16日目。おじいちゃんの補聴器

1:22、友達へのLINEを返したところ。

今日はうすら寒い晴れだった。おばあちゃんは雨の日の方が体調が良い傾向にあるので今日は心配だったのだけど、発作的な意味では安定してたみたい。

もしくは、少しでも辛くならないようにおばあちゃんが色々攻略してきたのかもしれない。トイレのあと、洗面所で座って手を洗うと発作になる率が高い。なので、洗面所で居座らないで、そのままキッチンまできてキッチンで手を洗ったり、歯磨きも洗面所を使わなくなった。おばあちゃんは座るよりも横になっているほうが楽みたい。発作がでると、ある程度落ち着くまでは座りながら頑張って、移動できるようになるとベッドへ急ぐ(ゆっくりと)。寝ながら呼吸を整えていく。そうやって、自分なりに一番ラクな方法を探しつつ毎日を過ごしてる。だってこの日記ももう16日目。おばあちゃんも慣れてきたのだと思う。

今日は呼吸は安定していたけれど、ご飯はあまり進まなかった様子。昨日は頑張って朝からたくさん食べてたのだけど、今日は「パンが食べたい」というリクエストのもと、ママがサンドイッチを作ったのだけど、叔母がお土産でもってきた小さいメロンパンをつまんでスープを飲んで、いっぱいになっちゃったようで、サンドイッチはほとんど食べられなかった。

今日は9〜13時だけ働いて午後休をとった。お昼に、ママとおばと3人でスシローにいってさくっとランチをした。あまり神妙な話はしないでおいた。おばがおばあちゃんにと、喋るトレーニングとして日本昔話の絵本をお土産にもってきたのだけど、はたしておばあちゃんはちゃんと声に出してよむトレーニング、するだろうか?今度よんでもらおう。録音もしよう。

ランチから帰ってきてママはそのまま銀行へ。家に入ろうとすると鍵がしまってた。庭からおじいちゃんの部屋を覗いたのだけど、部屋にいない。おばあちゃんの部屋まで行ったらおばあちゃんは寝ている。私はセブンで買ったお土産のコーヒー片手に立ち尽くしていたが、「おじいちゃん聞こえてくれ!」と思って玄関のチャイムをならした。数分後、おじいちゃんがでてきて部屋に入れた。遅くなった理由としては「洗い物をしていて気づかなかった」そう。どうやらチャイムの音に気づいて、おばあちゃんがメガホンでおじいちゃんを呼んだらしい。おばあちゃん、ありがとう。

おじいちゃんは、耳が聞こえにくくなってる。大きな声をださないと聞き取れないし、おじいちゃんの部屋のテレビの音は、廊下でも聞こえる爆音。コレまでも何度も補聴器をすすめてきたけど、「もう長くないんだから」とか「高いから」とかで取り入ってくれず、補聴器の話をママがするとすぐ喧嘩になっていた。おばあちゃんが何度も補聴器買ってよといってもダメだった。けど、今日、ママが、無事に説得に成功した。

この前おばあちゃんが転倒した時、その流れでママが強く懇願してもダメで、私的には、情に訴えかけてもダメ出し、どうやって説得するのがいいのだろうと頭を抱えていたのだけど、ママのアイディア勝ちだった。

12日、おばあちゃんの病院から帰ってきた時も、その前も、病気のことは伝えたみたいなんだけど、あまりおじいちゃんがわかっていない様子だった。なんか最近いろんな家族が家に来て、騒がしいな、くらい。ママがいろいろ家の中を整理して、うるさいな、くらい。おばあちゃんが苦しそうにしているのはわかっているけど、労ったりはしないので、優しい言葉をかけるでもなく、背中をさするでもなく、気遣うでもなく、おじいちゃんはおじいちゃんの日常をたんたんと過ごしていた。なので今日の説得は、ママがおじいちゃんに、おばあちゃんの病気のことをちゃんと伝えることから始まった。

おじいちゃんの部屋にママが入って、ドアをしめた。おばあちゃんと一緒に「話してるのかな」と注目したけど、隣の部屋なので内容は聞こえなかった。何分か、何十分かは忘れたけど、いつのまにか話はおわっていて、おじいちゃんがお湯をとりにきたりでリビングにやってきた。なんかいつもより少し気を使った感じで。

話がついたようだったので、2階にいきママに確認した。

おじいちゃんへは、紙芝居方式で、紙に大きな文字を書いて、伝えたみたい。「おばあちゃんが病気なのは知っていますか?」「おばあちゃんは肺がんです」「もう余命は長くないです」「大きな声は出せません」「おじいちゃん耳が聞こえにくくなってるよね」「おばあちゃんのストレスです」「安くてもいいから」「補聴器買いに行こう?」のように。何枚も、要点をまとめた紙を見せながら、ゆっくり説明したみたい。

そしたら、あんなに毎度バトっていたのに、ようやくおばあちゃんの状況がわかったみたいで、折れたみたい。明日、あさって、忘れちゃったら困るけど、補聴器つくりにメガネ屋さんに一緒に行ってくれる?という問に、「うん」と言ったそう。補聴器問題、長かった。気が変わらないうちに作りにいかなければ。。。土曜にいくそう。ママが話を終えて、部屋を出ると、おじいちゃんは独り言で「いやあ、まいったなあ」と言ったらしい。

おじいちゃんは、喧嘩になると、何度も「どうせもうすぐ逝くんだから」というようなことを言って、おばあちゃんに「なんでそういうこというの?いわないで」と言われてきた。「そうやって言う人ほど、長生きするのよ」と。現に、93歳になるおじいちゃんの方が、今は元気だ。食欲も旺盛だし。なので、ママがおばあちゃんのことを説明して、補聴器の話をしたときも「どうせもうすぐ…」と始まったらしい。「けど、おばあちゃんは現に今病気で大変なんだよ」「おじいちゃんが救急車を呼ぶこともあるかもしれないよ」と。で、説得したらしい。よかった。おじいちゃんが現状を理解してくれて。おばあちゃんとおじいちゃんは7歳差だから、おじいちゃんも自分が先に逝くのだと思っていたのだろうけど、「そうじゃないかも」というのを多分初めて今日理解したんだと思う。「まいったな」は色んな意味で、本音だと思う。

夜ご飯は、パパの戦略で、まずおじいちゃんに19:30にラーメンを持っていった。おばあちゃんは基本的に食欲がなく、ご飯の時間もまちまちなのだけど、美味しそうなラーメンをおじいちゃんに持っていいて「美味しそうね。食べたいな」と思わせたかったと。そして実際にその戦略にハマり、おばあちゃんに21時頃もっていくと、0.5人前だけど完食してくれたみたい。中華麺で野菜たっぷりラーメン。おばあちゃんは、白米よりも、麺やパンが好きなので、ラーメンは久しぶりで、余計に美味しかったんだと思う。昨日の551もそうだけど、中華も好きなんだよね。

20〜23時半まで仕事のzoomをしたり、そのあとはママと話たり、アメトークを見たりしていたので、夜は下に行ってない。今は、1階から変な音がしないか、たまに耳を研ぎ澄ませて、noteを書いている。

明日は金曜日か。1週間は早いなあ。


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