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さすがにその主張は詰んでません?証言台もひっくり返った異例の裁判(名誉毀損) 傍聴小景#80

やりやがったって思いですよ。

正確に言えば、裁判にはなっていないので、やったのかどうかはわからないのですが、ハッシーですよ、ハッシー
なんのこっちゃわからない方は、詳しくはニュースなどをご覧ください。あまり個人を特定させたくない私の発信物ですが、これくらいは特定させていただきます。

もちろん今回の事件も衝撃なのですが、今年の6月末まで彼はずっと滋賀県の大津地方裁判所にて刑事裁判を受けていたのです。それでいて一ヶ月も経たない犯行なのが驚きを倍増させている要因なのです。


で、その元々の大津地裁の裁判なんですが、私は初回公判を除いて全部傍聴しておりました。
ただ、いろいろと思うところあって、記事などに発信はしていなかったんです。Twitterで発信したり、他社さんに情報提供とかはしてたけど。

とはいえ、さすがにこんな事態になったら書かない方が不自然なので書きます。

「マジで!?ハッシーの前の裁判の情報を読めるの!」ってニュースなどから喜び勇んでお越しになられた方々が、げんなりするほどガッツリ書いてやりますとも!



はじめに ~被告人の姿にちょっとショック~

罪名 :名誉毀損
被告人:40代の男性
傍聴席:平均16人(傍聴した全5回)

少なすぎるよ!
将棋界やネット界に固定のファンがいるハッシーの裁判だよ。ニュースもそれなりにやってたのに、どうして傍聴人がこんなに少ないの?

後述するけど、第2回公判でとある事件が起きて、それがネットニュースやらになって第3回公判以降は結構増えたけど、それでも本人の知名度的には全然足らないでしょ。

そりゃあ、平日にやっているから裁判なんて傍聴できないって意見は分かるけどさ、僕のnoteで取り扱ってきた「ピーチ事件のあの人」だったり、「4630万円のあの人」と比べると、事件性はそんなかもだけど、元の知名度は段違いな訳で。いまいち、ニュース性と傍聴人の数の関連性が掴めていない裁判ライターを名乗る私なのです。


大津地方裁判所

さて、滋賀県の大津地方裁判所まで勇んで参った私ではありますが、実は事件について詳しくは知らなかったんです。また、事件以外のその他取り巻く環境なども知らずでして。まぁあくまで、裁判で得た情報だけを発信したいので、その後もロクに調べてもいないのですが。

被告人の彼については多少は知っていました。なんせ僕は、将棋の3手詰くらいだったら、ギリ答えを見なくても解けるくらいの腕前ですから、被告人の彼のことは対局前のインタビューで小刻みに揺れていたという情報くらいは知っておりました。


詳しくは知らないまでも、明るい感じの人なのかなと思っていたので、実にショックでした、

勾留服に身を包み、手錠をかけられた姿の被告人を見たときは。


言い方悪いですが、名誉棄損罪で身柄拘束というのが意外過ぎました。今になって思えば、今回の凶行というのがある程度予期されていたものなのかもと思いますが。
とはいえ、そのときは身柄解放されて、普通に法廷の入口からトテトテ歩いてくることを想像していただけにショックでした。また、公判全体を通して、意気消沈というか、沈んだ雰囲気を持っていることも印象的でした。



4/12 第2回公判で起きた大事件

すでに行われた1回目公判の情報もロクに入手しないで、2回目公判にいきなり乗り込んだ私。何の疑いがかけられているかという起訴状の朗読がされることはないと予想していたので、「ハッシーを見る記念」くらいの気持ちで乗り込みました。

ですが、時期が4月だったこともあり、裁判官の異動があった模様。この裁判においても第1回公判と裁判官が変更になったようでした。
その場合、公判手続きの更新として、公開の場で被告人、弁護人、検察官にそれまでの意見に変更はないかという簡単に引継ぎ的なことが行われます。

そこで発覚したのが、今回疑われているのが、被告人が元妻にに対してTwitterアカウントを2つ用いて名誉を毀損する書き込みを2件行ったというもの。内容については明らかになりませんでしたが(多少の文言は裁判の流れで後述します)、それについて改めて被告人の意見が述べられました。

1件目に関しては、投稿したことは認めるが名誉毀損にあたらないと思っている。Aとは離婚に際して和解がされており、そのような中で告訴されたものだから、この逮捕は不当です。

2件目に関しては、投稿の事実すら自分の知らないことだから否認します。

なんというか、落ち着きつつポイントを押さえつつ話すので聞きやすいんですよね。裁判の主張として正しいかはともかく。やはり、素としては頭がいい方なのだろうなとは感じます。


その後、弁護人から同意の得た検察官証拠の取調べが行われました。

主なものとしては、携帯電話を3台押収していて、その中に入っていた写真がtwitterのアイコン写真と同一のものがある。恐らく投稿した日時前後の足取りを掴むためのホテルの予約状況やカレンダーについて。

そして次回、捜査に当たった警察官2名の証人尋問を行うことになりました。否認しているポイントを明らかにするということなのでしょう。


では、次回の裁判の日程を調整して、本日はここまで、
といったところで被告人が手を挙げました


保釈請求について不服があるのでお時間をいただいてもよろしいでしょうか


やはり保釈の請求はしていて、それが通っていない現状があったようです。裁判長は「手短にならどうぞ」と発言を許可され、証言台へ移動。

そこで事件は起こりました。


11月6日に逮捕され、4ヶ月勾留されている。その間、4回保釈請求は却下されている。携帯電話も返って来ないため、検察官に質疑したい。

①最後に携帯電話を調査して数ヶ月が経つのに返って来ないのは何故か
②罪証隠滅ということだが、すでに捜査もしているなら何を隠滅するというのか
③和解が成立しているのに、罪証隠滅するというのはどういうことか

といったことを質問。

しかし、ここで裁判長が「意見を述べることは許可したが、質疑をするものではないので、答える必要はありません」と検察官に代わりピシャリ。

その後「わかりました」と言い、被告人はなおも証言台のイスに座りながら大量の資料などを見ながら、何か意見を述べたい様子で数秒沈黙。

裁「では、次回の日程ですが、」
被「まだ保釈の質問が終わっていない

裁「質問には答えないと言ったはずです」
被「話を聞いてくれない理由を教えてください」

裁「発言を禁止します」
被「いい加減にしなさい、話を聞きなさい」

裁「これ以上、発言を続けると退廷を命じます
被「なぜ、話を聞いてくれないのですか」

裁「それでは被告人に退廷を命じます」

俺(なんだか、よく見るな最近この展開)

警備員に囲まれるも退廷せず文句を言い続ける被告人。
法廷の外からも裁判所の職員がバタバタと入って来る。

裁「抵抗はしていますが、暴力行為は働いていないのでそのまま続けてください」

警備員もやさしく「ほらっ、もう静かに外に出よう。ねっ」と優しめに諭す。被告人は腕を取られまいと抵抗するが、誤って腕が警備員の顔面にヒットしたらそれこそ大問題と思ったのか、ある程度セーブしているように見えるも、1~2分は続く。
裁判官、検察官、弁護人は微動だにせず。ワイはひたすらメモを取る。

被「傍聴人も見ていますよ!こんな裁判何度やっても仕方ないでしょ!暴力で言論を封じて

俺(そうだ!俺も見てるで!でも、メモ追い付かないからゆっくり喋って~(´;ω;`))

など、下らないことを思っていたら、

ガターン!!!!

ぶつかったのか、蹴飛ばしたのか、豪快に倒れる証言台。普段見えない、恥ずかしい部分も露になった証言台の裏側は何本かのコードが見えました。

それでも動じない関係者はさすがというか、精神状態どうなってんねんと思いつつ、さすがにこのことは被告人もよくないと思ったのか、多少抵抗しながらも法廷の外へ連れられて行きました。

いやぁ、驚きましたね。まさか大津地裁に初めて傍聴行ったタイミングで証言台が倒れるなんて初めての事象に出会えるなんて。行く先々で事件が起こる、裁判界の金田一orコナンの異名を名乗りたいくらいです。


この件についてツイートしたところ、多くの反響をいただきました。その中で2つほど取り上げたいと思います。


保釈請求について確認する場として適していたのか

これは適していないと考えるのが普通と思います。そこについてやり取りする場ではないので。

ただし、気になることとして、質疑はダメよとは言ったけど、「そういう場ではない」ということは恐らく裁判長からも説明はなかったのです。
本人にとっては不本意であろう4ヶ月の身柄拘束でフラストレーションが溜まっていた中でしたし、なんか他の意見を言いたげだったのに、ピシャリとしちゃったのは被告人の言う通り「話を聞いてくれない理由を教えてくれ」と主張に至るのは仕方ないのかなと。

「そういう場じゃないから」という指摘はもっともですが、ならそれを教えてあげればいいのに、とは思いました。


そして、これに関連して2つめとして


弁護人は何をしていたのか

ずっと静観されていました。
別に保釈請求が通らないことをここで戦えなんて思いませんけど、裁判長が退廷をほのめかしたので、「もうそろそろ」と助け舟を出してもいいんじゃないのとは思いました。

ただ、この「助け舟を出してもいいんじゃないの」という意見にも結構意見をいただきました。

・そう思う。関わりたくないんじゃないの?

・被告人が保釈請求の結果を納得いってないし、どうせ退廷食らっても大きく判決に影響なんて出ないから好きにしなさい、とアドバイスしたのでは

・それを止めることで国選を解任されたらどうすんだ!
などなど

いろいろな意見があって大変勉強になりました。
裁判情報を通じて法曹関係者だけでなく、法律に詳しくない一般の方も意見を交わせられる場というのは、やはり法律のもと生活している我々にとって、もっと活発になされたらいいなと本当に思うものです。

その一方で、この件が大いに話題になったので、これは大津まで判決を見届けなきゃいかんなと、お財布の心配をしてみたり…。



4/27 傍聴人の数が増えた第3回公判の冒頭にて

証言台がたーん事件(別名、大津事件)で、僕もメディア様から取材を受けたり、5chで動向を追ったりして注目度の向上を感じていた中、わずか2週間ほどでの第3回公判となりました。

5chを見てたら、適当な次回日程を書いている人がいたり、それをデマだなんだとやり合ったりと変わらぬ民度にほっこりしたりしていました。


やはり前回の騒動があったので、第3回公判ではいろいろと変わったことがありました。

まず、傍聴人が増えました。増えたといっても20人強ですが、前回が10人弱だったので倍増しました。裁判には不慣れな感じの将棋トークをされている大学生っぽい集団もいて、彼らは判決の日まで見届けていましたね。

法廷は70名以上が座れる大きなところを前回から使っていたのですが、最前列にテープが貼られ座れなくなっていました。また暴れてイスとか飛んで来たら危ないということでしょうか。これも最後の判決期日まで解かれることはなかったです。

そして、被告人を囲む警備さんが初回の2人から3人に増えました。これもtwitterで何人になるか予想されている方もいましたが、大暴れした訳でもないので1名増加に留まりました。

ちなみに別件ですが、1人の被告人に対して6名の警備さんまでは見たことあります。どう考えても6名だと法廷内狭いっすよね。
サッカーの終了間際ゴール前にガチガチに固めている感じ、もしくはカイジのパチンコ「沼」編のラストあたりを想像してもらえたらと思います。


被告人が入廷しました。前回以上にうつむき消沈気味。
そして開廷するや否や、被告人がまたも手を挙げました

裁判長殿。前回は、法廷ではふさわしくない暴言を発したことを深くお詫びいたします。今後はいかなる訴訟指揮にも従います。深く反省しております。申し訳ありませんでした。

深くお詫びする被告人。ここではしっかり反省できる人なんだと思ったのに(´;ω;`)
裁判長はただ「はい」とだけ言って裁判が始まりました。

この日は警察官2名に対する証人尋問でした。尋問の内容についてポイントだけ

検察側
・名誉毀損の疑いがあるツイートをどのように検索したのか
・被告人から3台のスマートフォンを押収して、Yahooメール、Gメールの捜査もした
・押収スマホ内のメールでtwitter社からの英文での警告メールを確認した経緯

弁護側
・捜査においてスマホ内のtwitterアプリの確認状況 ― 確認した
アプリの確認は黒スマホ、赤スマホどちらか ― 忘れた
・黒スマホは使える状態にあったか ― 確か操作はできたけど、ネットはできないと思う
・赤スマホは捜査したか ― 一応見たけど、twitterアプリの有無は覚えていない

被告人は2件目の起訴事実については全くの事実無根と争っているので、その捜査の経緯を確かめる尋問だったようです。

検察としてはツイートが被告人から発せられているものであるのを確認するために、被告人使用のメールアドレスに紐づけされたアカウントであることの証明

弁護側としては、恐らく時間軸などの観点から3台のスマホがどういう状況だったかと、twitterアプリについて確認した模様。

なかなか地味な回で、裁判が終わって法廷に出たら、「こんなことをいまだにやってるの?」と困惑する声が聞こえました。


しかし、がっくりされた方々安心してください。次回は注目の被告人質問ですよ。

ただ、この裁判長、早口で次回の日程とかも繰り返さない人だったから、裁判慣れしていない人には、ホント訳もわからず終わったんだろうなという感じでした。



5/17 第4回公判―被告人質問(弁護側)

大津に行くのも慣れてきました。

この日は午後1時10分からの公判だったのですが、いったん京都のトレーニングジムに寄ってから京阪電車でまったりと向かいました。地元の方に教わったラーメン屋などにも趣き、あと何回大津に来るのかななんて思い出作りに走ったり。

「天下ご麺」さん

ちなみに大津地裁は、JR大津駅からすぐなので関西のど真ん中である大阪駅からのアクセスはバツグン。なんなら地下鉄に乗り換えたりしなければならない京都地裁よりも行きやすかったりするのです。


さて、本日は裁判の肝である被告人質問。前回が地味な回だったので傍聴人の関心はどうかなと思いましたが、前回と同じくらいはいました。


質問の前に弁護側から証拠の取調べが2点請求されました。

1点は元奥さんとの調停に関する書面。
これは検察官も取調べに同意し、双方SNSでの個人情報に関する発信を削除する内容が盛り込まれていることが明らかにされました。

2点目は被告人の陳述書ですが、これは検察官が取調べに不同意としました。


では、被告人質問の様子です。

弁「まず1件目の起訴についての認識を教えてください」
被「A(元妻・被害者)が和解が成立しているのに、どうして逮捕をさせられたのか承服しかねる

弁「このツイートをした事情を教えてください」
被「離婚裁判中で、僕から言い出したとは言わないが、AやAの弁護士からの私への中傷が酷かったんです。医者からも仕事を休んだ方がいいという精神状態で。その中で、子どもの連れ去りということに問題提起をしたく行いました」

元妻に対して親権を巡るトラブルがあったようです。

その事情は詳しくないのでここでは語らないのと、裁判においてもこれ以上、子や親権について語られることはありませんでした。

弁「ツイート内容が名誉毀損にあたるとは思いませんでしたか」
被「弁護士にも確認し、そういう声はなかった」

弁「その後、どうなりましたか」
被「私への中傷は一瞬やみましたが、Aが新しい弁護士を雇って中傷してきました」

弁「1件目のツイート以降、Aや家族に関する投稿はしましたか」
被「その前後1ヶ月ほどはしていたけど以降はしていません」

弁「Aとの和解に関する条文での、SNSでの個人情報に関する削除をするというのは守ってますね」
被「Twitter、YouTubeをすべて削除とのことだったので行いました」

弁「この件で、Aが告訴していたことは知っていましたか」
被「知らなかった」

弁「改めてこの1件目の起訴事実についてどう思いますか」
被「この裁判所で和解が成立したので、この裁判所で名誉毀損として刑事裁判化していることに疑問を感じている。Aが告訴のタイミングを虎視眈々と狙っていたのではないか。起訴状にて「名誉を棄損する目的で」とあるが、そんな供述もしていないし、さすがに無罪だと思っている

離婚調停、ツイートとの時間軸が微妙にわかりにくいので、分かりにくい部分はありますが、なんとなくの主張はわかりました。

和解が成立した直後に刑事告訴して汚ぇじゃねぇか!ってことなんですかね。まぁ言いたいことはわかりますが、またそれとは別の話ですからね、それを理由に無罪ってのは厳しい主張かと思いますが。

弁「今回、iPhoneが3台押収されていますね」
被「2台は古いので解約してて、カメラとして使ってました。携帯電話として機能していたのは3台目のみです」

補足:
押収された3台のスマホについて、古い順に「赤」、「黒」、「クリア赤」(現在稼働中)と以後、表現を統一

弁「捜査でスマートフォン内のtwitterの調査などされた証拠がありますが」
被「逮捕されて捜査されている間に、不正を疑う扱いをしたと思っています」

弁「(黒or赤 か不明瞭)にtwitterアプリが入っていたとあります」
被「これが警察を疑う理由で、それは単にカメラ機能用に持っているだけなのでアプリがあるのは考えられず、逮捕後に誰かが入れたとしか思えない」

弁「クリア赤にはアプリは入れていましたか」
被「インストールしていません」

twitterアプリなんて入れてないんだからやっているはずがない!という主張。
まぁ本当だったらそうとしか言えないよなとも思うし、単に否認のため嘘ついているだけとしたら、もう少しうまい言い分思いつかなかったのかとも思うし。

弁「2件目の起訴事実の投稿がされた日は何をしていましたか」
被「福島の知人の宅から福岡の実家へ向かってました」

弁「そのとき持っていたスマホは」
被「クリア赤です」

弁「つまりtwitterアプリを入れていないから投稿できないわけですね」
被「そうですし、どうやら複数のアカウントから投稿されているようですので、複数のスマホを持っていないとできないはずです」

いや、そんなことないですよ。私もtwitter純正のスマホアプリ持っていますけど、いくつかアカウント登録できます。
1台しか持っていないから、別アカでツイートできないというのは主張として稚拙過ぎると思うのです。

弁「ヤフーメールは利用していましたか」
被「使ってはいましたが、基本はGメールです。ヤフーは面識のない人へ開放していただけです」

弁「2件目の起訴事実についてどう思われていますか」
被「証拠やらを見て、何が何やらわからないというのが正直なところです。自分で調べてみたら不審な点だらけです。なので否認するのは当たり前。否認に対して何か言われるいわれもないし、濡れ衣なら大変なことだと思っています」

最後のメール云々は、twitter社からの警告がyahooメールに来ていることについての反論でしょうね。普段使うことのないメールです!って。

全体的に「私知りません」っていう主張なんだけど、その言い分が弱いんよな。

本来の司法において、被告人側としては無罪を完全証明する必要はなく、合理的な疑いを残せればいいんだけど、正直それすら残せていない印象。
結局、「クリア赤にはtwitter入れてません。入れてないったら入れてません!」以上のことを言えてないんよな。

とは言え、罪状は違うけど、もし痴漢の疑いがかけられてて本当に触っていないとしても「だって触ってないんだもん」以上の言い分って作りにくいんだろうななんてことなども思うので、一応裁判を見守るものとしてはできるだけ言い分はちゃんと聞いてあげようとは思うのです。


5/17 第4回公判―被告人質問(検察側)

検察側の質問はもっぱら否認している2件目の話ばかり。否認事件の検察側質問って、その答えに「それは通らないでしょ」と思うことはあっても、認めに転じるようなことはなく否認が続くだけだから、聞いてる側はちょっときついんですよね。

検「2件目で投稿したとされるアカウントですが、あなたは作ってないんですか」
被「はい」

検「そのアカウントからこういった内容が投稿されていることは知っていましたか」
被「逮捕時に容疑を聞いて、そんなはずはないと思って否認をしましたか」

検「誰が作ったかは心当たりありますか」
被「Aですね」

検「もう一つアカウントがあるけど、それもAが作ったと」
被「それは警察だと思います」

検「どういうことですか」
被「最初の逮捕のときから変だったんです。1ヶ月取調べもなく、ただ勾留されていただけでした。なので、その間になにかあったのかと

いきなり「それは通らないでしょ」と思いつつ、「1ヶ月ただ勾留されてた」と主張されると、それはそれで明らかにして欲しいななんて思っちゃいます。

検「被告人を1ヶ月勾留のみしていましたか」
警「してないです」

のやり取りだけで構わないので。


検「赤や黒も通常の用途として使っていたんですか」
被「相当前ですね」

検「赤と黒はカメラとして使っていたと言いますが、クリア赤にはカメラはついていないんですか?」
被「ありますけど、自撮り棒などで落としても困るし、YouTube用に2台くらい必要なんで」

検「1つめの投稿自体は認めていますが、それはどのiPhoneで」
被「黒だと思う」

検「赤にも黒にもtwitterはインストールされていたのでは?」
被「黒はされていたかもだけど、赤にはされていないと思います」

検「でも警察は赤にアプリがあると言っています。それは警察がしたと
被「はい、そうです」

検「犯行に使われたアカウントのペットホテルで写ってる写真はあなたですか」
被「そうです」

検「この画像があずかり知らないところで使われているといった心当たりは」
被「逮捕の期間にどう使われていたかは、私は知らない

「これなんかいいんじゃね?」と、ペットホテルでの写真を選んで、アカウントを捏造した警察官を想像したら少し面白かった。

検「2件目を投稿したとされている時間の前、知人女性と都内で会っていると思いますが、どうやって連絡を」
被「別に親しくない人なんで、Yahooメールです」

検「2件目が投稿されたあと、ご両親からYahooメール宛に連絡が来ていませんか」
被「家族ならLINEでの連絡のはずなので、履歴があるとしたら理由はわからない」

検「Yahooメールは使うことはないんですね?」
被「お酒を飲んでいることもあるのでわからないが」

検「警察の取り調べで「黒」でtwitterアカウントを示されて「私のです」と言っていませんか」
被「そのように書けと言われたので書きました。精神的に参っていましたので」

検「言っていること矛盾していませんか」
被「警察が触っているところを写真に撮りたいと言っていた」

ようやく「異議あり!」「それは違うよ!」みたいな矛盾点を指摘するようなターンでしたが、正直スマホが3台、アカウントもいろいろ出てきて、ちょっと混乱気味。
なので、別に謎解きnoteではありませんので、全体の流れにおいて細かい矛盾などがあっても、そこは私の誤りの可能性もあるので目をつむっていただけると…。

検「1件目の投稿は弁護士に見せたのですか?」
被「家族間のことなので投稿の権利はあるだろう、と」

検「投稿したこと自体はどう思っていますか」
被「適切かはわからないが、他に手段もなく、調停でもなぜAだけがと不審に思っていた。カーッとなる部分はあり、もう少し冷静にとは思う。」

検「Aに申し訳ないとは思いますか」
被「事の発端はAなので思っていません

長い質問でしたけど、最後の意思が聞けたので満足です。2件目の否認は真実はともかく、1件目の投稿に関しても悪いとは思っていないのですね。相当ドロドロとした状態ですね。

被告人質問はこれで終わり。何か大きな発見があったとは思わないけど、「とにかく無罪!俺悪くないもん」という主張なのはわかりました。


最後に、この回の冒頭で弁護人が証拠請求して却下された、被告人の陳述書について意見を求められました。
検察官は取調べに不同意としたけど、それは弁護において必要だから引き続き請求を維持するのかという主張ができます。

ここで、被告人とごにょごにょお話をする弁護人。こちらには声は届きません。話し合いが終わり弁護人が言いました。


「裁判長、請求維持するかについて被告人にわかりやすく言ってもらっていいですか?

うまく説明できなかったのか、裁判長にバトンタッチした弁護士さん。

僕はそういうの初めて見たので、これも喜んでtwitterに書いていたら「僕もやったことあります」と本職の方からツッコミが。私もまだまだ修行が足りません。


裁判長から証拠の請求を維持するか説明を受けて被告人は、

「維持するとどうなるかわからないのですが、まぁ出した以上は維持して欲しいと思います」

と回答。裁判の流れがわからないからこう答えるしかないわな。

そして裁判長から弁護人に、その請求の維持は検察官に法的認識の誤りがあるのか、さらに補完するような証拠や事情があるのかという問いがあり、弁護人は即座に取調べ請求を撤回していました。

ここは被告人は、「え、なになに?」って感じで少し可哀そうだったな。やっぱチグハグな感じがするんよなぁ。



6/1 検察官にペナルティを求めた第5回公判

前回までの裁判で証拠の取り調べは終了。
双方から意見が述べられる回です。

検察官の論告
被告人はAと結婚したのち、将棋で負けると暴力を奮ったり、自殺をほのめかすなどしており、それらの結果Aは実家に帰っていた。離婚の相談をすると立腹して、1件目のtwitterへの書き込みとなった。
名前や職場などを広く発信しており、名誉毀損となることは明らか。
刑事告訴について、和解が成立しているから不当であるという主張は、被告人独自の見解で失当である。

2件目については警察が捏造したと主張するが、捏造する理由は皆無である。
また書き込まれた内容も「元嫁」、「息子」という被告人が使う呼び名であり、Aとの裁判の情報など一般には知りえない情報も盛り込まれている

Twitterのプロフィール欄には、「仕事はYahooメール」までと書かれており、twitterから警告メールが届いたアドレスで女性や両親とやり取りしていることも認められる。
また母からメールで「人に対する誹謗してはいけません。和解事項を破ってはダメです」などといったメールも届いている。
第3者が介在した可能性はありえなく、被告人は法廷で曖昧な答えに終始している。

犯行性は執拗に元妻、その両親の名誉を棄損する、卑劣、悪質な犯行である。被害者は不特定多数の目に触れる形で社会的評価を棄損され、住所、勤務先なども晒された。
一方的な思い込みを元妻に押し付けているだけであり、動機にも酌量の余地はない。安易に拡散を招く行動に出るなど規範意識も低下している。
元々被告人に一定の知名度があり、社会的関心も高かったことから厳重に処罰する必要がある。

求刑 懲役1年6月

長いし、早口だし、みんなちゃんと聞き取れて理解できたのかな。

僕自身は、「傍聴席にも録音を」という意見には慎重派だけど、確かにこれだけ複雑な事実関係の事件において、この耳だけの情報で記者さんはどうやって正確性を担保しているのかなとは疑問に思ってしまう。
マスコミの人だと論告の用紙をもらえたりするのかな?それならズルいから、傍聴席は録音させろー!


弁護人による最終弁論

1件目について名誉毀損にはあたらず、2件目は被告人本人が行っていないので無罪。

1件目は愛息と引き裂かれた思いから、第3者に意見を求めるつもりで行った行為なので、名誉毀損の故意が不存在である。また離婚が成立後、約束に基づきツイートは削除もしている。

2件目については、その投稿されたとされる日時において、被告人はクリア赤しか所持しておらず、そのスマホにはtwitterアプリが入っていなかった。黒には入っていたが当時は使えず持ってもいない。被告人が投稿を行ったという裏付けの証拠もない。

よって被告人は無罪である。


他の箇所にも書きましたが、弁護人としては合理的な疑いを残すことができればそれで十分なので、検察の論告よりもだいぶ短いみたいなことはさほど問題ではないのです。

ただ、気になったのが、「無罪である」という主張において、実際は「被告人は無罪と言っています」という感じで仰っていて、ものすごーく他人事感が出ていたんですよね。
個人的な思いとしては、弁護人が主語となり無罪を主張するという姿勢でいて欲しかった

まぁ、弁護人も人ですから、様々な主張に付き合って疲れてしまったのかなという点では同情します。


被告人による最終陳述
1件目の事件については、当時、離婚の裁判の際の投稿であり、喧嘩をしている中のやりとり。結果、離婚となり取り決めを決め、私はそれに従ったものの、Aはそれをあざ笑うようにして守らなかった。

2件目の事件については、その当時携帯電話を1台しか使えなかった。警察の証拠などあるが、スクリーンショットなどいくらでも偽造ができる。

また検察官は前回答えたことと違うことを言っており(具体的には不明)、話を聞いているとは思えない。そんな検察官にはペナルティを持って臨むべき

裁判官に事前に「簡潔に」と釘を刺されていたので、短くまとまっていました。30分くらい独演会をされていた「マスクの御方」も見習って欲しいです。

たまにいるんですけどね、検察や警察への不満を漏らす方。まぁ裁判中、騒ぎ続ける被告人もいる中なので、これくらいなら検察官はもちろん私も特に眉をひそめることなく「あーはいはい」と淡々とメモを取ることができました。
私も徐々に感情を失いつつあります。



6/23 判決の日についに

だいぶ暑くもなっていた判決の日。
というか、書いている今のほぼ1ヶ月前か。関係者の方にとっても、まさか
1ヶ月で…と驚くことでしょう。


いつもの通り、裁判所に入ったのですが、入口脇のベンチになんか見たことある人が。パッとは思い出せず、会釈だけして中に入る私。

すると、裁判が始まるタイミングで、被告人が身柄拘束者用の通路でなく、一般傍聴人と同じ扉から入廷してきました。
この判決の日を前にようやく保釈されたようです。さっき、入口で見かけた人は被告人本人だったのです。


でも、私が気付かないのも無理はありません

だって、身柄拘束中は黒い短髪に、勾留している方用の服でしょんぼりしていた被告人が、
バリバリの金髪にポロシャツ短パンの出で立ちでいるんですから。

僕も「身柄拘束長過ぎない?」と思っていたので、「解放おめでとう」という気持ちになってあげたかったのですが、「いやー、いきなり飛ばしてるねぇ」って感想しか出てこなかったし。まぁ見た目で判断しちゃいけませんわな。

証言台にドカッと座り、判決の宣告が始まりました。


判決主文
懲役1年6月、未決勾留日数90日を算入、執行猶予4年

理由
起訴状の通り名誉毀損にあたる2件のツイートが被告人が行ったと認定

1件目については、「私を騙しうちして子を連れ出し、それを補助している者。誘拐一家」(当件、以下もツイート文言に完全一致でない点ご容赦を)などのツイートをした。
これは犯罪に関わっているように想定されるものである。そのほかにも「Aは保育士ですが絶対に預けないでください」、「(A父の会社を名指しし)くれぐれも買わないように」などとしており中傷する目的は明らか。
被告人は和解したから不当というが、調停となっているかといって告訴が無効になるはずがない

2件目については間接事実の積み重ねで認定した。
「僕の人生を地獄に落とした殺人鬼たち」などとし、Aの父母の住所や家事審判員の名前などをツイートした。
また赤、黒スマホはネットが使えないというが、wi-fiなど使用する方法はいくらでもあった。
(以下、事実関係については検察官の主張とほぼ同様なので割愛)

氏名だけでなく、顔や住所などを明かした上で犯罪に関わったように思わせた。相応の知名度もあり、広く拡散もされた。裁判において、不合理な弁解を繰り返し、反省の姿勢もない
しかし、約半年の身柄拘束をされており、事実上の制裁を受けているともいえる。前科はないことなどから、ただちの実刑は重すぎて不当である。
ただ事案の悪質性などを鑑み、刑期を求刑通りとして、長期の執行猶予とした。

まぁ、つまりは検察側が言った通りの事実を認定しましたという判決です。証拠を手にしていないので細かい部分はわからないけど、否認していた件についても結構な数の事実関係を読み上げていたから、証拠でもかなり細かく立証がなされていたんだと思う。

判決といえば最後に裁判長から、お言葉がかかることがあるけど、元々言わないタイプなのか、長引くと被告人が切れるかもと思ったのか、特に何も言うことなく判決宣告は終了しました。

被告人も静かに聞いていたと思います。
特に判決終了後もなにかもめ事があるわけでもなく終了いたしました。


という訳で、私が傍聴できた3ヶ月計5回の裁判の様子でした。

ここまで読んでいただいてなのですが、傍聴しておいて発信を渋っていたのって、正直裁判としてはそんなだったんですよね。名誉毀損の裁判だと、その内容が裁判で明らかになることで、被害者に対する二次被害も発生しかねないので、情報としては少なくなりがちなので。

途中の回から来ていた、僕が勝手に将棋ファンの大学生と思っていた彼らにはこの裁判はどう響いたのかすごく気になるところ。


さて、冒頭でもちょっとだけ触れましたが、この被告人の彼が、元妻に対する別の犯行の疑いで逮捕をされてしまいました。
この時点では、その事件性、犯人性について触れることはできませんが、身柄拘束が長引いていたのは、なにか兆候というか不安な要素があったんだなと勘繰らざるをえません。

今回、関係者はケガをされたとのことですので、少しでも早い快復と、事件の全容が明らかになることを切に願います。

それが裁判となったら、僕は、まぁ…追うと思いますよ。



という訳で、長文読んでいただきありがとうございました。最後の最後にお願いです。
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