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おおいた クリカレ2021 リポート6「Advancedプログラム成果発表会」

Advanced 成果発表会。
 おおいたクリエイティブ実践カレッジも、いよいよ大詰め。Advancedコースの5人のクリエイターは、まず、県内企業5社への提案を終えました(この様子は中間報告としてリポート④に掲載しています)。ラストスパートでは、事務局のサポートを受けながら、上記に新たな県外参画企業10社を加えた15社に対し、事業計画提案のための濃密なヒアリングとアイデア検討を続けてきました。

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 2月12日は、その成果発表会です。クリエイターはもちろん、提案を受ける企業側、講評を託されるゲストの皆さんにも、期待と緊張が入り交じります。当日は、コロナの再拡大によって、生憎のオンライン開催。提案を控える4名(※)の受講生は3社ずつを担当しました。さあ、果たしてどんな事業計画案が示されるのか。さっそく見ていきましょう。

 ※5人のうちのおひとり、松野奈帆さんは競技スキーの練習中に怪我をされ、泣く泣くリタイアとなりました。誠に残念ですが、1日も早いご快復をお祈り致します。

■ゲスト講評者

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越田 剛史氏(株式会社Design totte)
江副 直樹氏(ブンボ株式会社)
堀内 康広氏(トランクデザイン株式会社)
名児耶 秀美氏(アッシュコンセプト株式会社)



■提案と講評

◎福田まやさん
→1社目/地域科学研究所(大分)

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Q(課題):行政に特化したシステム開発やGIS活用による公共不動産管理などに強みを持つ同社。より幅広く地域課題を解決できるようになるには?
A(提案):意識のインストールを 自治体のDX導入と絡めたワークショップなどで高め、同時に社外への発信を通じて、いまは見えづらいレシピを広げてはどうか。
講評:クリエイティブに弱くても、事業計画まで取り組むと理解を深めやすい。(堀内)
多くはないが成功事例もあるので、それを発信することで、新規にも訴えられる。(越田)


→2社目/小島織物株式会社(京都)

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Q(課題):日本一粗い織物による壁紙やふすま紙メーカー。シェアも90%。有名ブランドの空間にも採用実績あるが、もっと一般に広げるには?
A(提案):インナーブランディングやSNS活用で意識を変え、全国の職人の組織化、さらに「布の家」をアピールする。
講評:外部にちゃんと伝え、その評価を知ることでインナーブランディングはできそう。(堀内)
世間に褒められると認識も変わり、誇りも生まれる。線香花火の筒井花火が好例。https://tsutsuitokimasa.jp/(江副)


→3社目/株式会社okicom(沖縄) 

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Q(課題):GIS活用の企画・開発、ソフトウェア開発、DX促進などに実績豊富。ビーチクリーンをアップデートするには?
A(提案):楽しみの見つけ方を、釣具メーカーとのコラボなど裾野を広げ、社会科見学などで学校などを巻き込んでみては。
講評:元サーファーとしては、湘南のコミュニティFMのように楽しく海好きを巻き込めると素晴らしい。(名児耶)
意識の低い人たちをいかに巻き込むかだろう。インセンティブ設定など欲望を突くのはありかも。(堀内)

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◎豊住大輔さん
→1社目/川原田印刷株式会社(大分)

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Q(課題):低迷する印刷業界において、いかに潜在的可能性を具現化できるか?
A(提案):これまで校閲サービスや自分史などの提案があったが、社内的には必ずしも受け入れられていない。ワークショップを通じ、改めて同社の強みと弱みを再整理し、成功体験を生み出したい。
講評:業界全体の課題。本質を見極め、取捨選択の決断が迫られる。現有スキルの応用転用を探る。(江副)
ペーパーレスの時代に、付け焼き刃は避け、熟考すべき。印刷捨てる覚悟を持って、ぜひじっくり考えて。(名児耶)


→2社目/株式会社ミナミダ(大阪)

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Q(課題):現状は、自動車、土木、通信など、ネジやボルトの金属加工がtoB事業が主。より一般に売り先を広げていくには?
A(提案):現在は、PC向けの放熱ヒートシンクのモジュール化による汎用的製品化が進行中で、これを推進したい。
講評:暖めるという逆はないのか。ライバルがいないところで闘えるといい。(堀内)
本質はネジではなく、ネジを造る技術。ここをしっかり発信することで、新たな深掘りや拡大もあるのでは。(江副)


→3社目/有限会社南條工房(京都) 

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Q(課題):音色にこだわる、おりん囃子鉦メーカー。出自は仏具だが、音を楽しむ「LinNe」を開発。そのための空間の準備も。
A(提案):音をきっかけとしたコミュニケーションの多様な入口が用意できる。目から、音から、手から広がるコミュニケーション。
講評:クリスチャン・ボルタスキーの心臓の鼓動をモチーフにしたアプローチは参考になりそう。https://benesse-artsite.jp/art/boltanski.html(堀内)
癒しや集中を促す音を作ることが可能なら、ターゲットは広げられると思う。(越田)

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◎羽山仁史さん
→1社目/有限会社かぼす本家(大分) 

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Q(課題):かぼす及び柑橘系の果汁や加工品の製造を行っているが、かぼす自体のブランディングやそのための社内のモチベーション向上が課題。
A(提案):to C向けに、声を集めること、EC見直し、ファンと繋がるイベントを実行したい。さらに残渣の活用も。
講評:かぼす大好きだけど、使い方、つまりレシピと紐付いていないのかも。レシピ募集なんて、ファンづくりにもなる。(名児耶)
toC向けには、トータルで取り組む必要があるが、既存商品のリブランディングの可能性も大きい。(越田)


→2社目/株式会社みやじ豚(神奈川) 

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Q(課題):希少種湘南みやじ豚を肥育する家族経営の畜産農家。ブランド化も進んでいるが、現在の規模を維持しながら価値を上げていければ。
A(提案):ミッションとビジョンとバリュー創出。ここだけの味をつくり、ここだけの体験を提供し、かっこいい農業をめざす。
講評:福岡のリバーワイルドは、養豚とハムソーセージとカフェを運営。柿豚料理会でブランド化に成功したが、参考になるだろう。http://www.riverwild.jp/(江副)
美味しさの根拠を示すのはとても大事。バックストーリーをしっかりと。(名児耶)


→3社目/株式会社SALT(福岡)

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Q(課題):デザイン、不動産コンサル、メディア運営を行うが、業態がわかりづらい。企業イメージを鮮明にし、コワーキングの差別化を図り、宿泊スペースの稼働率を上げたい。                                      
A(提案):うまく伝えるための紙パンフレットの具体的要望があるが、もう少し深掘りしたい。
講評:やることは見えているのでやるだけかな。打合せ増やしましょう。(堀内)
業態が見えづらい。整理をしてキチンと発信し、ビジョンを示すべき。(江副)

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◎渡辺恭輔さん
→1社目/株式会社あわや(大分) 

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Q(課題):ノーリフティングケアの第一人者として、重度障害者のその家族が旅を楽しめる宿を開業し、ともに暮らせる社会をつくりたい。
A(提案):計画はまだ初期段階で、かつクライアントは宿泊業は未経験だが、専門家を入れながら具現化して行く予定。
講評:資金は大丈夫なのか?事業計画をしっかり作って、ぜひ成功させて欲しい。(名児耶)
ハードルは高い。これは旅の設計だと思う。ロケーションがすべて。料理とかアメニティとか。(堀内)


→2社目/西部印刷企画株式会社(佐賀) 

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Q(課題):伝票類に特化した小規模印刷会社。デザインがわかる人材を擁していて、今後はチームを組んで、クリエイティブ領域に広げていきたい。
A(提案):企画プロデュースへシフトし、同時にマネタイズの仕組みを確立する方向で。
講評:小ささはアドバンテージ。外部のクリエイターと組めば、すぐに始められるはず。(江副)
積極的アウトソーシングで業態変更、できるんじゃないか。(名児耶)


→3社目/株式会社ウォーターエンジニアリング(広島) 

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Q(課題):魚類飼育用の濾過材メーカー。自社開発の濾過材とボトルアクアリウムは画期的な商品。世の中の飼育環境を改善したい。
A(提案):命を慈しむこころを育てるワークショップの開催。
講評:渡辺さんは、もっと事業計画まで食い込んだ方がいい。ゴール設定を明確に。(堀内)
YouTube出演でバズったそうだが、自社動画でいくならいろんなバリエーションを揃えたい。(越田)

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刺激を糧に成長は続く。
 この短期間にひとり3社担当の課題は、かなりの負担だったと容易に想像がつきます。しかし、さまざまな視点からの多様な講評は、受講者のアイデアにさらなる刺激を与えたに違いありません。

 春以降には提案の実現、つまり実際の事業スタートを想定しており、3月上旬には、非公開の参画企業へのプレゼンが予定されています。課題に向き合う時間はまだまだ終わりません。



執筆:Bunbo江副

おおいたクリエイティブ実践カレッジ2021 主催:大分県
おおいたクリエイティブ実践カレッジ2021 企画運営:株式会社ロフトワーク

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