ええと、あいつは同じ部屋の、確か……、僕は思い出そうとした。変な名前……、ええと南の方のニカラグアかエルサルバドル……そうだ、エウヘニオだ。
彼の名前をやっと思い出した時、教官が再び僕の方に顔を向けた。笑わず、厳しさだけを顔から剥き出しにしていた。
「ゆっくり休めただろう? 今度やらなければ除隊だ。六から始めろ」
「六!」
僕はやけくそになって声を出し、腕や体の疲れを考えないようにして、機械のように自分の腕が折れ曲がり伸びるのが自動で起こるはずだと思い込もうとした。
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