男子発言ノート

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「ちょっと遅くなりましたけど、お返しです」男子発言ノート53

今年のホワイトデーにはお返しをもらえなかった。 去年も、もらえなかった。 バレンタインの季節だからそう思ったのか、『ビスチョコ畑』が店頭にならぶこの時期だからそう思ったのか──どちらが先だったか、今年のバレンタインにはバイト先の秦野くんにビスチョコ畑をあげたいと思った。去年は別の…

「気づいちゃった」 -男子発言ノート52

手作りスコーンがおいしいカフェで、遅めのランチ休憩を取っていたときのこと。 店内にはテーブル席が3つ。 スパイスカレーのランチを、壁に面したテーブル席で私はひとり食べていた。 左隣のテーブル席では男女ふたりがランチを取っており、その会話がどうしても聞こえてくる。 どうやらふたりは、…

「開催しましょう!」 -男子発言ノート51

ヒドいんだよ。職場の女の子に誘われて行った合コン的な男女3:3の集いで、食べっぷりが良く嗜好が合うな~って思った人に次の日ほんの~りご飯のお誘いメッセージを送ったら、「じゃ、今度おーしまさんオススメのお店で開催しましょう!」って返信が来た。 開……催? 「開催って、、何をですか?」…

「立派な主夫になりたいなって」 -男子発言ノート50

仕事を終えてエントランスへ下りると黒い人影が見えた。 Gくんだ。エントランスに置かれているパンフレット類をしげしげと覗き込んでいるGくんの姿だった。 私は咄嗟に、ひっつめておだんごにしていた髪のゴムに手を伸ばした。はやく、はやくほどかないとGくんにこのひっつめ頭を見られる! 色気も何…

「全然見えてなかった」 -男子発言ノート49

いつもと同じ朝だった。 いつも通りに出勤して、職場のエントランスを整頓していると、自動扉が開く音がして誰かが入ってきた。 この時間にここを通るのは、顔なじみのスタッフか、利用者か、そうでなければ迷子の人だ。ふいにそちらを見る。 すると、見たことのない青年だった。しゅっとした感じの…

「恋に臆病になってるね」 -男子発言ノート48

「赤玉出るかも」 と、己の生殖機能の残りの在庫をひどく案じていた赤玉男子*に久々に会ったので、どうなの最近? 赤玉のことまだ気にしてる? と尋ねたら、 「いや、もうなんか俺……恋に臆病になってるね」 は? 「相手との関係の、この先のこととかを考えると……自分のやりたいこととか、一人の…

「いや、しょっぺーから」 -男子発言ノート47

ラーメンを食べ終わる頃合いになると、今でもあの日の言葉を思い出す。 * もうずいぶんと前のことだけれど、学生時代の友人の結婚パーティーがあった帰りに、同窓生4〜5人でラーメン屋に立ち寄った。 余興目白押しのイベント乗り重視のパーティーで、お腹がまったく満たされることなく会場を後にし…

「○玉出るかも」 -男子発言ノート46

「彼女欲しいよー。結婚したいよー。 誰か紹介してよ、おーしまさーん」 うるさいなあ。 事あるごとにそう訴えてくるアラフォー男子が、そう言いながらもある報告をしてきた。 「最近、俺モテてるかも」 やっぱうるさい。 なになに、よかったじゃないですか〜! と表面上称えると、「でもなんか、…

「こころもカッサカサです」 -男子発言ノート45

「乾燥してますね〜」という話になる。 冬のこの季節、居合わせるひとと掛け合う言葉は「寒いですね」「乾燥してますね」などなど冬冬している。 いつもは快活な男子がつぶやいた。 「こころもカッサカサですよ、この日々にっ」 どうしたのだよ男子。 そのこころに、私がこっくりとしたテクスチャ…

「うわの空です」 -男子発言ノート44

一日の終わりに、駅に向かって皆おなじ方向へと帰りゆく雑踏のなかで、前をゆく若い男女の会話が聞こえてきた。 やさしげな男子は聞き役に徹していて、隣の女子は嬉しそうになにかをずっと喋っている。彼女がきっとじぶんの好きなことについて、その魅力を彼に語っているみたいだった。 すると、感心…