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おおいた クリカレ2021 リポート2「Basicプログラム開講」

Basicプログラム開講
おおいたクリカレ2021がいよいよ開講。まず、2日間を使ったクール1。参加者は感染対策に配慮しつつ、それぞれの参画企業のオフィスに集結。期待と不安の混ざる中、オリエンテーションの後、ゲストのインプットトークが始まります。トランクデザイン代表で、クリエイティブディレクターの堀内康広氏の幅広い活動内容の紹介に、参加者は次第に引き込まれていきます。

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Day1:刺激満載のインプットトーク
 地場産業のプロデュースやブランディングに取り組むトランクデザインは、単なる受注のデザインワークを越え、堀内氏自ら現場を訪ね、メーカーや職人と対話を重ね、自主企画を持ち込み製品化。それを自社の店舗で販売、さらに海外を含む販路開拓まで行うなど、リスクも正面から取りに行く姿勢は、従来のデザインワークのイメージを大きく変え、参加者の気持ちを揺さぶったに違いありません。

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 堀内氏は、かつて広告の仕事をしている中で、いたずらに数字を追うスタイルに違和感を覚え、模索を繰り返して、現在の業態に辿り着いたと言います。単に外観を化粧直しするようなデザインではなく、造形に至るまでに膨大な思考の蓄積を経て、ようやく商品の佇まいが決まる。内なるイノベーションこそトランクデザインの活躍の秘密と思えてなりませんでした。

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Day2:チーム編成し初回提案。
事務局から今後の進め方についてアドバイスがあった後、いよいよ具体的な提案が始まります。今回の参画企業は3社、印刷会社の川原田印刷、介護サービスのあわや、家具メーカーのベストリビング。この3企業に向けて、クリエイターを中心にA〜Fまで6チームを編成。ABチームは川原田印刷、CDチームはあわや、EFチームはベストリビングに向けて、取り組むことになりました。

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 全チームは、企業訪問、ヒアリングを経て、チーム内で話し合いを続け、アイデア共有を図り、提案を行います。3企業からは、それぞれ課題が対しされており、チーム側はそこにさらにヒアリングを加えて、課題の絞り込みと解決策の検討を進める流れです。

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 2日目には、早くもプレゼンが行われました。各チーム、和気あいあいと始まりましたが、講師の越田氏と堀内氏の講評が始まると、空気は急激に緊張感を伴っていきます。的確で鋭い指摘が相次ぎ、参加者の表情は一段と真剣さを増していきました。

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Day3+4:田子學氏の集中講義に唸る。
デザインには根拠が必要。その根拠が強く明示されることで、デザインは鮮明な意味と個性を持ち、競争力を高める。デザインマネジメントの第一人者と言われて久しい田子氏のメッセージの核心は、そこにあると思われます。田子氏は、それを伝えるべく、ワインの世界で使われる「テロワール」という概念を引き合いに出しました。

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 テロワールは、原料のブドウが育つ土壌を中心とする、ワインが産み出される生態系から価値を根拠づける仕組み。それぞれのワインの持つ魅力を、科学的にデータで示します。ソムリエは、その代弁者とも言えるでしょう。その土地でしか生まれない特徴をいかに引き出すか。ワイナリーは、そこに心血を注ぐのです。

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 さらに田子氏は、自身が関わった山梨のワイナリーMGVs(マグヴィス)の事例から、産業テロワールなるキーワードを提示し、参加者に問いかけます。また、半導体メーカーであった同社が、劇的なイノベーションを遂げたことと併せ、生産するワインの価値を高めるために、常識に安住せず、さまざま果敢なトライをしている。田子氏の熱量は参加者にもはっきりと伝わっていました。

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 質の高い刺激が続き、クリエイターも企業も目の色が変わってきました。課題を共有し、解決に向かって、共にアイデアを絞り出します。互いに、レクチャーとワークを通じて、仕事の方法さえ変化している。各デスクには、そんな気配が満ち満ちています。次は、各チームが発表する中間レビューです。


Day5:満を持して中間レビュー。
 3社に対して、6チームが提案を行います。印刷技術を用いた改革を模索する川原田印刷に対して、Aチームが「自費出版」、Bチームは「校閲ガールによる校閲ビジネス」を、介護現場におけるノーリフティングケアの周知に腐心するあわやに対して、Cチームは「講演や自立支援型モデルハウス」、Dチームは「自立支援型モデルハウスと社内の啓蒙冊子」を、認知度アップを願うベストリビングに対し、Eチームが「HITA-MUKI」を、Fチームが「工場見学」を提案しました。

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 初回に比べると、格段に企画の切り口と深さが上がっています。また、対外的な発信を意識したプレスリリースも制作しました。そこに、事務局メンバーによるアドバイスが加わり、さらなる改善点も現れ、最終プレゼン会をめざして一段上のゴールが見えてきました。6チームの渾身のラストスパートを期待したいと思います。

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執筆:Bunbo江副

おおいたクリエイティブ実践カレッジ2021 主催:大分県
おおいたクリエイティブ実践カレッジ2021 企画運営:株式会社ロフトワーク



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