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又吉『火花』読書感想文

火花を読んだ

また抉られるような、心の一部を持ってかれたような、ん〜でも持ってかれたって表現はでも違う、ほんとはもっと、なんだろう、移植されちゃったような、わたしの中に、違う世界が埋め込まれて、移植された部分は変な色で、青とか、茶色っぽくもあるな、あんまし綺麗じゃない、しかも混ざりきってない、ところどころ原色のまんまみたいな混ざり方した色で、そこは自分のものじゃないってはっきり目で分かるはずなのに、その境目だけが異常なほど綺麗なグラデーションで、どこまでが自分のものかが分からなくなっちゃうみたいな。

ここは明確に自分のものだと思っていたけど、実はここも人の世界でちょっと染まってて、考え出したらもっと引き込まれて余計に今なにを見てるか分からなくなる。


なんの話をしてるかって言うと、火花を読んだ後のわたしの心の話をしています、もっと言うと、神谷さんになれなかったわたしの話をしています、

自分って、1人じゃないよね、自分って人間は世界に1人しか居ないけど、この人って概念は無限にある、駄目だわたしは辞書的な言葉の意味、正確な意味で言葉を使うってのを怠ってきた人間だ、細かい表現がわからない


でも、言いたいのは、この本は徳永(主人公)のなかの神谷さんの話だってことで、この文はその徳永を通してみた神谷さんの話を読んだわたしの文なんだよ、

好きだなと思って、この人が夜寝る前に何を考えて、なにを思ってるうちに気付いたら寝ちゃってるんだろうって、想像してこの人に近付こうとしてみたけど、私から見えてるのはわたしの頭の中の徳永と神谷さんで、

徳永は神谷さんから送られてくるメールの文字で神谷さんの表情を見たけど、それも、メールを送ったのは神谷さんだけど、笑ったり、はぐらかしてたのは、徳永の中の神谷さんだった


憧れれば憧れるほど、好きになれば好きになるほど、勝手に喋りだしてしまって、コロコロ動き回る頭の中のその人に、夢中になって話しかけてたら目の前をすぅって静かに通り過ぎてった、その人自身に気が付けなくなっちゃった

あなたは好きな人に期待できない人生は哀しいって言ったけど、どっちに期待をしてくれたんだろう、頭の中のわたしに期待をしてくれたんだったら、きっとそれは叶うけど、わたしはもっと遠くでそれを見てることになるワケなんだよ、

ほんとは全部話したいけど、未読してたのを既読にして、せっせと文字を打ち込んだまんま、送信ボタンだけが押せなくて、会話遡ってはため息ついて、シュッて人差し指でスライドしてタスクごと切るような日々です


この本を最初に読んだのは大学1年生の、たぶん9月頃で、人気だし、又吉だもん!テンポとかも面白そうだな!と思って読み始めたんだけど、

まあ尽く合わなかった。読めなくて読めなくて、なに言ってんのかわかんないし、読んでも進んだ気がしなくて、疲れちゃって途中で読むのやめたんだよね、

今じゃ考えられない気持ちで、わたしさっきまで、こんなに終わらないでくれ、、、って気持ちで同じ本を読んだんだよ、

第4次自我の芽生えの前と後じゃほんとに人格が変わったんだなとびっくりしています

きっとそのうちノーランの凄さにも気付く時が来るのでしょう。でもテネット観ながら寝るような私とは、映画ファンは一緒に映画観たくないらしいです。ううう、日本人以外みんな同じ顔に見えちゃうから情報処理が追い付かないんだよなぁ、大好きなアベンジャーズも最初は誰が誰だか正直なんにも分かってなくてめちゃくちゃ寝たけど、2回目3回目って繰り返し観て、やっと人が違う服着ててもその人だと認識できるようになる。もう1回観るかぁ〜誰が誰なんだい〜


あ〜良かったな〜火花〜〜〜、後半も怒涛でグエグエしてたんだけど、

わたしとっても好きだった部分があってね、98ページのここ、

神谷さんは、露悪的な部分も多少あったが、一部の人間に対しては非常に人懐こい一面があった。特に一度親しくなった人間に対しては異常なほどの愛情を見せた。それでも、僕は神谷さんに対する恐怖感が絶えずあった。いくら神谷さんが僕に優しく接してくれても、神谷さんの考え方や面白いことに対する姿勢に取り残されることが多々あった。
その日は、世田谷公園を一緒に歩いていた。辺り一面の木々はいかにも秋らしく色付いていたのに、なぜか一本の楓だけが葉を緑色にしたままだった。
「師匠、この楓だけ葉が緑ですよ」と僕が言うと、「新人のおっちゃんが塗り忘れたんやろな」と神谷さんが即答した。
「神様にそういう部署あるんですか?」と僕が言うと、
「違う。作業着のおっちゃん。片方の靴下に穴空いたままの前歯が欠けてるおっちゃんや」と神谷さんが言った。
その語調には僅かな怒気が含まれているように感じられた。
「徳永、俺が言うたことが現実的じゃなかったら、いつも、お前は自分の想像力で補って成立させようとするやろ。それは、お前の才能でもあるんやけど、それやとファンタジーになってもうて、綺麗になり過ぎてまうねん。俺が変なこと言うても、お前は、それを変なことやと思うな。全て現実やねん。楓に色を塗るのは、片方の靴下に穴が開いたままの、前歯が欠けたおっちゃんや。娘が吹奏楽の強い私立に行きたい言うから、汗水垂らして働いてるけど、娘からは臭いと毛嫌いされてるおっちゃんやねん」
「そうですね」
そう、答えるしかなかった。
「新人の神様が塗り忘れた楓と、汚いおっちゃんが塗り忘れた楓、どっちがより塗り忘れてる?どっちがよりここにある?」
「確かに、おっちゃんです」
「せやろがい!」
「なんで、急にキレるんですか」
最後に怒ったふりをして、最初から怒ってなかったかのように見せていたが、自分の想像を途中で捻じ曲げられたことに対して神谷さんは本気で怒っていたのだと思う。

ここがすごく好きだったの
なんでって言われると難しいよね、なんでを突き止めないといけないのかもしれないけど、なんでかわかんないけど、が根拠のほうが、なんだか強く好きであるかのような気がしちゃう

明確にしちゃうとそこが違くなったら好きって言えないじゃん

あやふやなほうがいいじゃん、そこが揺らいでも好きでいていいじゃん

だからすごい好きな描写。


あと、かわいいから好き

なんかかわいくない?塗り忘れちゃったって

かわいい って素敵な感情だよね〜、もう愛しくなっちゃって、もうそれでいいんです!!!!

あとはいちいち面白かったから好き

引き出しをあける楽しさがあって楽しかったなぁ


でも全然なにが好きだったか上手に言えないね

聞き上手さんがここにいて欲しい

なんでわたしこんなにこの本すきだったの??


すごい好きなんだけどなぁ

まあいっか

また読めばきっと好きだ〜!って思えるだろうから、また読めばいいや、もっと好きになっちゃうかも、2回目は、2回目こそはちゃんと人物判別できるから!

なんでも繰り返せばいいね〜

この書き方は癖だね、我ながら気持ち悪いかな〜、いや気持ち悪くなんてないさ、1度も気持ち悪いだなんて思ったことはないさ!

誰か、一緒に火花を読んで、楽しくこれのお話をして欲しいな〜

やっぱ売れてる本っていいんだわ、

評価されてない良いものはあれど、評価されてるやつは全部すごい良いものだよ、すごいものをすごいと感じれて良かった〜!!!!


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