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乖離魔法による夢遊病

マカちゃんはその日、奇妙な夢を見ました。学校の教室でひとりぼっちになっている夢です。遠くの席には秀才のオックスくんがいて机の上でノートパソコンを開いています。その隣にはマカちゃんの好きなキムさんがいて、ジャッキーちゃんと二人で何か話しています。マカちゃんの隣にはパティちゃんがいて、マカちゃんに教科書を見せています。マカちゃんは教科書やノートを持っていません。何故なのでしょうか?マカちゃんは焦っています。授業の単位について気にしているようです。3年間で単位は取り尽くして、後は4単位だけ。そう、パティちゃんは口にします。マカちゃんは単位を取れていません。病気で2年間療養していた為です。マカちゃんは気持ちを落ち込ませます。「こんなんじゃ、ダメだ。」

マカちゃんは遠くの席にいるキムさんのことを気にします。するとマカちゃんの口の中がなんだかざわめき始めます。口が僅かに揺れ動き、なんと前歯が肥大化していきます。マカちゃんは心配になります。
「いったい口の中で何が起きているというの?」

マカちゃんの不安は膨らみ続けます。オックスくんは賢くて自分とは違う。キムさんは綺麗な見た目をしていて、自分なんか。マカちゃんの不安が強くなり、口の中にあるものがさらに肥大化します。そして、マカちゃんは「それ」をご自身の両手のひらに向けて吐き出しました。ごぼっ。なんとマカちゃんの吐き出したそれは、まるでクリスタルに彫刻を施したような、歯型でした。マカちゃんは自分の前歯がすっかり無くなってしまったことに気づきます。
「あれ、歯がない、、、。」

マカちゃんは手にしたクリスタルをよく見つめます。綺麗に歯型になっています。透明で、とても重い。さっきまでこんなものが口の中に。そしてそれは大きくなりすぎて口の中には居られなくなりました。マカちゃんはクリスタルを包んだ手を皆んなに見せながら涙を流します。
「なんでこんなことに、、、。」

異変に気づいたマリー先生が近づいてきます。マカちゃんは半泣き状態になり、クラスの保健委員を務めるキッドくんに連れられて教室を出ます。するとキッドくんの姿はすぐに見えなくなりました。マカちゃんは一人で保健室に行こうとしますが道がわかりません。この学校には以前見た夢の中でも居たことがありますが、詳しい道順などはまるで知らないのです。マカちゃんは泣く泣く教室に戻ります。そして自分の座っていた席に戻り、そのまま顔を机に埋めて眠り出すのでした。
「、、、マカ、!!起きろ、、、!」

気づくとマカちゃんは湖に面しただだっ広い道に立ち尽くしていました。口の中はもう大丈夫なようです。マカちゃんは安心して気が楽になりました。すると突然、前方から大きな白い鯨が現れました。轟音と共に津波を起こしてマカちゃんの前に押し寄せます。すると波の中からは白骨化したアンキロサウルスがマカちゃんの左に向けて頭から突進します。当然ですがマカちゃんの背にしていた壁は崩れ去ります。マカちゃんはその場でうずくまりました。なんて恐ろしいこと!目を瞑ると、あたりはやっとのことで静けさを取り戻します。マカちゃんはブランケットを頭から被り、アンキロサウルスからの頭突きから身を守ろうとします。ですが、アンキロサウルスはもうそこにはいませんでした。すると、マカちゃんの左耳あたりに温かい風を感じます。なんとヴェロキラプトルがいまにもマカちゃんに襲い掛かろうと顔を近づけて息を荒げていたのでした。マカちゃんはあまりの恐怖に身を固まらせます。そのままヴェロキラプトルは前方にジャンプして、仲間のヴェロキラプトルたちとともに湖に向かって走り去りました。その途端、マカちゃんの身体が宙に浮き上がります。そこは子供部屋の天井でした。マカちゃんは天井に背中をつけて宙に浮いたまま、その小さな部屋を見下ろします。そこにはマカちゃんがまだとても小さい子供の時に一緒に遊んでいた女の子が歩いています。マカちゃんはとても懐かしく感じ、昔を思いやりました。その頃のマカちゃんはまだ誰とも戦ったりはしていません。毎日クローバー畑に出かけては、真っ白な雪を身に振りまいたような可愛いシジミチョウたちを追いかけ回っていました。シジミチョウは羽を掴まれるとじっとします。マカちゃんはシジミチョウたちのその様子をいつも愛らしく感じていました。
「、、、マカ!、、起きろ、、!」

「はっ!わたし、どうして、、、。」
「アラクネの乖離魔法だ。マカの魂に流れる狂気を利用されて無理やり眠らされてたんだ。」
「お見事。ソウル=イーター、あなたはなかなか立派な狂気への耐性をお持ちですこと。せっかくのその才能、わざわざ死神のために打ち捨ててはなりませんことよ。我々 « アラクノフォビア »はいつだってあなたを歓迎しますわ。」

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