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健康寿命を伸ばすほど通院代の節約になる

年齢を重ねると、健康面に自信がなくなってきます。働くことのできない年金生活で、医療費がだんだん家計を圧迫していくのは不安なものです。シニアの医療費にはどのくらいお金がかかり、なるべく医療費をかけないようにするにはどんな工夫が必要なのでしょうか。シニアの健康とお金について解説します。


シニアが保健医療にかけるお金は月額約8,000円

家計調査年報(家計収支編)2022年」(総務省)によると、より、65歳以上の夫婦のみ及び単身無職世帯の「保健医療費」における1人あたり平均金額は、月額約8,000円です。保健医療費の内容は、例えば以下のようなものです。

  • 医薬品

  • 健康保持用摂取品(サプリメントなど)

  • 保健医療用品・器具(血圧計屋ヘルスメーター、コルセット、健康布団など)

  • 保健医療サービス(通院費など) 

二人以上の世帯のうち勤労者世帯の家計収支においては、保健医療費は1万3786円ですから、「シニアになるから保健医療費が増加する」ともいえません。しかし、年金暮らしの家計に対する圧迫はけっこうなものでしょう。

一日あたりの入院費用の平均は約2万1,000円

生命保険文化センター「生活保障に関する調査」/2022(令和4)年度によると、1日あたりの入院費用は約2万1,000円です。多くの人が生命保険や医療保険に加入していると考えられるため、家計への影響はそこまでではないものの、入院生活が長くなれば持ち出し費用は多くなります。
 
また、家族が入院すると、付き添う人にも経済的負担がかかります。通院するための交通費や、通院が食事時をまたぐようであれば食費も自ずとかかってきます。
 
シニアにとって健康の維持は、自身が活き活きと生活していくために必要なのはもちろん、経済的にも大事なことです。

シニアの健康、何が不安?

シニアの健康において、とくに気をつけたいのはどんなことでしょうか。糖尿病や高血圧、がんといった生活習慣病を除いては、以下の2つに気をつける必要があります。

転倒による骨折

 老化が進むと骨がもろくなり、ちょっとしたことでも骨折の恐れがあります。部屋と廊下の段差につまずいて転んだことにより骨折したり、くしゃみをした弾みで肋骨が折れたり。信じられないことが原因で入院となります。
 
実際、加齢に伴い少しの段差でもつまずくことが多くなったという人はいませんか。年齢を重ねると筋肉量の低下により、だんだん足が上がりづらくなってきます。しかし本人はそれに気づきません。結果、つまずきやすくなってしまうのです。
 
また、骨折自体よりも、シニアにとって注意したいのが治療後の対応です。治療後、過度に体をいたわってしまうと、そのまま寝たきりになる恐れがあります。とくに気をつけたいのが、太もものつけ根である大腿骨の骨折です。治療が長引きやすいため、早くからリハビリを始めたくてもできず、結果、筋力が衰えて再び歩けなくなってしまうのです。

歯を失う

 「フレイル」という言葉をご存じでしょうか。フレイルは、加齢により身体が衰えた状態を指します。健康状態から筋力や活力が低下して、介護が必要になる一歩手前の段階です。
 
フレイルを防ぐ一つの要素が、「食」であると考えられています。体を作るタンパク質をしっかり含んだバランスの良い食事を摂ることが、健康で若々しい体を保つ一つの要因というのです。
 
しかし、しっかり食事を摂るためには、口腔機能がきちんと働いてなければなりません。加齢により食べこぼしやむせてしまうといった口腔機能の低下が始まると、そのうち健康的な食生活を営むのが困難になり、フレイルに陥ってしまう可能性があります。
 
わずかな口腔機能の低下に気づくのは難しいことです。ただ、歯を失うと、それだけ食べ物をかむ能力が下がるというのはわかるでしょう。80歳で20本のはがあることを目指す「8020」が難しい目標とされる中で、私たちは人生100年時代を生き抜かなければなりません。

保健医療費の経済負担を最小にするために、今からできること

健康上の問題で、日常生活が制限されずに生活できる期間を「健康寿命」といいます。健康寿命を伸ばせば、保健医療にかかるお金を最小限に抑えられるでしょう。いつまでも健康を保つには、どうすれば良いでしょうか。

1日6000~8000歩の散歩

 厚生労働省「健康作りのための身体活動・運動ガイド2023」では、身体活動・運動の推奨事項として「高齢者は身体活動を1日40分以上(一日約6000歩以上)」、「成人は1日60分以上(1日約8000歩以上)」としています。
 
忙しい中で毎日何十分もの散歩を行うのは簡単ではありませんが、まずは、今より少しでも多く体を動かすことを意識してみませんか。

家の整理

家の廊下に段ボールなどの荷物が置かれていると、転倒の可能性が高くなります。不用品が多いと感じている人はとくに、家の整理を始めましょう。家がスッキリすれば、気分も明るくなります。

正しい歯磨き、フロスの活用

正しい歯磨き法を知っていますか。「もう何年も歯医者に行っていない」という人は、試しに一度歯科のドアを叩いてみましょう。最近は予防歯科の考え方が広まり、正しい歯磨き法を教えてくれるほか、口腔内にいる歯周病菌の検査をしてくれたり、歯ブラシの選び方を指導してくれたりする歯科がたくさんあります。
 
また現代では、歯磨きだけでは虫歯を予防しきれないため、フロスの活用が効果的という考え方が主流です。歯科の指導やフロスを駆使して、健康的な口腔環境を保ちましょう。

節約ばかりではない健康的な食生活

子どもがひとり立ちしてカロリーたっぷりの料理を作る必要がなくなったり、年金生活で経済的な不安が大きくなったりすると、食費を節約しがちです。しかし、貧しい食生活は不健康のもと。体を壊してしまっては医療費がかさみ、本末転倒です。
 
高齢になるほど必要カロリーは減少しますが、たんぱく質が体を作るのに大切な要素であることは変わりません。「高たんぱく・低カロリー」を合い言葉に、健康的な食生活を送りましょう。

病院いらずの人生を更新しよう

シニアにとって最も大事といっても過言ではない、健康。食生活と運動、歯磨きによって、自分の体をずっと大事にしていきたいものです。病院いらずの人生を更新し、経済的にも身体的にも負担の少ない生き方を!


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