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サブスクの次はどうなる?音楽業界最前線

みなさん、こんにちは。OIKOS MUSICです。
私達は、昨年4月に会社を創業し、間もなく1年を迎えます。この10ヶ月ほどで、楽曲の権利「OIKOS」を売買するマーケットプレイス「OIKOS MUSIC」をリリースし、アーティストの発掘・育成、主催ライブの開催など、会社立ち上げ時(走り出しを考えると創業前も)より全速力で走ってきました。
そんな私達が属する音楽業界は転換期のさなかにあり、新たな音楽ビジネスや新しい概念などが多数出現する、激動の時代を迎えています。
こうした変化が求められている今の音楽業界に身を置く中で、私達ができること、成し遂げたいことなどを、連載形式でご紹介していきたいと思います。

音楽配信が業界を席巻!浮き彫りとなるメリットとデメリット

まずは、音楽業界の現状をおさらいしていきたいと思います。音楽事業の主力であったCDなどの音楽ソフト事業は、2000年代を境に縮小しています。それに反し、音楽配信・ストリーミングサービスの成長率が著しいことは周知の事実ですよね。
各協会団体より発表された音楽産業のマーケットデータをみてみると、日本は未だ音楽ソフト事業のマーケットが音楽配信事業よりも大きい状況ですが、世界に目を向けると、音楽配信事業が音楽ソフト事業の収益を上回る国が既に60%以上となっています。日本などの音楽配信後進国の伸びなどを考えると、マーケットの伸長は今後も顕著なことがよくわかります。

参考:日本レコード協会発行「日本のレコード産業2022」
参考:IFPI発行「Global Music Report 2022」

音楽配信の良いところはなんといっても、楽曲を提供する側、聞く側双方とも低コストかつ手軽に利用できるところです。PCやスマートフォンがあれば、作った楽曲を配信してリスナーへ届けることは容易で、音楽を聞くのも然りです。さらに「サブスクリプション」という継続する限り定額でサービス利用できる事業モデルの誕生で、”音楽を届ける”、”音楽に触れる”という点での利便性は一気に向上し普及しました。

利便性向上の一方で、アーティストの収益化の難しさなどの実態が浮き彫りとなってきています。昨年、著名アーティストの方がSNS上でサブスク収益に関して問題提起し、ニュースになったり、様々な声が上がったことは記憶に新しいですよね。
この課題は、音楽活動を続ける当社の創業メンバーも常々感じていたことであり、OIKOS MUSICを立ち上げるきっかけにもなりました。本件については、以前に「【創業メンバー対談(前編)】3人に共通する「アーティストを応援したい」という強い思いがプロジェクトの発端」でもご紹介していますので、そちらもぜひ御覧ください。

世界で広がる楽曲権利への投資

音楽配信・サブスクサービスの普及に加え、さらにコロナの世界的蔓延により、エンターテイメント関連事業は、軒並み活動抑制を強いられた社会的背景などが重なり、音楽ビジネスにおいてにわかに注目が集まっているのが、”楽曲の著作権や原盤権などへの投資”です。
もともと欧米では用いられてきた手法ですが、2020年12月、ボブ・ディランが600曲以上もの楽曲の権利を推定3億ドルでユニバーサルミュージックグループ(UMPG)に売却したことで、世の中にもグッと浸透し始めました。以降、故デビッド・ボウイやジャスティン・ティンバーレイクなどの大物ミュージシャン達による大手レコード会社や投資ファンドなどへ楽曲の権利を高額で売買する事例が増えています。直近では、ジャスティン・ビーバーさんが2021年までに出した291曲を、約260億円で売却したニュースも出ていましたね。
楽曲権利への投資が加速する背景には、アーティストにとっては即座に売却益を得られる点、買手側には権利所有による今後の利益に他なりませんが、ここでも「音楽サブスク」がキーになります。音楽再生回数やユーザー数などのデータが、今後の収益を予測の裏付けとして活用されるというメリットを持ち合わせており、この点がより投資を加速させる一つの要因となっています。

音楽・楽曲の権利投資に積極的な企業例
【米国】ユニバーサルミュージック・グループ(レコード会社)
【日本】ソニー・ミュージックエンターテイメント(音楽統括事業会社)
【米国】ワーナー・ミュージック・グループ(レコード会社)
【米国】ヒプノシス・ソングズ・ファンド(音楽著作権ファンド)
【米国】ラウンド・ヒル・ミュージック(ロイヤルティ管理/音楽出版/プライベート・エクイティ)

※大手レコード会社を中心に、音楽著作権ファンドなどが参入

一般向け楽曲権利売買サービスが続々登場

大手レコード会社や投資ファンドの動きが活発化する中、今の社会背景や権利証明などに適したブロックチェーン技術の台頭などにより、権利を小口で売買・投資できるものなど、一般向けに展開する動きが出始めています。楽曲の権利「OIKOS」を一定金額で数量限定販売するOIKOS MUSICのサービスもまさしくこの部類のサービスにあたります。今年になってミュージックセキュリティーズ社も楽曲の権利販売を可能にするマーケットプレイスを春以降提供すると発表しました。
企業も顧客もまだまだ参入が少なく発展途上の領域なので、一般に普及するまでには日を要すると思われますが、新たなマーケットとして開拓されていくのは必然だと私達は考えています。
また、投資ファンドなどが楽曲の権利を購入する際は、その資産性・未来の収益をメインに購入にへと至ることが多いですが、一般の方に向けて提供しているサービスには、収益以外にアーティストとの繋がりや支援という要素を、より色濃く持ち合わせているように思います。
事実「OIKOS MUSIC」で「OIKOS」をご購入されている方達は、アーティストを応援したいとの思いから購入されている方も多いですよね。

一般向け楽曲権利売買を扱うサービス事例
Royal 
米国発のNFTを活用した音楽投資プラットフォーム。2021年にリリース、著名アーティストなども参加し注目を集める。
ANote Music  
ルクセンブルク発の音楽投資プラットフォームで日本にも進出している。
Musicow  
韓国発の音楽投資サービス。K-popを中心に扱っている。
OIKOS MUSIC 
楽曲の権利を売買するNFTマーケットプレイスを展開。2022年8月リリース。

音楽投資について今後どう考えていけばいい?

音楽/楽曲への投資・権利売買は、日本においてはまだまだ馴染みの薄いものですが、絵画などアート作品を資産と捉え購入する動きが既に拡がっているところを考えると、楽曲に対しても今後徐々に拡がっていくと思います。
投資というと大それたことのように思えますが、推しや好きなアーティストを応援する行為(グッズを購入したり、投げ銭してみたり)は、既に経験済みな方も多いと思います。応援の形の一つに、「楽曲の権利に投資する」というアイテムが新たに追加されたとお考えいただけるといいのではないでしょうか。
楽曲と投資の関係性については、後日、さらに深堀りして記事にしていきたいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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