053『ガールズバンドクライ』第5話「歌声よおこれ」、感想
今回はまずぼざろでもネタにしてたライブハウスのチケットのノルマ制について。詳しくはラフィータフィーの「ライブ・ハウス」で忌野清志郎が歌ってること。私は一応その歌を知る前から知ってたけど、バンド活動はなるほど大変だと思った点です。
しかし驚くのは計算された作劇であり物語の展開のはずだけど、最終的に新川崎(仮)のライブハウスデビューに至るまでの展開の見事さ。それはダイヤモンドダストとその代名詞ともいえる楽曲「空の箱」に関してのこと。仁菜ちゃんが初めて路上で桃香さんとセッションした思い出の曲。桃香さんと出会う前、熊本で学校に通っていた頃。それが自分にとってどんな曲だったのか、桃香さんに殆ど愛の告白のような言葉を吐いた。
一方桃香さんはその手前の時点では、仁菜の無神経さにいら立つ。でも居酒屋での仁菜と桃香さんの口論、双方全力でなじりあっているように見えるのに、仲介するすばるちゃんの愛嬌からか、4話までに視聴者/ファンが登場人物のキャラを了解してるからか、むしろ微笑ましく見れてしまう。
仁菜ちゃんが怒ったのは桃香さんに内緒ですばるちゃんとダイヤモンドダストのコンサートに行き、一曲目がよりによって「空の箱」だったこと。桃香さんと初めてセッションした思い出の曲とともに、熊本時代に心の支えにしてた曲。桃香さんのバージョンを熊本時代からヘビーローテーションし、桃香さんとバンドを組んでからは練習やステージを通じて、桃香さんはどんな人か分かり始めてたはず。
だから桃香さんが抜けて別の女の子がボーカルをとったダイヤモンドダストの「空の箱」、桃香さんバージョンとは似て非なるものと一瞬で悟った。だから聴いていられなくてすぐに飛び出した。人間として正直で、そしてまさに仁菜らしい行動。多分桃香さんはそれ以前に現在のメンバーになったダイヤモンドダストの「空の箱」を聴いてたはず。だから一番触れたくない図星を刺されたと思って、仁菜にぶっかけたと。でも仁菜も黙ってない。多分桃香さんの反応に当たりと思ってぶっかけ返したと。
仁菜ちゃんのそのパワーがライブハウスデビューの一曲に作劇/物語として集約するんだけど、それだけで終わらないのが『ガールズバンドクライ』であり。物語的には少々奇手だけど、作劇的には妙手ともいえる。前回のすばるちゃんのおばあちゃんの回でも察したけど、本作、キャラクターの無駄遣いをしない。確かにそうすれば、仁菜の(桃香さんと組む)バンドに対する思いも強固になる。でも衒いなく仁菜の熊本時代の関係者が桃香さんの代わりなんて、花田十輝のあざとさに脱帽。
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