小学生の頃の夏休みの宿題に絵日記があった。 日付の右側に毎日の天気を書かなくてはいけず、僕は夏休み終盤に必死に思い出しながら、でも適当に一気に書いていた気がする。 「なんで天気なんか」 そう思っていたけれど、大人になった今、天気というのは案外重要であると知ったし、何かの予定が近づいてきた時には yahooの天気予報で前もって調べるような習慣もついた。 ああ、今年の6月9日の金曜日は雨か。 数日前からそんなことを思って過ごしていた。 それまでの数日は比較的晴れた日が続くのに、
風と回るもの。扇風機、換気扇、風車、つむじかぜ。でも、今日君に話してみたいのはかざぐるまの話なんだ。 知ってるよね?かざぐるま。漢字で書いちゃうと「ふうしゃ」とおんなじだからひらがなで書くけど、あのふぅーって吹くとクルクルと回るおもちゃのこと。早く回れば回るほど羽に塗られた二つの色が一つになっていく。あのかざぐるまのことなんだ。 こうやって僕はかざぐるまのことを説明できるのに、僕はかざぐるまをちゃんと見たことがあるのかな。正直よく思い出せない。たぶんきっと本当は見た
明日まで発行中のもので、第5回となった#短歌月九ネプリ。今回のテーマは「音」で、池田明日香さんが主演されています。 僕は「微かに揺れる」という三首で参加しています。お時間があれば読んでみて下さい。もっとお時間があれば感想ください。 以下。出力情報です。 セブンイレブン: 65470769 その他のコンビニ:B6MWHPAMBX 6月6日23:59まで B4白黒1枚20円 では、ここから自作以外の三首選をよかったと思った順に。 呼び鈴を押すと来るけど押さないで
書肆侃侃房の新鋭短歌シリーズ最新第47弾として発行された戸田響子さんの第一歌集『煮汁』。同シリーズには珍しいモノトーンの表紙である。同時に発行された小坂井大輔さんの『平和園に帰ろうよ』もなかなかだが、『煮汁』はさらになかなか。僕だったら『煮汁』を歌集のタイトルにする勇気があるかどうか。まずもって感服である。 戸田さんは1981年、愛知県名古屋市生まれ。未来短歌会彗星集と歌人集団かばんの会に所属している。本歌集のタイトルにもなっている『煮汁』は第4回詩歌トライアスロンを受賞し
言わずと知れながら、短歌の聖地として知られている名古屋市の中華料理店「平和園」の店主、小坂井大輔さんの第一歌集である。その名も「平和園に帰ろうよ」。今年4月に書肆侃侃房の新鋭短歌シリーズから刊行された。 食べてから帰れと置き手紙、横に、炒飯、黄金色の炒飯/小坂井大輔「黄金色の炒飯」 この歌集の巻頭歌。いったいこれからどんな歌が待ち受けているのか期待と不安でいっぱいになる。だって、この人には炒飯が光り輝いて見えてるんだもの。 とは言え、面白い歌だけが小坂井さんの魅力で
僕、近江瞬を含めて9人の歌人で月1回発行する短歌ネプリ「月九」の第4回があす5月7日まで配信されています。今回のテーマは「作」で、僕が設定者のため主演という扱いです。サブタイトルは平成から令和への改元時期だったので「カイゲーン大作戦」としました。 セブンイレブン: 79356371 その他のコンビニ:5CYNJCTFPR 5月7日23:59まで。B4白黒1枚20円です #短歌月九ネプリ 以下、三首選します。(※もちろん自分は除く) 言葉にはできないと言う詩人へと手渡す
僕の大好き芍薬さん(@yuritanyogini)と天田銀河さん(@tancaloid_ginga)の二人によるユニット「有楽町チョコミンツ」によるネプリ『連弾の春』を読んだ。 内容はひとつの歌を二人の歌人でつくる「R-2ぐらんぷり」で使わなかった歌たち。 19日23:59まで出せるので興味がある方はぜひ。 予約番号は15043340 A3白黒、20円(セブンイレブンのみ) 中身を全部言うわけにもいかないので、一首ずつ好きな歌を。 地下書庫の匂いを連れて退社す
僕、近江瞬を含めて9人の歌人で月1回発行する短歌ネプリ「月九」の第3回が4月6日まで配信されている。以下、ネプリの番号など。 セブン06186459 その他EKU75YL3RR 今回は僕を除く8人×3首=24首からの三首選(同一作者から三首もあり)と全首評(簡単に)をしてみようと思う。 まずは三首選から(良い順に並べます) 恋文のくすぐったいね ふんだんに花粉を含んでる春風の/御殿山みなみさん「hey,fever」 恋文の愛らしさが全体から伝わる一首。「
歌集との出会い、と同時に上澄眠さんという人間との出会いの詰まった歌集だった。 上澄眠(うわずみ・みん)さんの記念すべき第一歌集「苺の心臓」が青磁社から2月15日に刊行された。塔短歌会の先輩で、塔の中でも僕が特に好きな歌人の一人だ。独特なひらがなの言語感覚と投げかけるような口語表現、五感の一つひとつの境界が薄くて、短歌初心者にも玄人の心にも違和感なく言葉がしみ込んでいくように思う。 たぶんもう眠れそうだなうつぶせの背中にふれるせんぷうきのかぜ/上澄眠さん「塔11月号
川下のような横断歩道だと二階の窓にひとを待ちつつ/中田明子さん(東京) 主体は誰かと待ち合わせをしている。横断歩道に近い家の二階という可能性もあるが、素直に考えて外の見える喫茶店の二階だろう。先に来てすることもなく窓の外にその人が来るのを待つ。待てども待てども来ない。その時に今目の前に見える横断歩道がどこか遠い場所から流れ着く川下のように見えたという捉え方が新しい。 低すぎる流し台にて手を洗う小学校の家庭科室の/谷活恵さん(兵庫) 世界一有名なうそつきながら枕元へとプレ
短歌月九ネプリ第2回「語」が3月1日現在、ネットプリントで発行中です。 セブン71031637 その他コンビニEKU75YL3RR B4白黒一枚(20円) 3月7日(木)まで 僕は今回は「英語の海」という三首連作を発表しています。前回の「集団避難訓練」同様、個人的には好きな一連に仕上げられたと思います。 今回のテーマは「語」で、主演は柏原十さんです。それぞれ9人の個性を楽しんでもらえたらと思います。 では、前回同様に僕の好きな歌を三首選(好きな順)したいと思います。
現在(2019年2月2日)、ネットプリントで発行中の新たな短歌同人ネプリ「月九」。九人の歌人が月に一回集まるからそういう名前になったわけで、それぞれが三首ずつ提出している。 セブンイレブン:90484757 その他コンビニ:EKU75YL3RR B4白黒1枚 20円 2/6(水)まで 参加しているのは僕(近江瞬)のほか、西村曜さん、池田明日香さん、柏原十さん、御殿山みなみさん、シリウスさん、平出奔さん、若枝あらうさん、若紫音佳さん。 初回のテーマは「集」で、連作にし
光森裕樹さんは1979年、兵庫県宝塚市に生まれ、この歌集に収録されている歌を詠んだ当時は沖縄県の離島、石垣島に暮らしていた。余談ではあるが、この頃といえば東日本大震災の翌年であり、俵万智さんも仙台市から石垣島に引っ越して暮らしている頃ではないかと思う。 光森さんは2008年、「空の壁紙」で第54回角川短歌賞を受賞。その後、2010年に第一歌集『鈴を産むひばり』(港の人)、また、第二歌集『うづまき管だより』(電子書籍)を発表。第一歌集は第55回現代歌人協会賞を受賞している。
岡山大学で出会った五人によって作られる短歌同人フリーペーパー『ura vol.03/2019winter』をネットプリントで出せるようになった。 セブンイレブンのネットプリントの番号は「14041650」でA3用紙1枚の20円。1/27の23:59まで出せる。 メンバーは白水裕子さん(@shilyuko)、平尾周汰さん(@shuuta_h)、青木千夏さん(@Aoyoshi_6)、長谷川麟さん(@1827391ru)、川上まなみさん(@mayoi_122)さんの5名。それぞ
幅広い分野で活躍する歌人、東直子さんと穂村弘さんによる共著『しびれる短歌』が今月10日にちくまプリマー新書から発売された。 この両名の共著は短歌と詩を返歌的に詠み書いた『回転ドアは、順番に』(筑摩書房)以来12年ぶりになる。 本書は対談形式で書かれていてとにかく読みやすい。そして、お二人の短歌の読み解き方や知識はもちろん、そのやり取りからは仲の良さも伝わってきて楽しく読める。短歌に馴染みのある人にも、まだ関わりのない人にもオススメしたい。 面白いのが本書の最初に出てく
ありふれた、でも、たった一人の女性の生き方。 この歌集の中で描かれている主体はそんな全ての人々のことであり、同時に全く同じではいられない全ての一人ひとりのことである。 すべてから置き去りにされているような心地してたぶんありふれている/千原こはぎ「それはさておき」 著者は大阪生まれのイラストレーターでデザイナーの千原こはぎさん。本書の装丁・装画・挿絵もすべてこはぎさん本人が手掛けているというから驚きだ。シンプルなタッチと白を生かした色彩豊かな絵が素敵で、