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break ground=(建築を)始める | 教科書に出てこないニュース英語 《ガーナの公共放送から》

ガーナの公共放送Ghana Broadcasting Corporation(GBC)の電子版で2024年7月15日に配信された記事の見出しで使われていました。

Vice President Bawumia breaks ground for construction of first STEM College of Education
副大統領バウミアが、初のSTEM教育大学の建設の着工式を行う。

GBC

groundを辞書で引くと

━━[名]
1 地面
地表,地上;海底,水底;(開けた)土地(◆air,underground と共に垂直軸にそった意味;land は sea と共に水平軸が関係する);((米))《電気》アース
1a〔複合語で〕(ある目的で使用する)…場,((英))(スポーツの)グラウンド;〔~s〕(大きな建物の)敷地,構内
1b 土壌
土,土地;〔a ~〕(事を育てる)土壌,温床
2(絵画などの)地,下地,バック,下塗り(background);《音楽》グラウンドベース(ground bass);〔~s〕おり,(コーヒーなどの)かす
3 領域
分野,範囲,話題,論題
4(考えの)立場
立脚点,地歩,見地,意見,考え方
4a〔しばしば~s〕(主張などの)地盤
基盤,根拠,論拠,理由
━━[動]
1〈物を〉地面に置く,((米))〈電化製品を〉アースする(((英))earth);《野球》他〈ボールを〉打ってゴロにする,自ゴロを打つ;他自(…で)座礁させる[する]
2〔しばしば受身形で〕〈飛行機・搭乗員を〉地上に待機させる;((略式))〈子どもなどを〉(罰として)外出禁止にする
3〈人を〉落ち着かせる
4〔しばしば受身形で〕〈人に〉(…の)基礎を教える≪in≫
4a〔通例受身形で〕〈主張などを〉(…に)立脚させる,基づかせる≪in,on≫

goo辞書

とあり、地面という意味から、下地・領域・立場・根拠と意味が広がっていることがわかります。また、動詞の用法があることを今回知りました。

しかし、残念ながら、
goo辞書にはbreak groundという表現が熟語としては掲載されていませんでした。

MacOS搭載の辞書、ウィズダム英和辞典(2020)をあたってみると、ありました。

brèak gróund
〈人・掘削機械などが〉掘る, 耕作する
 (くわ入れして) «…の» 建築[事業]を始める
〈建築・事業などが〉始められる. 錨(いかり)を巻き上げる.

brèak nèw [frèsh] gróund
 
新天地[新領域]を開拓する; 新事業[企画]に乗り出す.

ウィズダム英和辞典

ニュースの写真にもありますが、日本でも行われる「くわ入れ」の儀式をこう言うのでした。
ChatGTPに翻訳をお願いすると、「着工式」と訳していました。やるな!
また、groundの前にnewを加えると、「新領域を開拓する」と。なるほど!


最後にニュースの内容を見てみましょう。

本文の概要は…
ガーナ初の科学・技術・工学・数学(STEM)教員のために設立された国立の高等教育機関の建設工事が始まる。
この大学では、全国の高校や他の学校でSTEMを教える教員を養成する予定。
式典でバウミア副大統領は、「この大学の建設は子どもたちを第四次産業革命に向けて準備する我々の決意の更なる証明である」と説明した。
政府による教育セクターへの大規模な投資には、この他に以下が含まれる。
  - 無料の高校教育・無料のTVET教育(下記)の提供
  - 新しい現代的なICTベースの学校の建設
  - 特化したSTEM高校の建設
  - 高校の生徒へのタブレットの供給

TVET教育:
産業人材育成・職業技術訓練(Technical and Vocational Education and Training)。近年、開発途上国において、 貧困削減と経済成長に貢献する人材育成の 観点から注目されている教育分野。

島 津 侑 希 (名古屋大学大学院国際開発研究科博士後期課程院生)「エチオピアにおける国家開発戦略としての 産業技術教育・職業訓練(TVET)制度改革 ─ 1990 年~ 2010 年の政策文書に見る TVET の位置づけの変遷と量的拡大─」広島大学教育開発国際協力研究センター『国際教育協力論集』第 17 巻 第 1 号(2014)63 ~ 75 頁
https://cice.hiroshima-u.ac.jp/wp-content/uploads/2015/01/17-1-5.pdf&ved=2ahUKEwikn6zfn7yHAxWph1YBHcB6HZcQFnoECBQQAw&usg=AOvVaw1Tc6aF6Oa4NAqkjUBdfVTh

ガーナのTVET教育にJICAがかつて支援協力をしていたとの報告がありました。
お手伝いしていたんですね。↓



           **********

日本の高校でのSTEAM教育については、
令和3(2021)年1月の中教審答申の中の
新時代に対応した教育のための「STEAM教育等の教科等横断的な学習の推進による 資質・能力の育成」という項目で取り上げられています。


しかし、そのための教員養成という点では、カリキュラムの開発さえこれからという状況のようです。(2020年に発表された下記論文を参考)

北澤 武・赤堀侃司「教員養成における STEM/STEAM 教育の展望」日本教育工学会論文誌 44(3),297-304,2020 (次のリンクから参照可能)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjet/44/3/44_45004/_pdf/-char/ja


このような日本の状況と比較すれば、
ガーナ政府の「STEM教育をおこなう教員を育成するための大学を作る」という行動には、迫力を感じます。

国の規模やこれまでの経過が違えば、アプローチの仕方が変わるのは理解できますが、「日本はうかうかしていられない。いわゆる『発展途上国』との距離がどんどん縮まる可能性がある。」と感じました。

一方で、わたしが日本の高校教育に期待していることがあります。
それは、
探究学習に熱心に取り組み、その楽しさや重要性を体感した生徒が、
もうじき教員やその協力者になってくれることです!
大学がカリキュラムを改革するより先に彼らが高校教育をきっと変えてくれると思っています。

政府には彼らが生活や健康に不安なく力量を発揮できるような条件づくりをしてもらわなくてはなりません。



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