は九州のようで、家族が傍聴席にいる感じもありませんでした。
証人尋問 〜証人は何を誓う?〜
それでも弁護側には請求する情状証人の方がいらっしゃいました。
40〜50代くらいの男性で、被告人の親としてはちょっと若く、兄にも見えない。勤め先の上司としても、元の会社は辞めちゃってますし、新しい勤め先の人がいきなり来るとも思えないしなぁ...。
ほ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜、こういう方が証人尋問に立つようになりましたか。
媒体違いますが、私が弁護士ドットコムニュースに投稿した上記記事において、山口県は社会福祉士の人と共同で更生に取り組んでいるという話がありましたが、これと同じ取組ですよね。
大阪でも(大阪のほうが?)、生活困窮による犯罪というのは多い気がしますので、なんとかこういった取組が広がらないか気になっていたところなのです。
ここから先は
傍聴小景 会員限定ページ
毎月約100件の裁判を傍聴している中から、特に印象深かったもの、読者の方に有意義と思われるもの、面白かったものを紹介します。 裁判のことを…
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?