break ground=(建築を)始める | 教科書に出てこないニュース英語 《ガーナの公共放送から》
ガーナの公共放送Ghana Broadcasting Corporation(GBC)の電子版で2024年7月15日に配信された記事の見出しで使われていました。
groundを辞書で引くと
とあり、地面という意味から、下地・領域・立場・根拠と意味が広がっていることがわかります。また、動詞の用法があることを今回知りました。
しかし、残念ながら、
goo辞書にはbreak groundという表現が熟語としては掲載されていませんでした。
MacOS搭載の辞書、ウィズダム英和辞典(2020)をあたってみると、ありました。
ニュースの写真にもありますが、日本でも行われる「くわ入れ」の儀式をこう言うのでした。
ChatGTPに翻訳をお願いすると、「着工式」と訳していました。やるな!
また、groundの前にnewを加えると、「新領域を開拓する」と。なるほど!
最後にニュースの内容を見てみましょう。
本文の概要は…
・ガーナ初の科学・技術・工学・数学(STEM)教員のために設立された国立の高等教育機関の建設工事が始まる。
・この大学では、全国の高校や他の学校でSTEMを教える教員を養成する予定。
・式典でバウミア副大統領は、「この大学の建設は子どもたちを第四次産業革命に向けて準備する我々の決意の更なる証明である」と説明した。
・政府による教育セクターへの大規模な投資には、この他に以下が含まれる。
- 無料の高校教育・無料のTVET教育(下記)の提供
- 新しい現代的なICTベースの学校の建設
- 特化したSTEM高校の建設
- 高校の生徒へのタブレットの供給
ガーナのTVET教育にJICAがかつて支援協力をしていたとの報告がありました。
お手伝いしていたんですね。↓
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日本の高校でのSTEAM教育については、
令和3(2021)年1月の中教審答申の中の
新時代に対応した教育のための「STEAM教育等の教科等横断的な学習の推進による 資質・能力の育成」という項目で取り上げられています。
しかし、そのための教員養成という点では、カリキュラムの開発さえこれからという状況のようです。(2020年に発表された下記論文を参考)
北澤 武・赤堀侃司「教員養成における STEM/STEAM 教育の展望」日本教育工学会論文誌 44(3),297-304,2020 (次のリンクから参照可能)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjet/44/3/44_45004/_pdf/-char/ja
このような日本の状況と比較すれば、
ガーナ政府の「STEM教育をおこなう教員を育成するための大学を作る」という行動には、迫力を感じます。
国の規模やこれまでの経過が違えば、アプローチの仕方が変わるのは理解できますが、「日本はうかうかしていられない。いわゆる『発展途上国』との距離がどんどん縮まる可能性がある。」と感じました。
一方で、わたしが日本の高校教育に期待していることがあります。
それは、
探究学習に熱心に取り組み、その楽しさや重要性を体感した生徒が、
もうじき教員やその協力者になってくれることです!
大学がカリキュラムを改革するより先に彼らが高校教育をきっと変えてくれると思っています。
政府には彼らが生活や健康に不安なく力量を発揮できるような条件づくりをしてもらわなくてはなりません。
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