【登城記その8】小幡城
おばたのお城さん
数年前の夏の日…デートで「タカノフーズ」の納豆博物館に行った際のこと。
直売所の納豆で食欲を満たした私は、お城欲も満たしたく某お城ポータルサイトを開き近隣のお城を調べた。
そして、その『怪物』に出会った。
怪物の名は【小幡(おばた)城】、
当時のお城ポータルサイトの評価は4.3 (5段階評価)。
本邦最高レベルである。
「なぜこんな辺鄙な場所に超高評価のお城が??」と思ったが、某お城ポータルサイトの評価はあくまで訪問者の単純平均。
東証株価指数TOPIXのような加重平均でもなければ、食べログのような謎アルゴリズム評価でもない…
どうせ訪問者が少ないから相対的に高評価なのだろう。地元民数人が高得点を付けてステルスマーケティングしているに違いない。
そう思い込んでいた当時の私は見学路の入り口で「空堀、凄っ!」と感動したものの、真夏の藪に足を踏み入れるのを嫌がる当時のデート相手(牧野つくしちゃん)に促され、すたこらさっさと帰った記憶がある。
お城の滞在時間は3分。
【小幡城】が本当に怪物レベルなのを知ったのは家に帰ってきた後。
………
私史上最も愚かな登城であった。
デートにウツツを抜かし、お城OTKである自身の本分を見失うとは何とも恥ずかしい…
穴があったら埋めたい…牧野つくしを。
そんなこんなで私はかつての愚かさを埋め立てるべく、おばたのお城へと向かった…
いってきまーきのっ
プラチナ・プリファード・小幡城
小幡城が位置するのは北の親佐竹派勢力と、南西の親大掾(ダイジョー)派勢力との軍事境界。おそらく親佐竹勢力の「対ダイジョー用ベースキャンプ」として重要な立ち位置を占めていたと考えられる。
一方で佐竹サンによる電光石火の茨城平定後はお城としての利用価値が低くなり、当地は改変も取り壊しもなく、ほぼカンペキな姿を残してひっそりと森のなかにウズもれていったのであった(妄想)。
このシナリオ…
比企国史跡群に似ているな?
比企諸城といいこの小幡城といい、中世の軍事境界線上にあるお城は趣向を凝らしたギミックが散りばめられる。
プラチナで、最前線。
ここぁそんなお城だぁ。
お邪魔しまーきのっ
評価4.3とは思えない静けさ。
土日にもかかわらず、ひとっ子ひとり見当たらない。
そして、
寒い…
出発地である東京の気温(最高気温17℃)を参考に春先コーデで来たのだが、この日の茨城の気温は5℃。
真冬かな??
でも、
寒さなど吹き飛ばす
圧倒的威圧感ッ…!!
なにこれどうやって落とせばいいの?
ガード固すぎ。ぜってぇ堕ちないだろこんなん…道明寺司かよ。
このお城はサイドアタックして空堀のなかを延々と歩かされる、そんな見学順路を採っているみたい。
遠路はるばるやって来た見学者にキルゾーンを歩かせる見学順路。
もはやイジメだろ…最ッ低だな。道明寺司かよ。
F4
それではここで小幡城の4つの最高ポイント、「ファンタスティック4」略して「F4」をご紹介しよう。
① お城の構造が分かりやすい
お城の西側は、東関東自動車道が分断しているものの大きな郭が存在している。
仮想敵であるダイジョークン領の正面にあたり、街道(水戸街道)もこの先約1kmを通っているからだ。
こちらの郭はスペースを大きく取ることで大軍勢を迎撃したり、出陣前の陣立てを行ったりしていたのだろう。
また、軍勢を西側正面に集中した状態でもバックアタックにスピーディに対応できるよう、反対方面に城外ギミック『塹壕』を築いているのもポイントが高い。
戦略の意図が掴みやすく、抜かりもない。
まるで北条義時みたいなお城だ。
② 三方の低湿地
お城の北~東は川、南は低湿地に囲まれている。
付近には同程度の高台があるものの、西側以外からお城を攻めようとすると足場の悪いぬかるみを進まねばならない。
攻め寄せる敵の体力をネチネチと削ぐ意地の悪いお城、坂田銀時のようだ。
③ バカデカい空堀
低湿地を超えてお城に取りついた敵はそのまま空堀へと通されることとなる。
迷路のように入り組んだ空堀を進んだ末、袋小路に追い込まれるか、反対側へと吐き出されてしまう。
掴みどころのない性格と強烈な悪意…林誠司に通じるものがある。
④ 郭の配置
お城の中心部は兵力をプールできるそこそこ広い主郭郭を中心に。小さく細い郭が目立つ。
これにより少数の守備兵でお城を守ることができるうえ、主郭から効率的に人的リソースを振り分けることができる。
合理主義で天才肌…
花沢類といったところか。
このお城、控えめに言って…
凄い。
まーじでっ
ただいまーきのっ
翌日、私は38.6℃の熱に侵され、病院にいた。
原因は言うまでもない。
小幡城で気温5℃のなか春コーデで走り回ったからだ。
医者「あーたぶん風邪だねー心当たりない?」
私「もしかしたらお城で…」
医者「お城?人たくさんいたでしょ?そこでもらっちゃったんだろうねー」
私「いや…人は私しかいなくて…」
医者「えっ!?人がいないお城なんてあるの?どこのお城?」
私「い…いばらきのお城で…」
医者「茨城にお城なんてないよね?笑」
私 (ですよねーあはは…)「は?あるが?ってか小幡城はしょうがないとしても水戸城とかフツーに有名だろなんだこいつヤブ医者か?」
おっと本音と建前が入れ替わってしまった。
とにかく、風邪に罹ってしまったからにはしょうがないな。
解熱鎮痛剤飲んで寝まーきのっ
るーきのンっ
風邪は寝ればすぐ治る。ぼかぁそんな男だ。
おわり。