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みきちゅ×大石蘭 スペシャル対談 〜蘭side〜 前編 「みきちゅだけどみきちゅじゃない」って?

フリーランスで独自の音楽活動を展開するシンガーソングライター・作詞曲家のみきちゅさんに、同世代の大石蘭がアルバム制作秘話やパーソナルに迫るお話をロングインタビュー!
今年9月にクラウドファンディングを通して自主制作したニューアルバム「みーんな国宝だよEP」をリリースし、10月21日にはストリーミング配信も解禁したばかりのみきちゅさん。
「推し」「加工アプリ」「サブスクリプション」…令和のリアルな感覚が詰め込まれたニューアルバムを通して伝えたいこととは?
今の世の中を生きる上で、みきちゅにとって大事なことって?
たっぷり語り合いました!

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みきちゅ profile

仙台生まれのシンガーソングライター&音楽作家。
​6歳から作曲を始め、16歳からピアノ弾き語りでの活動をスタートするも、重度のアイドルオタクであることがきっかけで「ヲタ芸を打つ側から、打たれる側へ」と憧れを抱き、“アイドルシンガーソングライター”というジャンルを作り出す。
若手バンドの登竜門である「閃光ライオット2011」に出場したことがきっかけとなり活動を本格化させると、DIYで活動する姿がメディアからも注目を浴び、事務所無所属のアイドルとしては異例のオリコンTOP10入りを果たす。
2014年には“アイドルシンガーソングライター”での活動を終了させ、原点である“シンガーソングライター”がメインのスタイルとなる。
2019年には、テレビ朝日「musicる TV」にて放映された若手音楽作家発掘企画にて、最終選考へ1位通過、楽曲提供のチャンスを掴み、本格的に音楽作家としても活動を始める。

みきちゅさんのnoteに掲載された、
活動ヒストリーを掘り下げるインタビューもぜひ合わせてお読みください!
みきちゅ×大石蘭スペシャル対談〜ちゅside〜前編「こんなんでいいのか自分の人生!」
みきちゅ×大石蘭スペシャル対談〜ちゅside〜 後編 「あなたかわいいんだから表に出たほうがいいわよ」

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左・みきちゅ/ 右・大石蘭

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全曲バラバラ、令和の感じを詰め込んだアルバム

大石:みきちゅのニューアルバム「みーんな国宝だよ EP」は、全体的なテーマとして、今の「アイドルの存在」とか「推し」っていうのを感じるよね。

みきちゅ:そうだね、4曲目「推しと人生トリップ」はとくにだし、1曲目の「君は国宝レベル☆」から「君は尊い」って言ってるしね。

大石:その一貫したテーマは最初からあったの?

みきちゅ:ぜんぶ後付けで、最初にあったのは、「全部違う曲にしよう」ということだけ!

大石:たしかに、曲調は全部ぜんぜん違うよね。

みきちゅ:そう、楽曲に関しては全部バラバラ。
1曲目の「君は国宝レベル☆」って曲に関しては、アレンジャーのha-jさんが、嵐さんとかSMAPさんとかKAT-TUNさんとか手掛けてる方なので、「国民的アイドル感」を出したいなっていうのがすごくあって、そうするとおのずと歌詞も明るくなっていくから、なんかこう、日本を照らすような曲にしたい!というのはあって、それで方向性が決まって。
2曲目の「サブスクリプションシティ」は、トレンド感のある、夜系アーティストみたいな曲を作りたいねって話で作り始めました。
3曲目の「超最高CULT」は急にK-POPっぽい曲が入っていたりして…それも、自分が「ちっちゃい子からおじいちゃんおばあちゃんまで聴かれる曲を作りたい」っていうのを公言してたんですけど、そのためにJ-POPを極めていたはずが、うちのお母さんがめっちゃK-POP聴いてて(笑)。
「こんな近い人がJ-POPじゃない音楽聴いてる!」と思ったときに、自分が広がっていかないと!って思ったんです。

大石:そういえば私も、親戚とかみんな10代から大人までK-POP聴いてるなぁ。

みきちゅ:そう、みんなK-POP聴いてるの!
前からK-POPは良いなと思ってたし、作家としてもK-POPみたいな曲をたくさん作ってたけど、みきちゅではやらないだろうなって思ってて。
でも、やらないのはもったいないからやりたいって思うようになってきた。

大石:K-POPらしさっていうのはどういうふうに出るんだろう?コード進行だったり、歌い方だったり…。

みきちゅ:あ、歌い方というのはかなりあって、それは、日本語の発音で歌うより、「韓国の曲の日本語の発音」っていうのを意識する感じ。
一度私の作った仮歌を、Special Thanksにも名前が載ってるELLEYさんっていう韓国出身のアーティストさんにそのまま歌ってもらって、また戻してもらって、私が歌うんです。

大石:Google翻訳に2回かけるみたいな感じで!

みきちゅ:そうそう!でもELLEYさん日本語の発音がすごく綺麗だったから、思ったようなカタコト感はなかったけど…

大石:でも、発音の仕組みが違うよね、きっと。

みきちゅ:そうなんです。今回一緒に作ってるディレクターのコレナガタクロウさんと、韓国語の論文も一緒に読んで、「ここはこんな発音で歌おう」みたいな話をしながら録りました。

大石:言語学的なアプローチもしてるんだね!

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みきちゅ:
そういえば!「超最高CULT」は、実は(私たちの共通の友人のアーティストの)キャロラインちゃんをイメージして書いてるんです。
キャロちゃんと、「コロナが明けてから、この奪われた時間を一緒に取り戻したいよね!若い子たちが頑張ってるってことを伝えたいよね!」って話をしてたときに、ちょうどこの曲を作っていて、自分の強さを歌いたいなって思っていたから。
キャロちゃんのツイートってすごく強くて、「私は天才だから絶対大丈夫」みたいな…しかもちゃんと結果を出してるし。
キャロちゃんも、「キャロラインみたいな歌詞書いて!」って言ってくれてたので、ツイートを見ながら歌詞に起こしました。

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▲キャロラインちゃんの手掛けたスタジオで撮った写真。

大石:そうなんだ!おもしろい!

みきちゅ:普段のみきちゅだったら、歌詞の途中に「でも自信がない」とか「不安だった夜も」とかが絶対入るんですけど、キャロちゃんは天才だから、「試してるの 命のデコレーション」とか「加工してもリアル」とか「フィルターかけても私は私」とか…強くてけっこうイマドキの感じに仕上がってます。
TikTokとか見てても、「加工を外せるか外せないか」みたいな話はけっこうあるんだけど、私的には別に加工した顔がかわいいと思うならそれでいいと思ってて、わざわざ加工を外すのが正義とも思わないし。
本人が良いと思ってる強さがあればいい、と思ってるので、そういう「令和」の感じを歌詞に入れ込みました。

大石:そうだよね!今の加工アプリありきの風潮を見てても思うし、自分の10代の頃からのプリクラとかを思い出してもそうなんだけど、加工アプリだったりプリクラで補正されてるっていうのはみんな暗黙の了解で、「補正されてかわいいってことはかわいいよね」みたいな気持ちが女の子にはある気がするんだよね。
今の子ってプリクラ帳作らないから、インスタがその代わりなのかなと思うけど、自分たちがプリ帳作ってたときのことを思い出すと、プリクラ見て「○○ちゃんめっちゃかわいいじゃん!」ってなってその子に興味持つ、みたいな現象があったな。

みきちゅ:たしかに、普段とは違う、知らないその子の顔がそこにあるというか。

大石:そう、盛れてるその子を見て、「かわいい!友達になりたい!この子とプリクラ撮りたい!」みたいな感情がわいてくる。

みきちゅ:あ~、「この子とプリクラ撮りたい」あったな!

大石:そのときの「この子かわいい」って感覚って、「プリで盛れてるってことは盛れてる自分自身がもうかわいいよね」っていうものがあった気がする。

みきちゅ:今で言う、「いいね」するって感覚かもね。

「この主人公は自分かもしれない」って想像してもらえたら

大石:イマドキ感って話が出たけど、そうすると今回のアルバムって20代の等身大のリアルが描かれてるのかな。

みきちゅ:今回は、「みきちゅだけどみきちゅじゃない」っていうのをすごく意識してる。
これまでは、私しか歌えない曲っていうのが多くて、今まで感じたこととか、今思ってることとか、自分の本当の気持ちを歌うってことで作ってたんですけど、みきちゅを知らない人にも、もっと自分の曲として聴いてもらえるといいな、っていうのがあるから、どうしても同世代、20代の気持ちに近くなってるかもしれないですね。

大石:たしかに、「サブスクリプションシティ」とかって普遍的だよね。みきちゅじゃないというか、MVの主演も男性になっているし。

みきちゅ:そうですね。「サブスクリプションシティ」は、今ってもう音楽も映画もなんでもサブスクできるし、服もサブスクできるし、自販機も飲み放題とか、食べ物もサブスク、って感じになってる、そういうことを監督のかとうみさとさんと話してて。
じゃあ、すべてサブスクリプション化されたら、たとえば水だって出しっ放しでも料金変わんないし、食べ物だっていくら食べてもお金変わんないから、じゃんじゃん使うよねって話をして。
実際もっとサブスク化されていくと思うんですよ、これから。
で、満たされた気持ちになっても、結局所有権は自分にないっていう。

大石:そうだよね!私は所有権って自分の中でけっこう大事だと思うから、ブランドバッグをサブスクで借りる人の気持ち、わからないもん。

みきちゅ:私もわからない!だって一生懸命頑張って買うっていう、買うまでのドラマがもうなくて、使い捨てのアイテムみたいになってる。

大石:そう、私はそこのドラマに執着しちゃうな。

みきちゅ:いろいろ満たされてる気持ちになっても、結局大切なものを見失ってるっていうのをすごい感じてて。
今の子たちはCD買う大変さも知らないし。あの、一生懸命1000円貯めて、買いに行って初めてカップリングを聴ける、みたいな!

大石:たしかに。BUMP OF CHICKENの隠しトラックとか、もはや意味なくなってるもんね(笑)!

みきちゅ:そう~!みんな今CDプレイヤー持ってないですとか、パソコンも持ってないですとか言うし、あの頃のわくわくした気持ちはすでに失ってると思ってて。
だから、そういう危機感みたいな、皮肉っぽさも曲に込めました。
そしてMVがやっぱりみんなのイメージになるから、私が主人公だと私がそう、って思われて終わりになっちゃうので、敢えて男性を主人公に撮りたくて、Rinさんに主演をお願いしました。
みきちゅが主人公じゃなく、誰にでも当てはまる、「この主人公は自分かもしれない」って想像してもらえると思うし、そういう意味でも殻を破った曲です。

大石:MVに男性に出てもらおう、というのは、監督と話し合いながら決めたの?

みきちゅ:匿名感を出したいっていうのを言ってて。
みさとさんと最初に打ち合わせしたとき、まだ歌詞ができてなくてオケだけできてたんですが、「みきちゅが、みきちゅが」って感じじゃなく、リップシンクがドーンとくるより、ストーリー仕立てにしたい、っていうのがあったので、男性は良いよね~、という話になりました。ニュートラルになれるというか。
そうそう、みきちゅのファンってシャイな人多くて、YouTubeのコメント欄とかにもなかなか書き込めないって人多いんだけど、「サブスクリプションシティ」のコメント欄はRinさんのファンの方がRinさんを喜ばせたくていっぱい書いてくれて…手紙みたいでいいなと思いました!

大石:見た見た!TikTokで有名な方なんだね。

みきちゅ:Rinさんは、今年の春から本格的にTikTokを始めて、バズった方なんです。
TikTokを主な活動の場にするっていう時代、すごい!

大石:TikTokで使われて流行る曲も増えてきたしね。

みきちゅ:本当に!「香水」(瑛人)とか「夜に駆ける」(YOASOBI)とかってコロナ禍のTikTokで流行った感じ。

大石:今回のアルバムの曲も、そういうふうにTikTokで使われることを想定していたりする?

みきちゅ:「推しと人生トリップ」とかはめっちゃやりたいと思うんだけど、自分でTikTok用の動画をどう作るか悩み中…。

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大石:
表参道のドルチェマリリッサってカフェわかる?
そこのケーキすごくかわいくて、カラフルなケーキでオタクの子たちが推しのお誕生日をお祝いしてたり、アフタヌーンティーと一緒にグッズ並べて撮ってたりするんだよね。
そういう、かわいいお店に行ったときにTikTok撮るっていうのもいいかも。
誰が推し、とかは出さなくても曲は合いそう!

みきちゅ:アリだね!最近ほんと思うのが、女の子のオタクってお金持ちだよね(笑)。
若い子もホテルでお誕生日会やったり、グッズもすごい数買ったり、みんなすごい…。バイト?

大石:自分磨きもすごいよね!ライブのたびにヘアメイクしてもらったり、服を揃えたり。
みんな必死でバイトするのかな?

みきちゅ:ね、でもいろんなものが安くなってる気はする。
私たちが高校生のときに買いたくても買えなかった服、みたいな服が、ネットですっごい安く見つかったりするし、メルカリもあるから。
使い捨てなのかな、着たら売っちゃうみたいな。

大石:たしかにたしかに!
1回着たらもう着れないみたいな、買っても自分のもののような気がしないっていうか。
「サブスクリプションシティ」にも通じるけど。
なんか、メルカリっぽい曲も作ったらおもしろいかも!

みきちゅ:あっ、そうだね!これからどんどん新しい曲も作りたいと思ってるんだ!

会えない間にみんなと何かできないか?


大石蘭
(以下、 大石)今日着てるワンピースは、ニューアルバムのジャケットでも着てるお洋服だよね!

みきちゅ:そう!お気に入りの一着です。
この間、自分が今後なりたい自分、みたいなのを考えてて、紙に書き出してたんですよ。何があれば幸せで、何ができないから幸せじゃないか…って書き出したときに、「幸せじゃない」のほうに、「お気に入りの服があんまりない」って書いてて。
そんな自分を変えたくて、お気に入りの服を探して着るようにしてる!
去年なんてずっと機材を何十万と買っちゃって、服にあまりお金が回せなくて、そんなときに限っていろんなアーティストさんに楽曲提供させていただいて、写真撮ったりTV出たりする機会があったのに、1500円の服着て出てたりして、見返すと心が貧しくなるんですよ…。
椎名林檎さんが書いた「貧しさこそが敵」って歌詞があるけど、本当にそうだと思う。

大石:東京事変の「キラーチューン」ね。私も大好き!

みきちゅ:どうでもいい服を1500円で買って後悔するより、3着我慢して、1万円の服をずっと見てたら、ZOZOTOWNで2000円オフのクーポンが出て8000円で買えたりするじゃないですか。
この服も、MILKの去年のなんですけど、どうしても欲しいから中古で見つけて買った、「執念」の服なんです。お気に入り!
私は「曲を作る=裏方」としてたるむんじゃなく、作曲家としてのほうがむしろ綺麗にしていようって思うんです。

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大石:
ひと目見た瞬間にMILKってわかったよ!
私も欲しかったやつ…かわいいよね。
そのワンピースをジャケットで着てる「みーんな国宝だよEP」は、クラウンドファンディングで作ったんだよね。
クラウドファンディングは今までも何回かやってるんだ?

みきちゅ:クラウドファンディングは今回で2回目!
今回はさかのぼると、コロナ禍でアルバムが全然発表できない、ってなったときに、収束を待って数ヶ月後に「何ヶ月か前に出したアルバムです」ていうのはすごくかっこわるいし時間がもったいない、と。
でも、前のアルバムを作ったあとだからお金がない、っていう状況で…。
そこでクラウドファンディングをやったら、まずCDを出すってことをたくさんの人と共有できるし、賛同してくれた人たちと発売までも共有できると思ったんです。
活動報告っていう、支援者だけが見られるページがあったり、ふだん表に書けないようなこともガンガン書いていけるから、クラウドファンディングをやることで、よりみんなと近づけるんじゃないかな、というのがあって…
だから、CDを作るためにクラファンを始めたっていうよりも、このコロナで会えない間にみんなと何かできないか、っていうところから、じゃあCDを作るっていうのはどうだろう?ということで、6年ぶりくらいにクラファンをやりました。

大石:それじゃあ、ある程度は慣れていたのかな?

みきちゅ:でもすごい不安だったんですよ。
前にクラファンをやったのは21歳くらいでフリーのときだったんだけど、そこから6年も音楽をやっていて、またみんなからお金を募る、というのはすごく心苦しいし、成長できてない感じがしちゃうなって思って。
しかも、私が前にクラファンやったときって、ほかにBiSくらいしかやってなかったんですよ!
BiSの次がみきちゅ、くらいで(笑)。
で、クレイジーな人がやるものってイメージだったんですよね。

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▲2014年のみきちゅ。

大石:コロナ禍で、今は飲食店とかもクラファンやる人かなり増えたけどね。

みきちゅ:今でこそ「クラファンやります!」って言ってもみんな「そうですか」って感じになるけど、当時2014年はネットニュースで「オタクから金を搾取する女」とか書かれて、まとめサイト系にもバンバン載せられて、「ブスなのにお金集めて、オタクは大変だな」とか書かれて!

大石:そこまで!?

みきちゅ:そういうのもあったからめちゃめちゃ怖くて。
だから、今回クラファンの担当の人にも、「クラファン怖くて…でもやりたくて…どうしたらいいですか」みたいな、結構弱い気持ちを話してたんですけど、「ぜんぜん今みんな普通にやってるし、めちゃめちゃ売れてるアーティストの人だって、たとえばZINEを出したいとかMVを作りたいとかってクラファンやってるし、いいんじゃない?そんなに考えなくていいのでは」みたいな感じで言われて。
なんか、クラファンって「切羽詰まらないとやっちゃいけない」くらいの気持ちだったんですけど、そんな軽い気持ちと言うか、前向きな気持ちだけでやっていいんだ、おもしろいことをしたいって気持ちで取り組んでいいんだ、って思ったので、そのままやることにしました。

大石:6年で世間のクラウドファンディングに対する認識もかなり変わったんだね!

「雑コラ」っぽさを狙ったアルバムジャケット


大石:
このジャケットに名前が載っているのが、支援してくれた方々?

みきちゅ:そう!今回、「会えない間も繋がる」っていうことで、リターンはいちばん最初のところから、ここに名前が載るっていうことにしました。みんなおもしろい名前で参加してくれた(笑)。
リターンとして、歌詞カードに名前が載るっていうのはよくあるんですけど、デザインになるっていうのはなかなかないから、やっちゃえ!って感じで。
デザイナーのBOZOさんに、「金額で優劣がつかないように名前を並べたい」って話してたら、「まあるく並べる」って提案してくれたんです。
なんか歴史上でも、「一揆」を起こすときとかって、誰が発案者かわかんないように丸く名前を並べたりするから、そういう感じでやろうよって(笑)。

大石:まさかの百姓一揆(笑)。
これ、個人的に思い出すのが、私が高校のとき、みんなで朝礼で歌った映像を先生が焼いてくれたDVDで、クラス全員の名前がこういうふうに円形に並んでたの(笑)。そういうことだったのか!

みきちゅ:先越されてた(笑)!!

大石:デザインも、ほんとにこのCDみたいに、よくあるフォントとフリー素材を組み合わせたみたいなDVDだったな…。

みきちゅ:そう、このCDデザインも90年代の「一太郎スマイル」(小学生向けワープロソフト)をイメージした(笑)。
ジャケット写真は、最初はカメラマンさんにスタジオで撮ってもらうことになってたんですけど、「雑コラ」みたいに作るのに画質って必要?って話になって。
ジャケット云々考えるときに、すでに曲作りにかなり予算を割いちゃっててヤバいってなってたのもあり、iPhoneで良くない?って。
みきちゅの顔をよく知る幼なじみが、みきちゅの顔がよく見える角度で、iPhoneSEでパシャッと撮ってくれました。
雑コラっぽさを目指してるから、もっと画質悪くてもよかったんじゃないかなと思う(笑)。

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「みーんな国宝だよ EP」ジャケット(左)と、iPhoneで撮った元の写真(右)。

大石:すごく懐かしさあるデザインだよね!

みきちゅ:私もむかし、ピクトベアーっていうイラレのしょぼい版みたいなソフトを使って、キラキラとかネオンの文字とか作ってたなぁ。
今はそういうのがみんなスマホで無料でできちゃうからすごいよね!

大石:ね、でも今の加工アプリ文化とかも、そのうち懐かしくなっちゃうんだろうな。

みきちゅ:当時はソフトをパソコンにダウンロードして、変なウイルス感染したり変なサイトに飛んでグロ画像踏んだりしながらやってて(笑)。

大石:グロ画像とかは、私も小学校のときネット見ててよく踏んじゃってた(笑)。

みきちゅ:「ウォーリーを探さないで」っていうFlashアニメがあって、ずーっと見てたらウォーリーを探してたら急に血まみれの女が出てきたりするやつ(笑)。

大石:あれ怖かったわぁ…親に怒られてた(笑)。「おもしろFlash倉庫」とかね。「ハゲの歌」が小学校で流行ってたな~!

みきちゅ:ブリーフ&トランクス懐かしい!

大石:BUMP OF CHICKENとかモーニング娘。とかの違法アップロードのFlashアニメもたくさんあったよね〜。

…と「インターネット老人会」的なエモ話!?になってきたところで!私がMVの絵を描かせてもらった「推しと人生トリップ」についてもお話を聞いていきましょう!


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インタビュー後編では、
大石蘭がMVにイラストを提供した新曲「推しと人生トリップ」を掘り下げながら、ファッション、音楽からオタク文化まで語り合います!

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大石 蘭 / ライター・イラストレーター profile
1990年 福岡県生まれ。東京大学教養学部卒・東京大学大学院修士過程修了。在学中より雑誌『Spoon.』などでのエッセイ、コラムを書きはじめ注目を集める。その後もファッションやガーリーカルチャーなどをテーマにした執筆、イラストレーションの制作等、ジャンル問わず多岐にわたり活動中。


インタビュー・執筆:大石蘭
取材写真:SUITE IMAGE


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