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ファスト化する世界、ファスト風土とファスト教養

以前noteで『フラット化する世界』というグローバル化する世界を描いたちょっと古い本を紹介したが、現代ではどうも「フラット化」ならぬ「ファスト化」しているようだ。

まずは地方都市が大手チェーン店によって画一化しているという「ファスト風土化」。

三浦展の『再考 ファスト風土化する日本』光文社新書より引用。"大型店の出店規制が事実上解除された近年、日本中の地方のロードサイドに大型商業施設が出店ラッシュとなり、その結果、本来固有の歴史と自然を持っていた地方の風土が、まるでファストフードのように、全国一律の均質なものになってしまっているのではないか、というのが「ファスト風土」の言葉に込めた意味である。いうまでもなく、それは風土の「マクドナルド化 Mcdonaldization」である。"

「ファスト化」は都市だけでなく人の脳ミソにも進出している。「ファスト教養」というらしい。

レジーの『ファスト教養』集英社新書より引用。"「楽しいから」「気分転換できるから」ではなく「ビジネスに役立てられるから(つまり、お金儲けに役立つから)」という動機でいろいろな文化に触れる。その際自分自身がそれを好きかどうかは大事ではないし、だからこそ何かに深く没入するよりは大雑把に「全体」を知ればよい。そうやって手広い知識を持ってビジネスシーンをうまく渡り歩く人こそ、「現代における教養あるビジネスパーソン」である。着実に勢力を広げつつあるそんな考え方を、筆者は「ファスト教養」という言葉で定義する。"

「ファスト風土化」は完全に没個性的で街起こしと真逆だし、「ファスト教養」は薄っぺらいし、なんか画一的で個性がなくなっていく方向になっててすぐに人に飽きられるような気もする。

ただなんとなくそう目くじらを立てるほど醜悪なものでもないのかもしれない。判断保留。そういう時代の流れなだけかもしれないし。

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