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明日、歯医者さんに一緒に行ってあげたらアイスクリームを買ってくれるらしい。

ひとつ仕事を片付けると、ホッとして遊びに行きたくなる。
病気になってからしばらくは、仕事なんかするもんかと思って好きな事ばかりしてた時期がある。

といっても薬の副作用がバンバン出てたし、免疫がどうとかで感染症にかかりやすいからそれはまずいので、人混みは避けるようにって言われたから、時間はたんまり出来たのに、好きな事といっても海外旅行に行ったりとか、映画館に行ったりとかも出来なかった。

でも、部屋で時間を気にせず本を何冊も読み漁ったり、映画やドラマを見たり、とにかく「しなくちゃいけない」っていう基準で成り立っている事は絶対にやるものかと。

そんな時でも好きなお客さんからの依頼は、これは好きな事の部類に入るなと思ってやっていた。その人が欲しい絵を探したり、ある人に必要なデザインをしたり、どっちにしても家にいて出来る範囲のこと。

でもこれがそれだけやってると、毎日に飽きてくる。
いらないこと考えずに好きな事だけしてるんだから幸せそうなものだけど、案外そうでもない。

貧乏性っていうのかなんなのか、仕事がしたくなってくる。
「なに、やだもう、病気なんだからそんな無理な事できないー」とか言いながら、大きなアートワークとか受けちゃって「前とは違うんだから、疲れるんだよねー」とか言いながらやりがいを感じて、納品して飾られて、なおかつ喜ばれたりしたら文句なしに嬉しくて元気になる。

こういうメカニズムはどこからくるんだろう。
味をしめてるって感じなのかなあ。

そして仕事を片付けた後にくる開放感と喜びとを感じながら好きな事するのは、なんにもしないで好きな事をしている時より百倍楽しい。

仕事ってなんなんだろう。
頼まれごとを「まかしとけっ」って片付けるのが好きなのか、そもそも物を作るのが好きなのかよくわからないけれど、どんな仕事でも出来上がるまでの途中の段階で「うそ、こんなことってある?」みたいな状態が訪れなくもない。

そういうときの「やっちまった」からくる「だったらどうする?」を経ての「できたじゃん!これでいいじゃん!」に至るまでの脳みその覚醒具合は半端なくて、最終系を確認した時にはそれこそ「おおっ」って感動しさえする。
自分でやったのに。

基本的にお気楽な人なんだろうなと思う。
なんかあっても最後にはオールオッケーにしちゃうし、すぐに「あーそんなこともあったねー」くらいでもう次のこと考えてるから、なんだか自分でも軽いやつだなあと思う時がある。

なのに、遊んでばかりいると退屈してくる。なんだなんだ、どっちなんだ。
自分の事なのによくわからないんだから、自分以外の人の事なんかわかるわけない。
不思議だ。

いやホント仕事ってなんなんだろうな。
気分が落ち込んだ時は、洗濯でも掃除でも結果が見える事をすると元気になれるんじゃないなかあと思う。
もちろんそれを家族の人とかが褒めてくれたり「ありがとう」って言ってくれたりしたらきっともっと嬉しいから、元気になれる気がする。
なんにもしないっていう選択肢もあると思う。そっちのほうが英気を養って元気になれる人もいるのかもね。

私はどっちかっていうと何もしないとどんどん元気がなくなるタイプなんだと最近特に思うようになったから、ちょっとなんだかなあって思った時は、とりあえず動く事にしている。
全然大した事じゃない。ちょっと散歩に行ったり、おやつを作ったり、少しだけ手の込んだご飯を作ったり、音楽聴きながら踊ったり。ほんとは大声出して歌いたいけど、ご近所さんってのがあるしね。
でもまあ、そのくらいのこと。

人間って何年やってもわからないことだらけだ。

さっきお父さんから電話で「部分入れ歯を落として割ったから、歯医者さんに行きたい」と言われた。
うげっ、やっと1つ仕事終わってグッタリなんだけど、なんか楽しいことしよう!と思ってた矢先にこれだ。

「一緒に行ってくれると心強いんだけど」とかなんとか言うから、最初は「えーーー〇〇も疲れてるんだよー」って一度はグズってみた。
でも一応、歯医者さんに予約入れて「明日2時だから」って言ったら「わかった、ありがとう」って言うけど元気がない。

あーーーもう、と思いながら電話かけ直して「明日、行くから待っててね」って言ったら「ほんと?ありがとう、ありがとう!やっぱり〇〇さんが来てくれると嬉しいし安心する」ってはしゃぎまくって「アイスクリーム買ってあげる」と言った。

アイスクリーム・・・。
それはどうもありがとうございます。

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