「かんたん書道」6つの要素💡
note初回では「書道とはなにか」、AI書道の回では「書道は標準的な文字から遠ざかるもの」という話をしました。(まだの方は是非^^↓↓)
今回は書道を要素分解してみよう!です。要素は6つだけ。
この話のYouTube版はこちら↓↓↓
プロローグ ‐書道を取り巻く環境‐
書道をやらない人にとって、書道が何をやっているのか、というのは分かりづらいことだと思います。
もうとにかく書道ヤダ、オワリ、てかそもそも初めから見ない、書道作品に対してはそんなシチュエーションばかりに出くわします(涙)(もちろんそんな言い方をされませんけれどね・・・)
私たちの生活はものすごい量の文字が溢れる世界なわけですが、にも関わらず、筆文字や、もはや手書き文字すらあまり見ないなんて人も少なくないのかもしれません。
お字書き道TALKSは、そんな方々にも向けて「書道や文字って面白いし楽しいよ!」と何とかお伝えしたい!そんなチャンネルです。
書道ってつまりこれだけ
書道への敬遠感のひとつに、「よく分からない」から近づきがたい、興味が持てない、ということがあると思います。
そこで、書道作品にはどのような要素があるのかを知ってもらおう!書道的な専門用語を極力抜きにして!というのが本記事の本題です。
まず書道の大枠は(先日の記事「書道とはなにか」「書道は標準的な文字から遠ざかるもの」をもう少しかみ砕いて)
ということ。なんだそれだけ?ええ、基本的にはこれだけです。
でもこれだけだと大枠過ぎて見えてこないと思うので、もう少し要素分解していきたいと思います!レッツゴー!
書道の6つのパラメータ
書道の要素、パラメータはたったの6つ!これら6つの要素を組み合わせて紙などに書きつけられたものが書道作品です。
難解そうな書道の要素って案外こんなものかなと。しかもどれも小難しい要素名ではなく、一般的な用語です。
では、それぞれの要素、パラメータをもう少し詳しく見てみましょう!
①字体
新字体の「国」に対して、旧字体の「國」。
新字体の「体」に対して、旧字体の「體」。
これらは「字体」は異なるけれど、意味や読み方は同じ。
②字形
2つの「我は」が同じ「字体」で書かれていますが、赤丸が付いている箇所を見比べてみると、ハネがあったりなかったり、結び方が微妙に異なっていることが分かると思います。
「字形」は、同じ「字体」(文字の骨組み本体)を書いていても起こる差異のこと。手書き文字の場合は個人差と言っても良いかもしれません。
③書体
各フォントで「梅」の文字デザインが異なります。
例えば「梅が実った」という文章をデジタルフォントで書くときも、特別な意図がない限り「梅が実った」の5文字はすべて同じフォントで表示させると思います。※1文字ずつ明朝体・ゴシック体を切り替えたりしない。
このことは、書道においても然り。書体は、あるひとまとまりの言葉や文章などを通貫する「文字のデザイン」です。
書道における書体は、基本的には次の5つ。
書道作品の書体は、これら5つのどれかにざっくりと分類できると言って良いでしょう。行書体、草書体のあたりは虹のようなもので明確な区切りはないので、「行草」とまとめて言うこともあります。
※デジタルフォントは数多ありますが「基本は一画一画がすべて安定して離れている楷書体」そうでない場合は、たいていフォント名に「行書体」「草書体」などの表記が含まれています。
④レイアウト
それぞれの文字の大きさや字間/行間などもここに含めます。
※書道レイアウト入門(YouTube動画)で詳しく解説をしましたので良かったら見てね^^
○大きく分類するとこんな感じ↓↓↓
1.普通の書き方
1は普通の書き方。縦書きでも横書きでも、罫線があるイメージです。デジタルフォントで書く場合は字間や行間は一定です。
書道作品の場合もこのようなレイアウトを取るときは字間や行間が安定していることも多いですが、例えばこんな作品↓↓↓
紙の左上からおとなしく書き始めたかと思いきや、途中から文字のサイズがかなり大きくなっていくなど自由奔放に動きます。行はまあまっすぐ、行間は比較的安定しているものの、字間は狭かったり広かったり色々です。(ちなみにこれは一つの作品の中に楷書体・行書体・草書体を混ぜて書かれています。スゴワザ・・)
2.散らし書き
2は普段あまり見かけることのないレイアウト。
なぜそんなわざわざ読みづらいばかりの方向に・・・改行の箇所もまずもって意味不明・・・。まさにレイアウトの妙が最も重要な要素である書道作品と言えるかもしれません。
このレイアウトは、平安期に誕生した「かな書道」によく見られます。また特に、文字を紙の中途半端なところに書いているものを「散らし書き」と言いますが、平安期の有名な散らし書き例を一つ挙げておきます↓↓↓
平安期にできて発展したかな書道は、日本独自の書道。文字は何かを伝えるもののはずなのに、文章の読みやすさも気にせず、単語の真ん中で改行したりもします。かな書道では、「景色」を重要視するため、書かれている言葉や意味を重要視しないことも多くあります。
3.エヴァンゲリオン・レイアウト
3.は所謂書道作品ではありませんが、筆者は「エヴァンゲリオン」に出てくる文字レイアウトに度肝を抜かれ・・・、これは新しい書道レイアウト!と思って取り上げた次第です。これはお字書き道TALKSで作ったものですが。
○本家はこちら↓↓↓
何度見ても、これは感涙もの・・・。
書道作品でも広告のチラシでもパワーポイントの資料でも、レイアウトはぱっと見の印象を司るものなのでかなり重要な要素です。
ちなみに書道には「余白」という言葉がよく出てきますが、当然ながら、レイアウトした素材(文字)以外の場所が余白です。つまりレイアウトが優れている=余白も優れている、ということになります。
⑤色
書道における色は、皆さんご存じの通り、主に白黒です。
まずは墨汁の黒色。墨汁の色で他に思い出されるのは、先生が採点や手本などに使う朱墨でしょうか。しかし作品ではほぼ見たことがないと思います。実際には金墨や銀墨、青墨、茶墨など、色の出る墨もありますし、水彩絵の具などを作品に使う場合もあると思いますが、まあ、主に、黒、です。
もちろん黒の中にも色々とあって、濃い墨(濃墨)か薄い墨(淡墨)かは大きく印象を変えます。
他にも光沢があったり煤けていたりなど、墨の色も様々ですし、書く紙や環境によっても当然色の出方は異なってきます。
次に紙の白色。コピー用紙などと同様に、白とひと口に言っても、漂白された白、黄みがかった白、藁などの繊維が見える白、光沢のある白、金箔がちりばめられた白などなどいろいろあります。
その他さまざまな色紙(いろがみ)や、色紙(しきし)のように金縁のある分厚い紙や、模様の描かれた紙や、木片や布に書くこともあります。がしかし、やはり書道は、白色の紙に書くことが圧倒的に多いです。
色もレイアウト同様に、ぱっと見の印象を決めるもの。全般的に白黒の書道の世界において、一般的な墨の黒、紙の白以外で書く場合は、それなりの理由が必要かもしれません。
あとは、額装などをして飾るという地点までを鑑みると、多彩な色の世界が広がっているとも言えますね。
⑥質感
最後に、質感、テクスチャーについて。これは、絵でいうなら油絵のねっとりと重たい感じとか、水墨画の淡くぼんわり霞んだ感じとか、アクションペインティングの絵の具が飛んだ瑞々しい感じとか、そういうことです。その絵や書から感じる表面的な肌合い、と言ったら良いかな。
書道における質感は主に以下の複合によって作られます。
書道的によく言われる、にじみやかすれは質感の演出と言って良いでしょう。かすれる線は、スピードを速めることで出すこともできますが、筆遣いの技術でも出すことができます。またつるつるした紙よりも、ざらざらした紙の方がかすれは出やすいです。
竹ぼうきほどの大きな筆を振りかぶって勢いよくビチャッッとやると、墨の飛沫がたくさん飛んで臨場感が出るのも質感の演出の一つかなと思います。
実際に書道作品を要素分解してみてね
もちろん要素は6つとは言え、その組み合わせにより種々様々なパターンの書道作品ができます。
ぜひ、その辺にある書道作品を要素分解してみてください^^
例えば試しに本記事サムネイルのコチラなど↓↓↓
今まで見えなかった書道作品の「何か」が見えてきたならコレ幸い!!
※毎週木曜19時更新
○著者作品集 [タケウチInstagram]
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