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カンヌライオンズを効果的にインプットするための分析方法

カンヌライオンズの事例紹介を見て「良いアイデアだなぁ」と感銘を受けるだけではインプットになりません。なぜ良いと思ったのか?腹落ちするまで言語化してみる。そして要素を分解してもういちど自分で組み立ててみてみること。そうすることではじめて栄養として吸収されていくのだと思います。
ここでは分解する要素を説明いたします。

Brand

誰がなぜこのアイデアを行なっているのか、施策の話主をクリアにします。NGO団体などはスクリプトに記載がないこともありますが、誰が施策を行なっているで、アイデアの本当の目的を把握できます。重要なパートです。

Target

誰に対してのアイデアなのか、施策の対象者をクリアにします。ここも設定次第でアイデアの目的があやふやになりますので、しっかり情報を探しましょう。

Issue

Brandが抱えているマーケティングやビジネス上の現状の問題や課題はなにかをクリアにします。ブランドの課題ではなく、社会課題の場合もあります。

Challenge

Issueを解決した先の目指す理想の状態はなにかをクリアにします。Issueが入口なら出口の部分です。
ここまでで前段の整理は完了です。

Barrier

ここからアイデアの土台に入ります。
まずIssueの奥にある、ターゲットが抱えている心理的なバリアを探します。ペインやエネミーと呼ばれることもあります。アワードのスクリプトに記載されていない場合は推測してみます。
行動や態度ではなく、その原因となっている固定観念、思い込み、誤解、社会通念などのネガティブな心理や認識であることがポイントです。

Driver Insight

Barrierの奥に潜む、ポジティブで行動のドライバーとなる欲求を推測します。このDriver Insightをアイデアで刺激することで、ターゲットは行動変容を起こします。具体的には前向きな深層心理、隠れた動機、大切にしている価値観などを、want、need、believe、loveなどの欲求の言い回しで示すわかりやすいです。

「本当は〇〇したいと思っている(Driver Insight)が、しかし現状は〇〇である(Barrier)」というように、Driver InsightとBarrierはアクセルとブレーキのような関係になると完璧です。

まずアイデアを言語化したあとに、戻ってきてDriver Insightは何か分析するのでも構わないと思います。

Creative Insight

Creative Insightというワードを聞きなれない方もいらっしゃると思います。 いわゆるTarget Insightがターゲットの根源的な欲求への洞察・発見だとすると、Creative Insightとは、アイデアの種となる着眼点や発見です。事実・情報・技術の場合もありますし、概念や視点の場合もあります。これをアイデアと同時に言語化することで、なぜそのアイデアが生まれたのかの文脈がスムーズになります。

Idea

具体的な表現方法を示します。「アイデアは〇〇である」と具体的にしっかり述べます。

Transformation

アイデアによって、ターゲットのどんな価値観をどう変えたのか深掘りしてみましょう。これを簡潔に言えるとアイデアの説明が深くなります。

人が行動変容や態度変容を起こすとき、物事に対するなにかしらの見方が変わることがきっかけとなります。どのような価値変容を通じて、どう人を動かしたのか。それこそが、要はどんなアイデアなのか、ということです。


例えばAddidasの「Runner 321」であれば、

ダウン症の人々にとっての321という数字は、
「制限の象徴」であるという価値観
→「可能性の象徴」という価値観に変えた

だったり、あるいは

ダウン症の人々にとってのランニングは、
「自分に無関係なもの』という価値観
→「可能性を広げるもの」という価値観に変えた

ということだと思います。
前者は321 という数字の価値観の、後者はランニング大会の価値観の変容になっています。


ここまで読んでくださってありがとうございます。
以上が分析のフォーマットとなります。
頭から順番に分析していく必要はなく、わかるとこから埋めて行くので問題ないです。
最後に全体を繋げて読んでみて、ストーリーとして成り立っているか確認してみましょう。


カンヌライオンズの事例を分析するということは、いわば世界最高の大学の入学試験の過去問を解くようなもの。ちょっと前までは高額なお金を払わないと手に入らなかった優秀な過去問が、いまでは無料で無尽蔵に手に入れられます。ライオン獲得を目指さなくとも、アイデア開発の筋トレのために、分析を習慣化できるといいですね。

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