♯02 ブランドって、結局誰のもの???
今回の一言:「ブランドって、結局何のこと???」
(この号は約3分で読めます)
前回のテーマ「あなたは何によって憶えられたいか?」の続編、「ブランド」について一緒に考えていきましょう。
「海外ブランド」「セルフブランディング」「プライベートブランド」などなど、ちまたに氾濫している「ブランド」という言葉。
そもそも、「ブランド」の定義は何でしょうか?
「マーケティング」といえば、フィリップ・コトラー氏。
マーケティングの大家は、何と定義付けているのでしょう?
んんん、あまりにも学術過ぎて、難解すぎますね...汗
難しい定義を俯瞰して眺めてみると、浮かんでくる単語が「識別」と「区別」。
「他との違いが明確になっている」がヒントのようですね。
実は「ブランド」の語源が牛への焼き印であること、ご存じでした?
放牧した牛の群れの中から、他人の所有する牛と「区別」し、自分の牛であることを「認識」するための「焼き印」(burned)が、ブランドの語源のようです。
牛の焼き印の話から、ブランドの重要なポイントが見えてきます。
「焼き印」というブランドを発信しているのは、牛ですよね。
一方、その牛の焼き印を「識別」し、他の牛と「区別」するのは、受け手側。
つまり、ブランドを判断するのは、あくまでも「受け手側」なんですよね。
「ブランドとは?」をグーグルで調べると、星の数ほど定義が出てきます。
そのなか、私自身が一番しっくりきているのは、
「ブランドとは、顧客の心に旗を立てること」。
「ブランドとは、顧客の心に宿る期待に沿う、発信側の約束事」。
たとえば、先生が下のブランドロゴを見たら、どんなイメージや期待をしますか?
ダイソー、TDLのブランドロゴを見たら、おそらく全ての先生は、何かしらのイメージを心の中で抱いたことと思います。
そして、実際ダイソーで買物する際、あるいはTDLへ遊びに行く際、心に抱く期待値がありますよね。
その期待値を超えたら満足し、そのブランドイメージは更に強固されます。
一方、もし先生ががっかりしたらどうでしょう?
そのがっかりしたイメージがその企業のブランドとして、先生の心に上書き保存されますよね?
では、先生の治療院、或いは先生ご自身のブランド価値はどうでしょうか?
以前、一人だけで運営されている治療院の先生と、ブランディングについて話をする機会がありました。
その先生のお人柄もあり、年配の常連患者様でいつも忙しい、人気の整骨院です。
先生曰く、「私の院は小さいし、常連さんばかりだから、ブランディングは不要ですよ。
ロゴを新しく作ったり、看板を変えるのもお金がかかりますしね」とのこと。
本当にそうでしょうか?
治療院における”ブランディング” とは何でしょうか?
”ブランディング” には、3段階のステップがあります。
治療院経営で考えてみましょう。
1.コミットメントの明文化
『我々の治療院に通われる方には、xxxなサービス(治療)をお約束します』という、院独自の果たすべき約束事の明文化
2.約束事のシンプル化/記号化
受け手に分かりやすく認識してもらうため、約束事のシンプル化
3.約束事の浸透
患者様の心に宿らせる活動
つまり ”ブランディング” は、先生独自の約束事を、分かりやすく伝えるための重要な手段の一つ。
事業規模や形態にかかわらず、事業活動を行う全ての組織には ”ブランディング” が必須です。
そして、前回のテーマ「あなたは何によって憶えられたいか?」が、ブランディングを行うにあたっての一丁目一番地。
「なぜ常連さんは、当院の治療を継続的に受けてくれるんだろう?」
「なぜ常連さんは、他の治療院へ行こうと思わないんだろう?」
「なぜ今回初めて来た患者さんは、当院を選んでくれたんだろう?」
これらの問いの答えと「ありたい院の姿」との方向性や差分を確認しながら、院の強みや他との違いを、まずはしっかり認識する。
そのうえで、「どうしたら、院の届けたい価値が患者さまの心に宿るのだろうか?」を軸に、治療方針やサービス、患者様とのコミュニケーションの在り方を決めていく。
この基本方針を意識しながら日々の治療に当たるだけで、3年後の院のブランド価値は大きく異なります。
院のロゴや看板は、ブランディング上では些末なことだと思います。
先生独自の価値をコモディティ(日用品)化させないため、ブランディングは全ての治療院に必須です。
追記:
「識別」「区別」「約束事」「主体は受け手側」を理解したうえでコトラー氏のブランドの定義をもう一度読むと、その意味の深淵さが少しだけ見えてくるから不思議です。
~次号の「聴け、話すな」を読む~
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