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「帰っちゃいますか?」男子発言ノート20

「おーしまさんは……帰っちゃいますか?」

飲み会終わりに一人の男性にそう訊かれたのだった。

10人前後での飲み会が終わって、「2次会行く人ー」みたいな雰囲気の中、2〜3人が「行くいくー」なんて歩き出していて、私もまぁ行っとこうかな? と思っていたところに、「帰っちゃいますか?」

パッとそう聴いて、普段ならそれは、「帰っちゃったら寂しいから帰らないで欲しいな、おーしまさん」に変換されテヘヘ♡とかなりそうなところなのだけれど、その日はなぜか、ふんっ! となったのだった。帰れってこと!? あぁ帰りますよ! と。

……体調でも悪かったのだろうか? 好意こそ抱いていないけど、誰が見てもハンサム男性からそう訊かれたのに。

もしも、
「うちら……付き合っちゃいますか?」と訊かれたら。
「今日……泊まってっちゃいますか?」なんて訊かれたら。

好きな男性からだったら、脳内うっほほーい♡だろう。全力でクレヨンしんちゃんのモノマネで「うっほほーい♡」だ。だから、「おーしまさんは……帰っちゃいますか?」も、意中の男性からでなくとも、うっほ♡くらいにはなっていいはずだった。

でもたぶん、今回は。
私はこの帰っちゃいますか男子に特に好意は持っていなかったけど、とある感情を抱いていた。

〈分かりやすくハンサムで、二枚目で、モテるだろうし彼女もいるらしい。そんな濃い顔のやさ男は私になんか絶対に興味がないハズ!!! ふんっだ!〉

―そんな"勝手にひがみ感情"が、「うっほ♡」ではなく「ふんっ!」を引き出してしまったのだろう。もうこればかりは、毎度どうしても抱いてしまう非モテ習性みたいなもの。

ただ、私は面食いではなくて。上記〈〉内はさまざまに変わる。

〈どんな女子が本当に素敵女子かちゃんと見分けられる嗅覚がどういうワケかしっかりと備わっている素敵純朴男子〉とか。

あゝ敵わない、素敵男子に好かれる気が今生で1ミリもしない……。

じぶんからそこまで好きなわけでもないのに、好かれていないとへそを曲げる。女子はいつだって男子にはじぶんだけに気があってほしいのだ。

だから、どうせ私じゃない誰かを好きな男のどんな言葉も、ふふふんっだ! になってしまう。(〜"どうせ私じゃない誰かを好きな" 男たちの言動について〜というのがこの男子発言ノートのサブタイトルです。笑)

ただ実際は。
この日、2次会参戦に手を挙げていたのは、この帰っちゃいますか男子と特に親しい数人男子で、そのメンツから、もしかしたらこの後は男同士だけで飲みたいのかもなと思った節もある。

よく分かんないけど、合コン後に女子が女子だけで反省会するみたいに、男子も男子だけで喋りたいことってあるのよね、きっと?

昔、飲みに誘った男性に「先輩(男性)も一緒にいいですか?」と言われ、瞬時に「憐れ!見込み無し!」と悟ったけど、そこで引き下がるのも下心見え見えすぎて、結局3人で和気あいあい飲んだあと、「もう一杯だけ軽く行きますか?」と訊いてみたら、二人でゴモゴモ。

「や……ちょっと今日はこのあと、先輩と話したいことがあって……」

とやんわり"撒かれた"ことがある。さぁびしかったぜーーーぃ。涙 

で、その時のゴモゴモ感と、帰っちゃいますか男子の「おーしまさんは……帰っちゃいますか?」の感じが、なんだかとても似ていたのだった。だから、今日のところはお引き取り願いたい、の方で受け取ってしまったのだった。

だけど、もしも。これがいつもの勝手に深読み(ミスリーディング込み)で、彼の真意は違ったのなら……

「おーしまさんは……帰っちゃいますか?」に加えてひと言、「それとも帰っちゃいませんか?」なんて言葉が後に続いていたら、また全然受け取り方は違っていただろうなぁ。

「帰っちゃいません!!」
……そう素直に答えられる女子だったならどんなにか。

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