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水抜きプールでヤゴとり ー先生のお手伝い①ー

5月、小学校の屋外プールはシーズンを控えて「水抜き」をする。テレビ番組の「池の水全部抜く」とはちがって大物はいないが、ヤゴ、そう、トンボの子やさまざまな生き物が水抜きプールの底に居残る。2年生の出番だ。

水を20㎝ほど残してある。クヌギやカシ、モミジなどの葉が沈み、グラウンドや近所の畑から飛んできた土ホコリが底に層をなしている。それを昆虫網で、そうっと掬うのだ。

プールの壁づたいに、降りたところに足場が周回している。そこから獲物をねらう。網をあげると、泥と葉が網底に残り、それをプールサイドに広げて覗き込む。

「あった!」
「でかい!」
「こっちにもいる」

ヤゴが泥に混じってゴソゴソと動き回る。大きいのは5-6㎝もあろうか、小さいのでも1-2㎝。子どもはへっちゃらだ。手で容赦なくつかんではバケツの水の中に放り込む。

次の網が到着して泥をぶちまける。ここにも、いる。

プールサイドを1周したあとは、水に飛び込んでプールの真ん中あたりを漁場にする。ズボンのすそをたくし上げ、童心に戻った。大漁だ。

教室に持ち帰り、水槽に入れて毎日観察する。エサは赤虫、スポイトで吸い上げてヤゴの近くに放り込む。くねくねと動いている。しばらくして、のそっと大きいヤゴが動いた。気づいたのだ。

1週間後、子どもたちが口々にしゃべりながら呼びに来た。トンボが羽化したのだ。

朝、水槽の片隅にとまっていたという。ヤゴがぬけがらになっている。オニヤンマとはちがう、青っぽい。調べるとどうやらシオカラトンボのようだ。羽根が4枚、立派なトンボになった。

自然は、屋外プールにある。