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安全はタダじゃない

日本人は水と安全をタダと思っている。
「日本人とユダヤ人(1970年)」で、イザヤ・ベンダサン氏が指摘してから50年以上たった。もちろん「水」と「安全」はタダだというのは比喩ではあるが。今、それをタダ同然だと思っている人はいないだろう。

「水をタダにしよう」と以前に書いた。潤沢なふるさと納税を使って水道のインフラ整備をし、寄付者にも旨い水をタダで届ければ、世界がうらやむ日本になれると思う。

安全はどうだろうか。

日本国憲法は戦争をしないと宣言している。が、その一方で自衛隊が存在し、日米安保条約のもと米軍基地が国内にあって応分の負担をしている。2027年にGDPの2%まで防衛費を拡大し、その間必要な43兆円を確保する特措法が国会で成立した。

小学生たちが疑問に思ったことを、今年2月、岸田文雄首相に手紙を書いた。

「なぜ防衛費を上げるのですか」

返事はなかった。
後日、この手紙について記者が質問すると、

「一つ一つにお返事を出すことは困難でありますが、安全保障政策については、国民の皆さんのご理解を得られるよう努めていきます」

と答えた。それを担任が生徒に伝えた。が、小学生の素朴な疑問に対する答えには、遠かった。生徒はもう一度手紙を出した。いまだ音沙汰はないという(毎日新聞)。

素朴な疑問にわかりやすく答える、これができれば、低迷する内閣支持率は反転すること間違いないのに。もったいないなあ。

「安全はタダではありません。お金がかかります。これまでもGDP1%ものお金を出してお茶を濁してきました。が、自分のことは自分でしなさいと言われ、そうもいかなくなったのです。日本が『反撃能力』を持つためには、米国から高価なミサイルなどを買わなければいけません。だから、防衛費を2%に上げます」

でもこんな答えじゃ、また手紙が来るでしょうね。

「それで、安全は守れるのでしょうか」