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水深800メートルのシューベルト|第191話

「あの人が、そう言ってくれたの。アシェルにかかるお金は惜しまないって。でも、あの人……、アシェルのような子どもと一緒に暮らすのは自信がないって……。しばらくは私と二人の生活を楽しみたいとも……」
 ママは言いにくそうな話し方をしていた。


「アシェルのような子? あの子はいい子ですよ」
「そういう意味じゃなくて……。アシェルはとても聞き分けのいい子です。でも、コリーニは子どもを持ったことがないんですよ。自信がないのは当然だと思いません?」


「あなたは母親なのよ」
 オリビアさんは怒ったような声を出した。僕は、げっぷが出そうになったが、音を立てちゃいけないような気がして我慢した。

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