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マグカップで紅茶を飲むと、アメリカ人な気分。ティーポットで紅茶を入れると英国人な気分。

イギリスにホームステイした時、そこにいるおばあちゃんがなかなかの曲者で、いつも裏庭に続く出口付近に、椅子を置いて陣取って座って、紅茶を飲んでいた。イギリスの人って本当にたくさん紅茶を飲むんだなあと思ったものだ。
でも、そのおばあちゃんが使ってるポットが、ものすごく歴史を感じさせるもので、要は海にあるテトラポットみたいに、いろんなものが付着していて、遠目に見てもなんだかばっちい。洗ってるのか洗っていないのか、そこがまた味になるのか私には一切理解できない(自然にいいのか悪いのかわからないけれど、私はすぐに漂白剤をしてしまう。)が、それでお毎日紅茶を飲んでいた。今思えば、多分硬水のせいであんなになってたのかも。

で、私が通るときにいつもちょっとした小言を言う。
「日本人は、シャワーを使いすぎ。」と。何回言うんだと思いながらチラッと目を合わせて、ちょっとだけ会釈して通り過ぎる。日本人がみんなそうかどうかは知らないけど、私だって言われてからは、ちょっとは考えてぱぱっとやってるんだよ。
食事付きだった。おばあちゃんの作る芋料理はなんだろう、毎回同じような材料なのに食感とか味だとかが微妙で、あんまり食欲をそそるものではなかった。これはホームステイ先がハズレなんだなあ。と我慢したけど、いかんせん今より根性なしだった可愛い盛りの私は、やっぱり他人と一緒に暮らすのは無理だったのね。と堪えきれず母に電話して、ホテルに移った。いや、ホテルに移ってから、母に電話した。「移るからっ」て。これじゃ旅行だ。

その時見つけた、シンプキンのキャンディ。
それからずっとお気に入り。

アメリカに行った時の家族は全然違って、子供がいたからか楽しくてしょうがなかった。お父さんもご陽気な人で、お母さんもご陽気。子供たちに気に入られたのは、最初の夜、翼が動く鳥の折り紙を作ってあげたこと。折り紙を作って見せるとかよくある話だが、鶴ではなくて羽がパタパタ動かせる、鳩みたいに見えるそれ。実はこれもお母さんに教わったもの。ありがとう、お母さん。それがやたらウケて受け入れれられた感じ。このパタパタ鳥は以後、どこの国に行っても子供に喜ばれる。列車移動の時とかも、退屈そうにしている子供に、お菓子の包み紙とかで作ってあげると、たいそう喜ばれる。子供の機嫌が良くなると、お母さんも機嫌が良くなる。ちょっとした、芸は身を助く。
そこのおじいちゃんが、自慢の銃で、少し離れたところの空き地で空き缶を撃たせてくれた。(これは言っていいんだろうか?)嘘みたいな本当の話。

羽をパタパタさせる鳥さん。
動かして見せれたらいいけれど、ちょっと出来ない。
ごめんなさい。

仕事と遊びを兼ねて、長期で滞在させてもたったアメリカの友人は、夜中に山盛りのドーナッツを食べる。「あなたも食べなさい、好きなのとってよー。」と笑顔で言われるが、その時間帯にそのでかい砂糖菓子は1つで十分です。でも許されない。3個は皿に乗せられる。ピザ屋さんに行ったら、片手の縦幅いっぱいの紙ナプキンをもらって帰る。私が「!」みたいな顔してみると、「いいのよ、もらっても! ピザ買ったんだから。」と言って、キッチンのテーブルにどさっと置く。あっ、この紙ナプキンは全部、あそこのピザ屋さんのものなのか。と、改めて眺める程の紙ナプキンの量。どんだけピザ買ってるんだ。
なのに、お風呂の排水溝がなんだか匂う感じがして、漂白剤っぽいものを買ってきて流したら、むっちゃ怒られた。「自然に優しくないから、やめてちょうだい。」
「はい。ごめんなさい。」うふふ、難しいね。でもこの頃はそういうことが楽しめる強い子になってたので、いくらでも仲良くできる。フィラデルフィアに移動する道路を車で走りながら、なぜかでかい声「カントリーロード」を歌う。一緒に。
私がリスを見つけて喜んでると、すごい顔して「あれは害獣よ。別に可愛くないわ。」と一刀両断に切り捨てられた。でも、大好きなお友達。リスの発音は難しい。

上の写真が私が見たリスで、この写真のリスが彼女にとってのリスだと思う。

2人の共通の知り合いの作家のお家に、お呼ばれした時、お庭に蛍が飛んでて驚いた。水もないところに蛍がたくさん飛んでいる。なんだろう、アメリカ。
その人は随分年上の方なのだけど、私がギャラリーを始めた時、あるイベントで一緒になって、ペーペーで数少ない女の私を、貫禄のある老舗のジジイたちが無視する中、「素敵ね。こんなに素敵な若い女性がこの世界にいてくれるなんて、新しい感性も時代も私は大好き。」と肩を抱いて大きな声で言ってくれた人。初めて会った私に作品を預けてくれた。大好きな作家だったから、ものすごく嬉しかったことを今でもずっと忘れない。
お家もその人らしく素敵で、美味しい手料理とビオラ奏者の娘さんと一緒に楽しい時間を過ごした。その人は日本にいたこともあって、日本の保険制度を絶賛していた。そして、なんと、アインシュタインと話したことがあるというお話も聞けて、びっくり。プリンストン時代の話らしい。南極旅行の写真があって、なんと80過ぎて行ったらしい。2回も。恐れ入ります。

これは有名なベルニーニ。

海外は、2019年の12月にイタリアに行ったのが最後。この時はミラノには行かなかったからよかったけど、この時期、すでにミラノではコロナが発生してたらしい。
その時の旅行は、どうしても、なぜだか巷に溢れ過ぎている「偽物」ではなく「本物」が見たいと思い立ち、ベルニーニを辿る旅をテーマに出かけることにした。ローマでも、町中にあるレプリカではなくて、有名な作品から、小さな教会に置かれた作品まで見て回った。その時出会ったいろいろも、いつか書いてみようかな。

駅の近くのスーパーで買った美味しそうなエビフライ。
本物を探す旅だったのに、店の親父に騙されて買ったいわゆるスリミ。
ちゃんと「エビだよね?」って聞いたのに、エビじゃない・・・。

そろそろ、脱出してもいいかもしれない。病気になってから薬やなんかの関係で、感染症とかお医者さんにうるさく、いやありがたく言われるようになった。国内なら、やっぱり病院とか安心だから出かけるられるけど、海外は、結構、病院って困ることが多い。もしも向こうで何かあったらと思うと、少し気後れする原因でもある。昔は全然平気だったのにな。

まあいい。国外脱出計画は、ここにいてあれこれ考えてるだけでもウキウキするから、なんかいろいろ画策してみよう。

麗かな土曜日はいいね。金曜日までお仕事をした皆さんが、とっても素敵な週末を過ごせますように!


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