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3-4|日本語でAIを使うな【落合陽一を批判的に読む】

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今年の6月1日に出版された『落合陽一を批判的に読む』の反響がそれなりにありまして、YouTube,noteのアカウントBAN記念に全文を無料で公開します。21世紀中盤の未来を予測したい方におすすめな、最新の評論が詰まった一冊です。








機械は人間を超えた

純白批評部屋へようこそ。こんにちはダニエルです。今日もよろしくお願いします。今日はいきなり日本トップクラスで、今最も難しいと言われている思想家、落合陽一の思想について紹介していこうと思います。

この動画のタイトルが「日本を再興せよ、機械は人間を超えた」と書いてあるんですけれども、落合陽一っていう人がいまして、メディアとかでも有名です。筑波大学の教授をやっていて、本もたくさん出していて 研究者としても活躍する傍ら、ビジネスや起業家としても働いていて、メディアアーティストとしての顔もあり、海外などでも表彰を受けている方です。彼の書いている本とかがすごい話題になっています。また彼は変人キャラで、いつもヨウジヤマモトの服を着ているとか、カレーをストローで飲むとか変人キャラでメディアでは受けているんですが、僕も知ったのはテレビで東大生が選ぶ「今日本で一番賢い人№1」のようなもので選ばれていて、落合陽一という人はこういう人なんだというのを知りました。

開成高校出身の方なんですが、結論から申し上げると、彼の思想は現代の思想でトップクラスに難しいと先ほども言いましたが、機械が人間社会をどう変えていくかということを延々と言っているわけです。結論として、機械が人間社会を変えていくということを言っているんですけど、結局、そこの話の想像力に限界があるよねっていう話をしていこうと思います。

 

AIとマシンの違い

先ほども言った通り、機械が人間の生活を変えるんですよ。機械って言っても昭和時代に重宝された三種の神器である洗濯機、冷蔵庫、テレビがあって、そういうものも機械ではあるんですが、ある意味AIと機械はちょっと違っています。

落合陽一が定義する「機械」とはAIのことで、「計算機」という言葉でしばしば表現されます。実は僕、落合陽一の本をそんなに読んだことないんですけど、「超AI時代の生存戦略」と「日本再興戦略」だけ読みました。あとはまあパラ読みくらいでちょっと浅い知識で語ってしまって、申し訳ないところもあるんですが。

洗濯機とかそういうマシンてボタンを押したら、動くじゃないですか。常に人間がこうアクションを仕掛けたら、一対一の反応を返すみたいな。それが機械なんですよ。計算機と言っても電卓とかはやっぱりマシンの方なんです。マシンて落合の言葉を使ってないので、いい言い方があったら教えてほしいんですけど。

落合が言っている「機械」というのは、先ほど述べたマシンとは異なります。こちらが何か言ったら、機械同士で情報とかを融通し合って、イメージとしては本当に情報で通じ合ってる場合もあるし、機械で結論を先に出して、それをこっちに教えてくれる場合もあるし、といった感じです。

たとえばAIのアルゴリズムによって、我々はユーチューブでおすすめの動画を見ますよね?この動画も大抵の場合はおすすめに上がって来たから見ているわけです。特定の意図を持ってユーチューブに対してアクションした結果として、この動画を閲覧したわけじゃないじゃないですか。おすすめではなく、検索した場合ですらやっぱりおすすめ順に並べてるのに近いわけで、機械のアルゴリズムによって人間が入力する以上の事柄をアウトプットしていると考えることができます。

 

シンギュラリティは起きている

これが極まってくると、注文しなくても必要な時にシャンプーが補充される仕組みだったりとか、自動運転で行きたいなと思ったらパッと行けるみたいな仕組みが実現します。落合陽一が言っているのはそれで世界が変わるって話なんです。

ここまではいいじゃないですか。そういう世の中になった時に、人間が人間であるってどういうことだろうっていう疑問があるわけです。人間が機械を利用するはずが、逆に機械に遊ばれてしまったり、操られてしまって仕事もなくなってしまうっていう悪い想像力もあるわけですよね。シンギュラリティって言いますよね。2045年に来るんじゃないかと言われている、人工知能が人間の知能を超えてしまう。

そんなのはとっくに起きているんですよ。機械が人間より賢い、チューリングマシンが開発されたその時から、原理上は普通に人間がスペックとしては勝ってたけど、そもそも人間が計算しなくても計算を勝手にする仕組みができた時点で、それが起こることって自明のことで。この動画みてる方がAIについてどれほど詳しいか分かりませんけど、興味あるかどうかわかりませんけど。シンギュラリティの問題とは、人間の計算処理能力がコンピューターによって圧倒的に拡張するという問題にすぎません。

1+1=2っていうことを覚えさせたマシンがあればそのマシンの組み合わせで全ての計算を実行出来るわけです。全てのAIは計算処理にすぎず、電卓の延長線上にあります。一応、電気信号とかでトランジスタとかでやっているんですが、そういう詳しい仕組みはチューリングさんとかノイマンさんとかに聞いてください。

そこから100年以上は経っていて、今それが人間の知能を追い越したといっても過言ではないです。東大ロボとかが出てきてという話なんですが、その上で落合陽一はそれを使って日本をどうするかみたいな話をしてるんですね。

例えば、ワークライフバランスが変わるとか、そういう話とか、マルクスが言ってたタイムマネジメントじゃなくて、ストレスマネジメント世界、つまり働いた時間に応じた報酬システムじゃなくて、どのくらいストレスがかかるかを報酬の基準にすべきだと言っています。同じ時間働いたとしても、座っててスマホいじれるやつとそうじゃなくてずっと集中してラーメン屋の皿洗いとか全然違うじゃないですか。そういう物とかもちゃんと金銭的に考えた方が良いねみたいなことを言ってるんですね。

 

アルゴリズムとバズ

他にもいいろんな私たちの生活が変わりますが、特にSNSというのは歴としたAIによる革命です。今までテレビの担ってきた情報発信能力をYouTubeをはじめとするSNSのアルゴリズムが破壊したのは大事件です。TVの放送は代表的な既得権益で、電波法というものがあってチャンネル一つあたり3兆円ぐらいで取引されています。もちろん買える業者などそうそういないので、放送局は両手に収まる程度ですよね。

20世紀はずっとこうした状況だったのが、ユーチューブっていう仕組みによって、一般のクリエイターでもこうやって投稿できるようになったりとか、必要な情報が必要な人にだけ届くようになったんです。明らかに四チャンネルしかないのとは全然違いますよね。

ツイッター等、他のSNSも同様に私たちの生活を変えています。バズの仕組みについて解説します。洗濯機や冷蔵庫とかにビビッと、電子レンジとかにぴぴぴってボタンを押すと、ぴぴぴって返すわけです。これはマシンに対する指令と実行であり、バズは決して起こりません。一方、AIはピッと入力するとウィーンウィーンと機械同士で干渉を起こすことがあります。入力するデバイスはパソコンで、パソコンがワールドワイドウェブで接続していろんな情報を取ってきたり、スクレイピングしたり、いろいろ影響を及ぼしたり、長期的にいろんなことをやってその結果を私たちに通知としてもたらすみたいな。

ツイッターのバズの仕組みはAIと密接に関わっていて、いいねをされたら他の人におススメされて、ということが繰り返されるわけじゃないですか。AIはマシンじゃなくて「機械」なので、ピピって入力したら、普通はウィーンってなってぴろんってきて終わりなんだけど、そうじゃなくてぴぴってなってウィーンってきてそれがうまくいったから、ここで終わりだったら、そんなバスらない。いいね30ぐらいなんですけど、そうじゃなくてビビってやったらミミミミミミミ。って連鎖反応が止まりません、みたいなこれがバズじゃないですか?

この前、津波警報が神奈川県でめちゃくちゃ流れたみたいなニュースがありました。他にもトンガの噴火があったときに、津波警報が一晩中鳴り止まなくて、それが確かセンター試験前日で受験生がかわいそうだよっていうニュースがあったんですけど、そういうのって機械が起こすバグみたいなもんじゃないですか。「もしも〜があったときに〜なプログラム発動させる」みたいなのをめちゃくちゃ組んでて、津波とかそういう生死に関わることなので慎重にやるじゃないですか。だから何重にもプログラム組んでてで、それが一気に引き金がひかれたときに、全てのプログラムが同時かつ多重に動作してしまって制御できなくなってしまう現象が「バズ」の正体だと考えます。

デバイスに対して一つだけ通知をやるのが合理的だと思うんですけど、現実的には通知はアプリからいきますよね。一つのデバイスがいろんなアプリを入れているから、多分ラインからも通知がきたし。ツイッターからもYahoo!ニュースからも通知がきたし、ツイッターのアカウントが3個あったから、3個から全部通知がきたし、みたいなことが起こっているわけです。しかも、それぞれのアプリや媒体で通知を送信する基準が異なるので、同じ現象に関する通知が時間差で送られて来てしまう上に、まとめサイトのような存在もありますので、さらに遅延して結果的に通知の大波が何度も押し寄せてしまうということが起こってしまいます。

以上がマシンと「機械」の違いです。落合さんはこのように定義された「機械」を自然に見立て、デジタルネイチャーと呼んでいます。これで社会を良くして行きましょうといってるのが、落合さんなんです。

 

学歴コンプレックスがあった

「社会を良くしていこう」までは誰でもいうことなのでいいのですが、彼の発言には問題点が含まれています。彼は開成高校から浪人して東大に2回くらい落ちて筑波大学に行っているんですけど、それって開成からしたらそんなにエリートではないんですよ。今は大学院で研究を頑張っている。

筑波って昔毎月行っていたことがあるんですけど、ちょっとそこに住んでる人にとっては失礼なんですけど、殺風景で。公園とかも結構計画された感じで建ってたし、研究都市なので当たり前っちゃ当たり前なんですけど、建物の高さとか形とか揃ってて、怖い場所でした。落合陽一は筑波でひきこもって研究ばかりしているのでしょう。

そういう背景もあり、大学受験で落ちこぼれたから周りを見返したいみたいな動機で研究を頑張っていらっしゃるのでしょうか。僕も駒場東邦という開成みたいな進学校出身なので、開成高校がどんな感じかなんとなくわかるんですけど、筑波大学の物理学科という結果は学歴コンプレックスを持ったことでしょう。

今、彼はめちゃくちゃ仕事していると言われています。テレビで見る範囲の情報ですけど、介護業界を変えたりとか、光を投影するマシンとか開発したりとか、他にも色々なことを研究によって実現してるんです。いろんなマシンを作ってエジソンみたいなことやってるんです。かっこいいんです。かっこいいんですけど、僕やっぱり引っかかるのがあって、それを言語化するのが今回この動画を撮っている目的です。

 

日本、老人、機械化

彼が「日本再興戦略」という本を出しているのですが、今後の日本に到来する高齢化に機械で備えよう、対抗せよみたいなこと言ってるんです。この本読んだとき僕は確か大学一年ぐらいで、スマホを持って初めて落合陽一を知って、本とかも読んでハマりました。何冊か読んだと思うんですけど、その時に読んだ「日本再興戦略」が今考えると、議論に浅さがあったと考えています。

本来、機械って言語を通じてコミュニケーションしないんですよ。日本語じゃなくて英語だからいいっていうわけでもないんですよ。日本語だからいいこととかもあるんで。このユーチューブも日本語だし、でもこれ最終的には英語にリアルタイムで翻訳されるから、僕は英語圏に行った時には、このHey!you!つってこの動画を自動翻訳して見せれば、Ah!なるほど、 daniel! Hello!みたいな感じで僕のことを分かってくれると思うんですけど、今はそこまでいってないですけど。2022年現在。

例えば、日本のどうするかみたいなのを考える時に、あんまり機械でどうこうするみたいな発想は通用しないと思っています。人口高齢化が逆にアドバンテージじゃないか、みたいなことを落合は言ってるんですけど、いや、それもまあ正しいと思うんですよ。そういう発想はありだと思うんですけど、機械化を実際に進める際に老人で試そうなんて無理ですよ。

僕のじいちゃん80ぐらいですけど、ようやくスマホにしてで、寒中お見舞いのライン送ってきたんですよ。45秒ぐらいの、めちゃくちゃ遅い動画を、とろい動画をtiktokだともう絶対いいね0の動画を送ってきて、おじいちゃんが可愛いなと。でもおじいちゃんはおじいちゃんで地元ではもう天才扱いですよ。天才なんですよ。もう天才ていうか、地元ではもう本当に一番の長老みたいな人なんですよ。なのにその人が送るクオリティ、要は機械が使えないんですよ。

介護業界とかで機械で変革しようみたいなこと言ってるから、まあ直接老人が機械を使うとは限らないですが、でもそこから変えるってのはありえないんですよね。本気で社会を変えるなら、老人に全国民の足並みを合わせるのは無謀です。平和ボケしたヌルい発想だと思います。

しかも彼の主張は、日本のことだけです。普通に考えて機械化を押し進めようと思ったら全世界で通用する仕組みを作って一旦オンラインで世界中どこでも使える普遍的なサービスを作ってからが王道です。これは機械学習の基本的な仕組みで、ユーザー数や経済規模、トランザクションが大きいサービスの方が指数関数的に利用しやすいサービスになるという極めて当然の理由です。逆にスポットで当てるってのがめちゃくちゃ難しいんですよ。

老人限定で介護業界だけに適用出来る機械みたいなものを作るって、一番難しいことだと思うんです。結果的に落合はめちゃくちゃ働かされてるっていう風にも見えます。社会によって無謀な努力をさせられている構図があると考えています。ひろゆきにイジられるくらいの有様です。

 

政治家の犬学者

彼は追い込まれてるんですよ。顔も生き生きしてないし。ニュースピックスで岸田総理と対談したりしていましたが、彼が政治家と対談する時の特徴があります。日本の既得権益層への、よく言えばリスペクト、即ちこびみたいな仕草があると思うんですね。大学教授だから、それは当たり前ですが。

リクルート事件が昔ありましたね。要は機械化を進めるっていうのは本質的に公務員いらないって言ってることと同じなので。そうやって機械で日本を良くしようみたいなこという段階で、日本の政権と衝突します。ちょっと岸田総理と対談するのが早過ぎたというか、僕は対談するべきではないと思っています。

岸田総理に逆に政策をプレゼンするとか、直談判だったら良いと思うんですけど。実際には落合陽一が有識者として、意見を聞かれる側みたいな構図になってしまっています。それって体制側じゃないですか。社会を変える気ないじゃないですか。

そういうことをやっているっていうのが、大学の教授だからしょうがないにしても、彼若いからすごい天才だし、すごい努力もしてるし、めちゃくちゃすごい人だから、そういう立場にあるんですけれども。それって結局、日本変えられないんじゃないのっていう。そういうジレンマの中でめちゃくちゃ働かされてるっていうのが、彼の思想的な立ち位置というか、そういう人だっていうふうに思うと彼の本をより面白く読めるみたいなとか思ってこの話を終わります。 今日も見てくださり、ありがとうございました。

 

 


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