水深800メートルのシューベルト|第407話
「それをどうするつもりだ。お前に銃が撃てるのか? ママにでも……」
「うるさい!」
ドーン!
僕は、叫びながら引き金にある指先に力を入れた。ハンマーが起きるだけだと思ったら、銃口は火を吐いて、生き生きした魚のように跳ねた。その反動で思わず尻もちをついた。
遠くで「キャー」という悲鳴がしていた。バーナードは、突っ立ったまま動かず、ブライアントは、顔を白くして這うようにして地面にへたり込んだメイソンの後ろに回り込み、彼を抱きかかえようとした。
「お、おい、早まるなよ、な。お前それ、本物だぞ、引っ込めろよ。本当に撃つ奴があるか!」
彼は銃口から目を離さないまま、その場で動けないでいるメイソンの胸や頭を手でベタベタと触り、血がついていないことを確認していた。