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#18 今年はなにを”やめます”か?

(この記事は約2分半で読めます)

「一年の計は元旦にあり」。

ということで、多くの経営者は年始に今年一年かけて「到達すべき」「やりきるべき」目標を設定します。

ご多分に漏れず、私自身も「今年は!」という志のもと、一年の計となる目標を立てるのが、毎年年初の恒例行事です。
(そして、毎年数か月後に挫折、あるいは忘却の彼方へ行ってしまっています...)


昨年の年末も凝りもせず、「さて、来年の誓いはどうしようかな?」と考えていた矢先、一緒にドラッカーを学んでいる経営者仲間が、とてもユニークな年初の計を立てていることを知りました。

彼はドラッカーを学んで以来、かならず年始は仕事の棚卸をし、

「(仕事において)今年は何をやめるか?」

を決め、実行しているとのこと。
仕事の断捨離です。

彼がその行動に至った一番の理由は、ドラッカー氏の以下の教えによるものです。

" 成果を上げる者は、新しい活動を始める前に必ず古い活動を捨てる。
肥満防止のためである。"

ピーター・ドラッカー 「経営者の条件」


■ 過去を計画的に廃棄する

新しく取り組みたいことがらは、ある意味一年中いつでも出てきます。

経営セミナーに参加した後。
経営本を読み終えた後。
整骨院や治療院の経営者仲間と話をした後、などなど。
今まで出来ていなかった自分を反省し、「よし、明日から実践しよう」と、自分自身で新たな取り組みに挑戦したり、あるいは社員に働きかけ(指示)をしたりと、よくある話です。


新たなことに挑戦すること自体は、もちろん悪い事ではありません。
一方、往々にして起こることは、いままでやってきている活動を整理することなく、新しい挑戦をそのうえにアドオンしてしまうこと...

過去から継続して行っている仕事はルーティン化しているので、あまり時間を取られている感覚がありません。

でも実は、それが大きな落とし穴。

既存の仕事に対し、社員さんや皆さん自身の有限な時間やエネルギーは確実に使われています。

冷静に考えれば、既存の仕事で時間をすでに目一杯費やしているのなら、そのうえに新しい仕事の時間が入る余地はないはず。。。

満杯の冷蔵庫で喩えれば、中にある古くなった食品を捨てたり、整理しなければ、新しい食品の入る余地がないのと一緒です。

物理的に起きえない冷蔵庫と違い、時間やヒトの職務は可視化しにくいこともあり、ついつい下のイラストにあるような状態にしてしまいがち。。。


そこで、年始の恒例行事としたい「仕事の断捨離」です。

ドラッカー氏は、「過去の仕事を、計画的に廃棄せよ」と説きます。

行動経済学でいう「保有効果」もあり、私たちは一旦保有したモノやコトを手放すことに対し、大きな心理的負荷を感じます。

年末の大掃除で衣類等の整理をすると、この「保有効果」に直面しますよね?
昔は好きでよく着ていた服も、いつしかタンスの肥やしに...
今は年に一回も着用しないにもかかわらず、いざ捨てるとなると、「もしかしたら、これからまた着ることになるかも」というバイアスのもと、結局そのまま残してしまうことは世の常。

保有効果バイアス


二度と着ることのない衣類を残してしまっても、家計に与えるインパクトは微々たるものです。
対して、今は陳腐化したり、生産的でなくなった仕事を残してしまうことは、会社の未来に費やすべき時間とエネルギーに大きなダメージを与えます。
そして仕事の場合は保有効果のみならず、「現在の状況より好転すると分かっていても、変化を避ける ”現状維持バイアス”」も、多分に関連しています)

「保有効果」や「現状維持バイアス」ですでに生産的でなくなった仕事を残してしまう判断は、それを認識しているだけ、まだマシかもしれません。
一番恐ろしいのは、それら過去の産物となっている仕事の存在自体に気付くこともなく、当たり前のように今も習慣的に続けてしまっている状況。

”(体の)組織は油断するとすぐ体型を崩し、しまりをなくし、扱いがたいものとなる。
人からなる組織も、生物の組織と同じようにスマートかつ筋肉質であり続けなければならない。 ”

ピーター・ドラッカー 「経営者の条件」


年始の一年の計を「今年はなにをやめるか?」とし、今の仕事の棚卸をする機会とすることは、「組織の肥満化」を防ぐ効果が見込めるかもしれません。

では、どのように仕事の断捨離を進めるべきか?

ドラッカー氏は、「劣後順位をまずつけよ」と説きます。

劣後順位???

長くなりましたので、続きは次号で。

~前号の「理念経営は、サグラダファミリアだ」を読み返す~


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