059 メタで語る『ガールズバンドクライ』②
前回の記事は上記のリンク先。
さて、現在放送中のバンドアニメ、『ガールズバンドクライ』の記事なのに何故巨大ロボットアニメを確立した永井豪原作のアニメをタイトル画像にしたのか。それは東映動画、現在の東映アニメーションの歴史を語る時避けて通れない作品であり、そこをガルクラに忍び込ませていると勘繰っているから。
前回、『機動戦士ガンダム』、『宇宙戦艦ヤマト』、『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』をメタで語ったように、原作のないアニメはクリエイターの思想や経験、感覚を発露できる特徴がある。『新世紀エヴァンゲリオン』だってシンジ君と父親の関係、庵野秀明とアニメ作りで無理難題を吹っ掛けてくる宮崎駿に準えることが出来る。
そしてガルクラ、直近の第6話で旧ダイダス、新ダイダス、新川崎(仮)とbeni-shougaの関係を憶測することが出来ました。これまでは井芹仁菜や河原木桃香、そして本格始動するはずのトゲナシトゲアリに会社としての東映アニメーションを投影させるのだと思ってました。でも実制作に関わるクリエイターサイドには、別の思惑があるかもと気づいたのです。新旧のダイダス、その合わさった歴史が東映動画そのものと気づいたので。その転換点、旧と新のダイダスを分かつのが正に『マジンガーZ』だから。
東映動画、『白蛇伝』や『太陽の王子 ホルスの大冒険』など良心的なアニメ映画を作ってきたけどテレビアニメの台頭、労働争議などで合理化を余儀なくされ、出版社からの出資を期待できるマンガのアニメ化に乗り出し、東映動画はメディアミックスの先駆けの一つ、『マジンガーZ』のアニメ版を制作したのです。この構図、好きにバンドやってたのにメジャーデビューにあたり、アイドル路線に変更されたダイダスの設定に瓜二つでは。多分監督やシリーズ構成など、アニメの現場の作り手たちはどんなバンドアニメにするか考えるにあたり、東映アニメーション/東映動画を登場/投影させない手はないと気づいたのでしょう。
私が上記のような妄想、仮説を思いついたのは直近の第6話で明かされた吉野家組の事情を知ったからで。beni-shougaとして四人組で、しかも目指すのは武道館と張り切っていたはずが、現在その名義で活動してるのはルパと智ちゃんだけ。さそこに私は(旧)虫プロの結末を勘繰るのです。
マンガの神様、手塚治虫が立ち上げたアニメーション制作会社、虫プロは一度倒産した会社です。一時は初っ端の『鉄腕アトム』を皮切りに破竹の勢いだったものの、手塚のマンガがすべてアニメ向きなわけではない。マンガでの劇画の台頭で手塚の絵が古臭く感じられる時期も来た。だから手塚でない原作の『あしたのジョー』をアニメにもしたのだが、結局は負債を抱えて虫プロは一旦つぶれ、後の綺羅星のクリエーターが散ることになったのです。
『機動戦士ガンダム』の富野喜幸、『装甲騎兵ボトムズ』の高橋良輔、『銀河鉄道999』のりんたろう、『エースをねらえ!』の出﨑統、『タッチ』の杉井ギサブロー。正に錚錚たるメンバー。
ならば東映動画はどうだったのか。いわば会社の存続のために金のためにそれまでの会社の遺伝子、魂を売った時、耐えられずに脱退した格好の(多少の前後はあるみたい)クリエイターが宮崎駿であり、高畑勲。東映動画(ダイダス)の方では他にも多数の退社者がいたはずだから、旧虫プロ(beni-shouga)の退社組と一緒に起こした会社もあるはずで。
私は怠惰なのでそこまで調べてませんが。今回の原稿は以下の記事を参照しましたが。時期の確認程度です。感想でないので署名します。(大塩高志)
参考:
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