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第4回ゲスト:森田諒一さんと三谷亮太郎さんと清水詩央璃さん(あくびがうつる)「色んな演劇の可能性を考えながら、作品作りをしています」 聞き手:葛生大雅

年始に王子小劇場で開催される『見本市』
活動最初期にあたる9団体を選出し、ショーケース型の公演を行います
【公演詳細】
「見本市2024」
2024年1月5日(金)〜9日(火)@王子小劇場

みなさん、はじめまして。インタビュアーの葛生です。
みなさんが今回の見本市で、初めてお目にかかる団体の、
お芝居の魔法に、より染まっていただきたく思い、
「見本市2024」に参加する方へのインタビューをしてきました。
第4回目のゲストはあくびがうつるの森田諒一さんと三谷亮太郎さんと清水詩央璃さんです!

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【ゲストプロフィール】

森田諒一さんのプロフィール画像

森田諒一

千葉県出身。帝京大学文学部社会学科卒。劇場創造アカデミー12期修了。修了後は、アカデミーの同期とともに演劇チーム「あくびがうつる」を結成。演劇の可能性をさまざまな形で検証していきたいと考え、劇作家を志している。
https://twitter.com/Morita5Ryoichi
(
あくびがうつる https://twitter.com/akubiga_utsuru_)

三谷亮太郎さんのプロフィール画像

三谷亮太郎

シュタイナー学園卒業後、劇場創造アカデミーに入所。中学生までは音楽に傾倒していたが、高校生ごろから演劇的活動にも取り組む。ハンドパンと猫をこよなく愛する。

Twitter
https://twitter.com/mitanigamita
instagram
https://instagram.com/mitani_ryotaro?igshid=OGQ5ZDc2ODk2ZA%3D%3D&utm_source=q

清水詩央璃さんのプロフィール画像

清水詩央璃

群馬県出身。高崎経済大学地域政策学部観光政策学科卒業。スターバックスコーヒー株式会社入社後、劇場創造アカデミーに入所し、12期生として修了。空手道2段。猫と餃子と珈琲が好きです。
Twitter
https://twitter.com/CMbYNp
instagram
https://www.instagram.com/smz_1126/


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いつでもどこでもだれとでも

森田:あくびがうつるです。メンバーは5人います。
   僕、森田諒一と、清水詩央璃と三谷亮太郎、あとはこの場にはいないんですけど、下沢杏奈と薄田澄子がいます。

   僕達は「いつでもどこでもだれとでも」という言葉をテーマとして掲げて活動してます。
   どんな作品を作っているかというと、今年の7月に劇場で旗揚げ公演をしたのですが、その後も色んな場所でやっていて、イベントスペースで子供向けの演劇を作ったり、三谷君の母校のお祭りで、野外のステージで20分の作品を上演したりしました、
   演劇の色んな可能性を考えながら、作品作りをしています。遠方にいるメンバーもいるので、作品を作ることと同時に、このチームをどうやって持続させるかも考えながら、活動していきたいなと思っています。

   下沢杏奈が今北海道にいるのですが、旗揚げ公演の1週間前くらいに来るまでは、稽古場をオンラインで繋いで作っていったりしました。もうちょっと良い方法を考えられたら、と思っています。
   「それぞれの地元で公演をやれたらいいんじゃないか」という話もしていたりもします。東京都出身の人が一人もいないんです。どこの劇場で、というより前に、団体を立ち上げた最初の段階で「地元でやりたいね」と話していました。

――皆さんの好きなものを教えてください。

三谷:ハンドパンという楽器を長くやっています。猫も好きです。

清水:私も猫が大好きなのと、あくびがうつるメンバーはみんな餃子が大好きで、私は実家の餃子が特に好きです。餃子巡りもしたいんですけど、実家の餃子が一番好きです。
   食べるのが好きで、喫茶店などのモーニングにいけるととても嬉しくなります。
   
森田:本も映画も好きなのですが、演劇のために吸収しているという感じがしています。好きなものというと、難しいですね。  
   サッカーを観るのが好きなんですけど、最近は特にサッカーのトレーニングに関心があります。それも演劇に活かせそうと考えてしまいます。様々な研究が進んでいくにつれてトレーニングがアップデートされていっているのが面白くて、練習の形から工夫してトレーニングしていくのが演劇に近いと感じていて、活かせるかもしれないと思っています。
   演劇を作る中で脳科学の最新の知見などを活かすことも出来ると思うんですけど、あまり深堀りできていない気がします
   僕自身はプレーするのは殆どやっていなくて、サッカー文化に興味があります。少年サッカーでは馴染めなくて、続きませんでした。

「これぞ演劇」というのではない価値観を持つメンバー

森田:僕達が劇場創造アカデミーの出身というのも大きいと思うんですけど、やっぱり演劇をちゃんと教わっているのが大きくて、色んなことをやろうとしているし、「普段観ている演劇や世の中に溢れている演劇とは違うやり方があるんじゃないのか」と考えたいなと僕は思っています。あんまり拘らずに色んなことをやってみたいなというのがあります。
   「演劇をひたすらやってきました」みたいなタイプの人がメンバーにいないというのが、ちょっと大きいかもしれなくて、僕は高校演劇から演劇をやっているんですけど、劇場創造アカデミーに入って演劇と出会ったメンバーもいるし、清水は就職していたり、固定観念をあまり持っていないというのが団体の特徴かもしれません。面白ければよい、とみんなが考えているというのもあると思います。

――皆さんが初めてお芝居と触れ合った芝居染めはなんですか。

清水:おおた芸術学校に小学生の時に行ってみたら、週1回色んな学校のみんなと集まって体を動かしたり、即興でやったりするのが演劇との初めての出会いで、すごく面白かったです。
   みんなで遊ぶみたいなことがとても楽しくて、大学就職と進んできた中で演劇との関わりはなかったのですが、小学生の時の楽しさがずっと残っていて、会社を辞めて劇場創造アカデミーに入ったというのが始まりでした。

三谷:初めて演劇を観たのは、中学生の時の『魔笛』で、先輩がやっていたのを観たのが原体験でした。
   芸術系の学校だったのですが、学期末ごとに「どれだけクラスが成長できたか」という発表会があって、その時に『因幡の白兎』の上演をした時に気づいたら「楽しいな」と思って、それが演劇を始めるきっかけになりました。

森田:僕が初めて演劇を観たのは中学2年生の時で、狂言を観て、「面白くない」というか関心が無くて。
   高校で演劇部に入ったのがあって楽しかったのもありますが、大学の時に色んな劇団を観て「面白い」と思ったのが、自分の感覚で芝居が好きだぞと思ったきっかけでした。ただ、学生の頃に観ていた劇団がハラスメントで問題になることも多くて、その時の自分の経験を良いものとして捉えられなくなったり、認知が違ったりもしてきました。   
   あくびがうつる自体は、劇場創造アカデミーにいた時期に、僕がみんなに声をかけたことで発足しました。
   声をかけた理由としては「信頼できる」人達だったからです。今いるメンバーと一緒に演劇を出来たら嬉しいなと思い、 「これぞ演劇」というのではない価値観を持つメンバーに声をかけました。

「食べる」ということ自体の変遷

森田:今回は「食」をテーマに上演しようと思っています。
   今1番面白いなと思っているのは、「食文化」で、みんなで食べるみたいなことや、日本では小皿に取り分けることにある文化的な変遷であったり、「食べる」ということ自体の変遷が僕は面白いと思っています。
   コミュニケーションだし、イデオロギーの問題でもあると思うし、「食」に関するリサーチを重ねています。30分かけて一品つくってみんなで食べようと僕は話していて、食べるところまで出来たらいいなと思っていますね。

   これまでまだ4つしか作品を作っていないので明確なことはまだ無いのですが、公演ごとに作り方を変えています。リーディング公演の時には芥川龍之介の小説を台本に直したり、台本を作らずに上演したり、旗揚げ公演の時には三谷が脚本と演出という形で創ったり。
   色んな形を今は試していっている感じです。  

   今回のタイトルはまだ全然考えていません。ただ、今日もしかしたらタイトルが決まるかも、という感じです。

すごく素敵な景色だったというのに気づく瞬間に立ち会えた

――最近すごいなと思ったものがあれば教えてください。

三谷:劇団黒テントの『皇国のダンサー』を観にいって、全然分からないけど面白いなという感じで。
   あとこの間、今までで最大規模のハンドパンフェスが開催されていて、それに行けなかったのですが、名だたるハンドパン演奏者のワークショップが行われていました。つい数年前まではハンドパンを知っている人に会うことすら珍しかったのに、そんな規模でやれたのかという感動がありました。

森田:ワールドカップでアルゼンチン代表が優勝したんです。リオネル・メッシというスーパースターがいて、彼が自分のキャリアであらゆるタイトルを獲っていたのですが、ワールドカップだけは優勝したことがなかった。
   そのためにケチをつけられていたのだけれど、メッシ率いるアルゼンチン代表が優勝し、完璧な選手になったんです。それだけでなく、もともと彼はナイーブで繊細で、サッカーはすごいけれど大人しい、という印象だったんですが、ベテランになって若手をひっぱるリーダーになってるんです。そのことにとても感動しました。

清水:この間演劇のブースを出したのですが、「持って帰れる演劇」ということで森田が色々発案して、ひとつは「藤野の景色を撮った写真」を見て私達か来た人が思いついたテキストを用意するというもので、ひとつはブースに来てくれた人が「気になる写真」か「気になる写真のタイトル」を私達が上演して、「いつも見慣れている藤野の風景」がすごく素敵な景色だったというのに気づく瞬間に立ち会えたのが、最近1番感動したことでした。

お祭り的な楽しい空間

――最後に、見本市2024に来た人をどのように芝居染めにしたいですか。

森田:何団体か一緒に参加するショーケースに面白さがあると思っていて、他の団体がどんな作品を創るか分かっていませんが、しっかりとした演劇らしい演劇が存在している時に、僕達は「ご飯を食べよう」と言っていたり、3作品を通じて色んな体験をお客さんにしてもらえたらいいなと僕は思いますね。
   どこかでモチーフが重なったり、関連してしまうということが何故か起こるというのも面白いと思うんです。僕らの作品も頑張りますが、お客さんの芝居初めにするという時に、お祭り的な楽しい空間を作って、楽しんでもらえたら良い芝居初めになるかなと思います。

※次回は明日、タイダンのイロハスさんと飲茶ニラさんと酒井まりあさんと城野史香さんのインタビュー記事です。次回もまたお会いしましょう!


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