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選手のパーソナリティを引き出すBCリーグオンライントークショー

(20.5.25追記)本記事がnoteの「#スポーツ記事まとめ」に選ばれました。やったぜ。
ただ、本記事は完全にプロ野球独立「BCリーグ」のファン向けに書いた記事です。ということで、以下の本文の前に、BCリーグの位置づけについて、簡単な前置きを書いておきます。
BCリーグはNPB(いわゆる「プロ野球」)とは別のリーグで、関東北信越を中心とした12県にチームがあります。「ふるさとの全力プロ野球」をスローガンに掲げ地域密着の球団運営を行っています。
ただ、他のスポーツと同様、この新型コロナ流行下において、リーグの開幕は延期となっており、ファンの「BCリーグロス」を解消するために、リーグが主催で開催したイベントが、12球団持ち回りのオンライントークショーです。
それでは本文をお楽しみください!

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BCリーグオンライントークショー(以下、OTS)がめちゃくちゃ面白い。

OTSはリーグが主催するzoomを用いたトークショーで、5月17日から5月31日まで12球団が持ち回りで開催されています。
司会をBCリーグ事務局の志賀楓さんが行い、各球団2名以上の選手が参加するオンラインイベントです。

(5/17の福井はzoomのトラブルで5/31に振り替え)

5/22までに福井・石川・信濃のOTSが終了し、その全てに参加したのですが、これがまあ面白くて面白くて。
そして、BCリーガーが陥っていた「キャラ付け問題」を見事に解消する仕組みだったので、記事にしようと思いました。
本来なら12球団終わった後にまとめて感想を投稿すればいいんですが、今後の回に参加者を呼び込み、OTS沼に一人でも多く沈めたいので、このタイミングで感想とイベントの意義などをまとめて投稿します。

テンプレに隠れる選手のパーソナリティ

BCリーガーあるある、というかプロスポーツあるあるかもしれませんが、1人の選手にインタビューをすると、基本的にテンプレしか返ってこないんですよね。というか、聞く方もテンプレなところもあるかと思います。

「ファンに向けて一言!」
「また球場に足を運んでください!応援よろしくお願いします!」

幾度となく聞いたこのやり取り…まあだけど、聞く方も答える方もそれがベターですよね。互いのテンションや情報量(知識)が一致していると、もっと深く話せたり聞けたりしますが、場面によってはそうではないですし。

むしろ、そこで、何らかの変化球をかませる選手、ふくらませる選手というのは存在するんですが、それはかなり特殊な存在です。
それだけでファンからは一目置かれますよね。
ただ、すべての選手にそれを求めるかという事に関しては、パーソナリティの問題もあるので難しいのです。
たしかに特徴的なパーソナリティは全員が持っています。
ただそれを時間の限られたインタビューだけで引き出せるか、というと性格がマッチしない場合もあり、テンプレに落ち着くわけです。

だけど、ファンとして「この選手はどんな選手か…」という事を知るにはチャネルがかなり不足している現状もあります。
せいぜい、グラウンドでの様子や、数少ないメディアでの発言くらいなものです。

ただ、プロ野球選手として、人を呼べる選手と言ったときに、技能や成績も重要なのは間違いないんだけど、キャラ付けというのは非常に大事だと思います。
凡退しても応援される選手。
それは底抜けに明るい選手や情報発信が上手な選手に限られることはないと思うのです(そういう選手にファンが多いのは事実です)。
寡黙に打ち込む選手、「天然ボケ」な選手、マイクの前では委縮するけど実はやんちゃな選手とか、それ自体がマイナスのパーソナリティではなく、愛すべき個性です。
そのパーソナリティの多様性が、試合でのプレイに加えて、人を惹きつけ、没入感も深くし、よりファンのチームへのコミットを生むと考えます。

NPBはメディアを使ってうまい事やっとる

NPB(いわゆる「プロ野球」)なんかは、その点メディアを使ってうまいことやっていますよね。
例えば自分は巨人が好きだったので「ズムサタ」をよく見ていました。
「ズムサタ」はかなり選手のパーソナリティをファンに伝える役割を担っていると思うんです。

同番組はかつては現巨人の投手コーチの宮本和知さんが名物インタビュアーとして、東京ドームに訪れ選手のアレコレを引き出しています。
石川慎吾選手がインドア派であるとか、岡本和真選手の天然キャラとかは、テンプレ質問やテンプレ回答の中では明らかになりにくいです。
その中で選手のパーソナリティが引き出されていって、ファンが試合を楽しむ上での相乗効果を生み出していると思います。

選手のパーソナリティを引き出すのは選手

もちろん、ズムサタだとプロのインタビュアーの非凡なトークスキルもあると思いますが、注目すべきは選手間の掛け合いなのです。
「コイツ前こんなことやらかしたんですよ」「○○さんの練習がヤバくて」
ここからトークに花が咲いて選手の情報がどんどん出てくるさまは面白いですよね。
なんでそれができるのでしょう。
それはたくさんの時間を一緒に過ごしているからです。
野球はチームスポーツですから(他の球技と比べて個人面は強いですが)、個人個人が他者に配慮し、尊重しないと成り立たないわけです。
だから、おのずと他の選手に関する引き出しはみんな持ち合わせているのでしょう。
特に恥ずかしい失敗談や自分の変わったところなんて、あまり自分からペラペラしゃべらないですよね(もちろん話せる人もいるとは思いますが)。
よしんばしゃべったとしてもインタビュアーは着地点を探るのが難しいです。
笑い飛ばす関係性でもないし、かといって同情すると何とも言えない空気になります。
ただ、それがチームメイトであれば、失敗談も笑い話にしてオチを付けてくれるし、話も展開させやすくなります。
マイクの前で口ベタな選手であっても、他の選手が普段と同じように接することでパーソナリティを引き出してくれまし。
野球はチームプレイと言いますが、こういう面でもチームプレイは生きるでしょう。

今までのオンライントークショーの様子

ここまで3回のオンライントークショーに参加しましたので、その時の様子を簡単に紹介します。
正直、推しのチーム(滋賀)ではない選手の話を聞いて、楽しめるかどうかわからなかったのですが、めちゃくちゃ楽しめました。
富山は参加していたのが多賀選手と牧野選手。基本的にお調子者枠が多賀選手で牧野選手を引き出す形でした。石川は川村選手と近藤選手が参加し、富山と似たような構成で、川村選手がお調子者枠であまり外にはガツガツと発信しない近藤選手を引き立てる役割をしていました。

2回参加して、既におもしれーとなっている中に、昨日の信濃のOTSがあり、これは好例だったと思います。
信濃は高井選手と佐野選手と岩田選手が参加して、高井・佐野の先輩と後輩でルーキーの岩田選手の構図でした。おそらくなんですが、岩田選手に関しては最初かなりガチガチに緊張していました。ただ「先輩の2名のこと正直どう思っている?」という質問に対し小声で「正直チョロいっすw」と答えてからは先輩からいじり倒され、普段のチームにいる姿を見せてくれたと思います。
つまり、普段であればテンプレに陥ってしまいそうな岩田選手の魅力的なパーソナリティを、高井選手と佐野選手が引き出した形ですね。

選手を引き出す名司会

BCリーグOTSはリーグ主催なので、司会はリーグ事務局の志賀楓さんです。
志賀さんは女性で選手とも年齢が近く、これがすごくいい方向に作用していると感じました。
仮に司会がリーグ事務局長の小松原さんなら、もっとガチガチな雰囲気になっていると思いますw
信濃のOTSは途中、高井選手と佐野選手が司会の役割をし始めて、コントロールに苦心されていましたが、そこでも選手と選手をつなぐ話の振りや、トークが詰まった時には次の話題、また次の話題と上手に場面を展開されていたと思います。

自粛下だからこそできた名企画

このBCリーグOTSですが、もともとのきっかけは、4月にリーグ主催で開催されたファン向けにリーグ代表の村山哲二さんが話すオンラインミーティングだと思います。
もちろんこのオンラインミーティングもOTSも、今般の新型コロナの影響を受けての企画なわけです。
「ピンチの中にチャンスあり」といったものですが、こうした困難の中でOTSが今まで提供が難しかった価値をファンに提供していることは間違いなさそうです。

どうでしょう?選手のパーソナリティに迫るオンライントークショー楽しそうじゃないですか?
推しの球団以外のオンライントークショーにも参加してみると、開幕後、もっとBCリーグを楽しめると思いますよ!

オンライントークショーチケット→ https://bclshop.official.ec/

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