エドワード・ディレイニー、アーチィ・マクナリー。一体全体、誰なの?それ。
絶版になる本というのは、人気がないから絶版になるのだろうか?
どういうシステムなのかわからないので、そうなのかなあと思う程度なのだが、自分が好きだった本が絶版になっていると、そうかあと思ってしまう。
ローレンス・サンダースというアメリカ人の作家がいる。
ちょっとだけ重い推理ものや、軽い探偵ものがあって、どちらも面白い(と私は思う)登場人物の描写と、その周りの世界の表現が読んでて楽しい。
本は人に貸してはいけない。面白い本はお薦めしたくてつい貸してしまったりしていたが、そういうのに限って帰ってこない。私にとっての大切な本は、薦められた人にとってはただの本だった感じなのだろうか。特に文庫本はその憂き目に合うケースが多い。
ハードカバーなら存在感があるけれど、1000円前後のちっちゃい本はそんな扱いなのだろうか?中身が問題なのに。
ということで、失った時を求めて私は際限のないWEBの世界と古本屋さんを彷徨う羽目になる。ローレンス・サンダースの作品もやっとほとんど揃えることができた。古本屋さんで100円で売られていても、私にとっては宝物だ。
そうそうローレンス・サンダースの本は、原書以外Kindleにもない。Kindleってどうやって本を載せるんだろう?もし日本語訳のKindle版を作ってくれるなら、なんだったら暇だから、入力作業とかボランティアでやります!くらいの勢いなのだが、難しい資格とかいるのかなあ。打ち込むだけでいいなら良い作品を広めるために頑張ります。とかいう簡単なものでもないのかな。
作品の中に、エドワード・ディレイニー警部がマンハッタンで活躍する少し重めの大罪シリーズと、アーチィ・マクナリーというちょっと軽い探偵がマイアミで活躍するシリーズがあるのだが、推理もストーリーも面白いのはもちろんだけど、どちらの作品もその中に登場する食べ物が美味しそう。
ディレイニー警部はサンドイッチの名手で冷蔵庫にある材料で、簡単に美味しそうなサンドイッチを作る。時には立ったまんま、キッチンのシンクの上にかがみ込んで、少々、汁気の多い具を挟んだサンドイッチを頬張るシーンがあったりして、味やその背中を想像すると、すぐにお腹がすいてしまう。
これは一番初めに出てくるサンドイッチ。訪ねてくる部下と自分のためにディレイニーが用意したもの。シンプルだけど美味しいことがわかる。
アーチィのシリーズには、アーチィ達、街の有志が資金を出し合って経営しているクラブがあって、そこの食堂のカクテルと料理が毎回たまらなく美味しそう。こんな食堂があったら、確かに毎日ランチに行ってしまうなと思ってしまう。
そしてアーチィの家には厳格な弁護士の父親がおり、家族の夕食前のカクテルアワーがお約束で、いいワインをたくさん持っているのになかなか出してくれない。アーチィは息子だけど助手の身分なのでそんなに良いワインやスコッチは飲めない。時折、いい仕事をして父親がご機嫌な時には、それらが振る舞われる時もあるが、大半は、お利口なワンコのように、ご相伴に預かることを楽しみにしている。
アーチィはカクテルアワーの前に家の前のビーチでひと泳ぎする。いつまでもカッコよく女の子にモテるために、美味しいものを食べるために。なんかかわいい。
全ての出来事は作家の中から出てくるわけだから、ローレンス・サンダースの食の趣味は結構幅広いんだろうなと思われる。ロレンス・サンダースは大学卒業後メイシーズ・デパートで働いていたこともあるらしいから、案外、そういう世界も好きなのかもしれない。
本というのは、お話の流れや結末ももちろん大切だけれど、こんな些細な日常を愛さずにはいられない。そういうところが丁寧に書かれていると、読みすすめるうちに愛すべき人たちが出揃って、一度読み終わってもまた会いたくなる。
黄ばんだ文庫本の小さな文字、いつか読みにくくなりそうで、電子書籍化も悪くないと思う。(なんてったって電子書籍だと字の大きさが変えられる、暗闇で読める、入院にも旅行にも沢山の本を持っていける、なんだったらwi-fiさえあれば新しい本をゲットできる、寝落ちしてもベットサイドのランプを消し忘れることがない。)それに面白い本だって絶版になったりしたら、新しい読者に読んでもらえない。読んでみないと面白いかどうかわからない。それぞれの人にもそういう本があるんだろうな。
ローレンス・サンダースの原作本で一つだけ映画になったものがある。ショーン・コネリー主演の「盗聴」という映画。1969年公開。これも探し出して見たなあ。探した頃はNetflixもAppleTVもprime videoもその他諸々もなかったから、レンタルビデオ屋さんを渡り歩いて、足で探した。それこそディレイニー警部やアーチィのように(大袈裟)
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