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111 『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』、第8話「学生議会」、感想

 破格の回でした。これがロシデレだ、と原作者、アニメスタッフがメッセージするなら、参りましたと降参するほかない。直近の第8話、私にとってそういう話でした。
 私も政近くんが生徒会に入る頃からロシデレは生徒会活動、学生自治の話を展開するんだと想像してました。しかし事態は私の想像を軽く超え、行政としての生徒会活動でなく、生徒会をめぐる政治闘争に今回行きつきました。
 確かに数々の伏線を回収した、シリーズとして一つの到達点の回ですが、ここまでロシデレはやるんだという驚きを禁じ得ません。何故って今回の学生議会、弁論、急所の指摘、工作、助け舟、どれをとっても政治そのものと思ったから。
 順序としては谷山沙也加さんの生徒会に対する問題点の指摘、アーリャさんのそれに対する弁論、沙也加さんの指摘、それに行き詰って助け舟を出す政近くんという展開なのですが、私が驚いたのは沙也加さんの具体的な提案です。当選した会長と副会長以外の役員に教師の意向を反映させるなんて、以前私が指摘した生徒会の危うさそのものだったから。

097 『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』、第5話「それぞれの決意」、感想|ohshio_t (note.com)

 上記のリンク先で私はこう書きました。

これらの関係が生徒会活動により/を通してどう変わっていくか。久世くんの下の名前が示しているように、生徒会は教職員の意見をバックにした政治活動、権力の行使にもなり得る。

 今回は政近くんがそうした事態を未然に防いだ形ですが、今後の展開の伏線なのかも知れない。あるいは続けて以下のことを指摘した。

その学生との敵対を原作のロシデレが扱ってるか不明ですが、教職員と学生一般との板挟み程度なら、それでアーリャさんはもちろん政近くんも苦境に立たされる展開なら、十分あり得ると思ってて。

 さらに今回のショーとしての学生議会の展開、今後の、あるいはロシデレ全体の展開の雛形になるとも思ってて。
 沙也加さんが提案したのは自分たちが成長して権威を勝ち取る道筋でなく、自分たちが権威と認める人のお墨付きをもらうこと。
 アーリャさんの意見は全く逆で、教師の介入を許したら生徒会の権威は落ちるというもの。私立征嶺(せいれい)学園では会長と副会長のペアを選挙によって選び、だからこそそれが権威となって二人が任命した人を役員に出来る。しかし私見ですが、「この学園は、生徒の自治を重んじています」と続くものの、優等生的な、上から目線の見方と捉えられかねない。
 だから「では、その会長と副会長が暴走したらどうするのです!」という恫喝、続いて工作員、サクラの話し声で動揺する。ここでアーリャさんが詰まったのが優等生ゆえの限界と私は思いました。
 そして助け舟の政近くん。現生徒会長の剣崎くんを引き合いに出し、議論の打ち切りを提案する。剣崎くんに関してはすでにアニメの中で言及されてたので、「あの剣崎会長を選んだ時点で、皆さんの気持ちは固まっているのでは」という指摘に説得力がある。
 つまり以上に羅列した学生議会での展開がロシデレの今後かと憶測する訳ですが、政近くんの弁論にも危うさはあると思ってて。聴衆を煽てていい気分にさせるように見えて、からめ手で自分の意見を通すやり口と思うのです。それこそが政治であり政治家と思うので、今後はそれを危うさとして物語るのか、注目することにします。

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